総務省は9月8日、有識者会議「競争ルールの検証に関するWG(ワーキンググループ)」のとりまとめた「競争ルールの検証に関する報告書(案)」の修正版を発表。同報告書案では、電話回線契約を条件とした携帯電話端末の割引上限額を4万円(税別。以下同)とする一方、端末の価格に応じて割引額を設定するよう提言している。
スマートフォン割引論を発端は通信事業者らの意見?
現在、電話回線契約を条件とした、端末購入時の割引上限は2万円に制限されている。しかし近年では、回線契約をともなわない端末価格の大幅な下げ施策が実施された結果、端末の転売が盛んに行われ、いわゆる「転売ヤー」が横行する事態を生み出していた。こういった状況を受けて、報告書案では、端末購入時の割引について、上限額見直しの提言を予定。大手携帯事業者の営業利益率等をもとに、割引の上限額を原則「4万円」としたものだ。
しかし、修正前の報告書案については、大手通信事業者の一部が、販売価格が10万円未満の端末の場合、購入サポートプログラムと組み合わせると、「実質1円」や「一括1円」といった販売ができてしまうとの懸念を表明。さらに、MVNOなどからも、割引額を「一律」で4万円と定めることに疑義が呈された。
そこで修正版では、端末価格に応じて、割引上限額を変動させる案を新たに記載。結果、以下のような形となった。
・端末価格が8万円以上の場合、割引上限額:4万円
・端末価格が4万円~8万円の場合、割引上限額:端末価格の50%
・端末価格が4万円以下の場合、割引上限額:2万円
新しい案が施行されたら、キャリア版iPhoneも安くなる可能性が
スマホはオールインワンツールとして生活・仕事の必需品となり、各メーカーが機能やデザインの差別化を図ってきた歴史がある。そこに、世界的な原料供給不足と物価高騰が重なり、いまでは簡単に変え換えられないほど、スマホ価格は高水準となっている。総務省の提言は国民の心情をくみ取った施策として実現するのか否か……。
9月中には今回の修正後の案をもとにした、正式な報告書が公表される見込み。それを受けて、法務省は法令の改正に向けた準備を進めていくことになるだろう。近年では価格が8万円以上の端末も多く、まもなく発表が予定されるiPhone 15も、端末価格が10万円以上と予想されている。
しかし、将来的に新たな割引上限額が施行されたら、現在よりもMNPによる一括購入価格が安くなる可能性は高い。また、転売ヤーの抑止に対する一定の効果にも期待したいところだ。
引用元:【総務省(PDF)】
参照元:【iPhone Mania】
※サムネイル画像(Image:Mr.Mikla / Shutterstock.com)