2024年のiPhone SE(第4世代)の発売を心待ちにしていた人には残念なお知らせだ。中国の大手ディスプレイメーカーBOEが、iPhone SE(第4世代)向けの有機パネルを納品することが濃厚との見方だったが、品質問題によって白紙になる可能性もあると韓国の電子業界誌The Elecが報じている。これにより、発売予定が2024年から2025年に延期される見通し。
iPhone SE(第4世代)の発売は2024年から2025年に延期されそう
アップル社のサプライヤーになれたら、その企業は大きな成長が見込まれる。中国の大手ディスプレイメーカーで、主に液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどを製造しているBOEは、アップルに積極的に売り込み、iPhone SE(第4世代)向けの有機パネルを納品することが濃厚となっていた。だが、韓国の電子業界誌The Elecによると性能の問題でサプライヤーが不確定になったようだ。これには、iPhone 15用のOLED(有機化合物を用いた発光ダイオード)ディスプレイの受注を今年3月に逃していたことと関連する。BOEは、iPhone 15用のOLEDディスプレイを受注しようと試作を重ねているのが、Dynamic Islandの周囲から意図しない光が漏れるという問題を解決できずに量産に向けた製品承認がアップルから得られていない。
アップルのサプライヤーの座を獲得できるのはどの企業か?
意図しない穴から光が漏れるというのは、ホールディスプレイを実装するためにあけた穴から光が漏れてしまうということのようで、8月に再びあるアップルの量産承認が得られるかが重要となってくる。だが、UBIリサーチの研究者であるユン・デジョン氏も「BOEが8月にiPhone 15の生産を目指すとしているが、それは見られない」としており、iPhone SE(第4世代)向けの話も不確実なようだ。
だが、なぜiPhone 15の受注を逃したようなBOEがiPhone SE(第4世代)の受注を獲得できていたかというと、iPhone SE(第4世代)は高水準の仕様ではなく、iPhone 13やiPhone 14向けの部品在庫を流用するため、有機ELパネルの価格や技術難度も低いからだ。利幅も薄いために、サムスンやLGディスプレイは関心が低いようだ。
アップルとしても、大手のサムスンやLGディスプレイが受注してくれないiPhone SE(第4世代)を、BOEが担ってくれるということはありがたいことだったのだろうが、商品が完成しなければ意味がない。他に、中国のTCLの子会社CSOTが候補に挙がっているともされており、BOEは苦しい状況だ。と、この話を聞いているとアジアの企業ばかり出てきているのに日本の企業の名前がないことが残念だ。かつて、液晶を言えばシャープやソニーが強かったのではないだろうか。シャープは、こちらもアジアの企業である鴻海(ホンハイ)に買収されてしまったが、日本の技術力を生かして頑張ってほしいと思う。
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