年を追うごとに、拡大するスマホ中古市場。2022年の世界の中古スマホ出荷台数は2億8260万台と活況しており、2026年には4億1330万台に増加するという予測だ。そのようななか、今回はアメリカにおける、中古スマホ事情を解説する。アメリカでも「iPhone」のシェアは高く、中古市場でも上位を独占しているようだが、ラインナップは日本と違うようだ。その理由はなんだろうか。
アメリカでも、中古市場はiPhoneが主役か
2023年9月7日、Assurant Japan株式会社は2023年第2四半期(4月~6月)のスマートフォン・ 携帯端末下取り市場のトレンドを公開した。アメリカにおいて、下取りされたスマホの上位5機種は、すべてiPhoneだった。とくに「iPhone 11」は、過去4四半期にわたり1位を維持。また、5G対応端末である「iPhone 12」以降の機種の割合も増加傾向にあり、前四半期の29%から今回は34%に達し、5%伸びた。
平均使用年数は長くなり、全体の平均は6%増の3.56年となった。iPhoneの平均使用年数は4%増の3.55年で、Android端末は10%増の3.58年に上昇。世界的な物価上昇により、新品スマホの価格も大幅な値上げが目立つ昨今、機種変更する頻度が減っており、中古市場の取引台数が伸びている。
それはつまり、ユーザーのスマホ買い替えに対する考えが「常に、最新機種を手にしていたい」から「安く買って、長く使いたい」という方向に変わってきているのだろう。
スマホの下取り価格は上昇傾向に
そのようななか、アメリカにおけるスマホの平均下取り価格は、5四半期連続で上昇している。2023年の第2四半期の全体の平均下取り価格は134.81ドルで、とくにiPhoneは214.75ドルとなり、過去最高をマーク。また、オンラインでの下取りも増加し、2023年第2四半期には下取り総額の16%を占めた。これらのデータからも、中古スマホの需要が継続的に高まっていることがわかる。
一方、日本においても、iPhoneが下取りの上位5機種を独占している。1位が「iPhone SE2」で16%を占め、ついで「iPhone 8」(15%)、「iPhone 11」(9%)、「iPhone 7」(8%)、「iPhone XR」(8%)と続くが、アメリカの市場に比べて、古い機種が多い。
日本での携帯電話の平均使用年数は4.4年(内閣府「消費者動向調査」の2023年3月分調査より)で、アメリカよりも約1年長いことが、下取りされるiPhoneのラインナップの違いだと考えられる。
とくに最近は、すぐに使用できる状態に整備されたリファービッシュ品や、認定中古品への関心が高まっている。価格だけではなく、品質を求める傾向に変化しており、中古市場が成熟してきたとも言えるだろう。しかし、品質のよい商品が出回り、価格が上昇すれば、今後、ますます端末の使用平均年数は長くなりそうだ。
そこからが、市場の本当の存在価値が見極められる局面になるのかもしれない。
出典元:【Assurant Japan】
※サムネイル画像(Image:NYC Russ / Shutterstock.com)