2023年9月に発表された「Apple Watch Series 9」。このタイミングで「Apple Watch(以下アップルウォッチ)を買うべきか否か」と悩む方は多いのでは?
一方でアップルウォッチには「不要論」も根強い一面も。
まずヘルスケアに特化したアイテムとしてはFitbitなどの選択肢があります。そして単なる時計として見ればG-SHOCKなどよりは割高で、ハイブランドの機械式腕時計ほどのリセールバリューなどもありません。
またiPhoneとの連携が必須という点では、2年~3年ほどで買い替えタイミングがやってきがち。「時計としての製品寿命が短い」という批判も成り立つでしょう。
ではアップルウォッチは「いらない」「買って後悔する」端末なのでしょうか?
今回はアップルウォッチ不要論について、3年半、端末が壊れるまで愛用し続けたアップルウォッチユーザーとしてレビューしたいと思います。
アップルウォッチはいらない?買って後悔する?
先にも書いた通り、筆者は3年半、液晶が吹き飛んで壊れるまでアップルウォッチを使い込んだ1人のユーザーです。それくらいヘビーに使い込んだユーザーの目線から、まずは「こういった点を理解しておかないとアップルウォッチの真価を引き出せず、購入の満足度が低いかも」という点をいくつかご紹介します。
「腕時計」とは似て非なるもの
たとえば「普通の腕時計」と比較する場合、たとえば機械式腕時計であれば「大切な一本をオーバーホールにも出しながら長年愛用し続けるもの」です。しかしアップルウォッチはどちらかと言えば「徹底的に使い倒し、数年ごとに買い替える」方が向いています。ある種の消耗品として使うのが適しているというのは、通常の腕時計と大きく違う点です。
長きにわたって一本を使い続けるものではないので、たとえば買って3年後に壊れたとしたらそれは買い替え時だと理解するのをおすすめします。
毎日の充電はほぼ必須
耐久性と耐用年数は?
Apple Watch Series 9の価格はおよそ6万円弱。もちろんiPhone 15 Proなどと比較すれば圧倒的に安いですが、それなりの出費ではありますよね。「買って後悔するか」という意味では、耐久性や耐用年数も気になるところでしょう。
あくまで筆者の場合ですが、筆者の愛用していた先代のアップルウォッチは3年半の寿命でした。
サイクリングやボルダリングでもアップルウォッチを使っていたので、腕をどこかにぶつけた時に手の代わりにウォッチがぶつかってもいました。そのため、キズなどの蓄積はありました。
ヘルスケアやエクササイズなどはアップルウォッチの真価が発揮される機能でもあるので、筆者の個人的な感想としては「キズを気にして過剰に時計を大事に扱うのは、アップルウォッチの使い方としては微妙」だとも思います。そのためやはり「使い倒す」のがアップルウォッチの基本的な使い方です。
逆に言えば数年使えば壊れてしまいますし、キズも非常に多くなるのでリセールバリューは期待できません。そういった意味では耐久性や耐用年数は「微妙」とも言えます。
通知は便利だが不要な通知は鬱陶しい
アップルウォッチの汎用的な用途には、やはり「通知」が挙げられます。スマートウォッチの画面上でGmailやLINEの通知が確認できるのはやはり便利です。
個性はあまり出しにくいかも?:文字盤変更やバンドの交換は可能
腕時計に対して「個性」「デザイン性」を求める方もいるでしょう。アップルウォッチのケースデザインはひととおりなので、たとえば「ダイバーズウオッチ風のアップルウォッチ(Apple Watch)が欲しい」という際には文字盤などを変えるしかありません。
そういった意味では個性はやや出しにくいかもしれません。
「およそ6万円のスマートウォッチが3年半で壊れ、リセールバリューもさほど期待できない」とした場合、その買い物は性能や耐久性と見合っているのかは個々人の意見によっても違うでしょう。
しかし筆者は「圧倒的に見合っている」と思っており、2023年9月にはアップルウォッチを最新機種に買い換えました。3年半で壊れても、最新機種に買い替えるほど愛用しているのには以下の理由があります。
iPhoneを取り出さずにApple Payが使える
購入して間違いなく「後悔しない」機能には、やはり決済機能が挙げられます。Apple Payとアップルウォッチを紐づければ、Apple Payに登録したクレジットカードや電子マネーでの支払いが可能となります。
余談ですが、海外ではApple Payに「Apple Card」を登録するユーザーが多いです。Apple CardはAppleのクレジットカードで、Apple Payでの使用もメイン用途として想定されています。
加えてApple Cardを保有することは「金利4%超」で話題となった、アップル銀行の利用要件の1つ。今後、アップルウォッチにApple PayとApple Cardを紐づけて使い、アップル銀行で預金もするというスタイルが日本でも普及する可能性を秘めているかもしれません。筆者としては大いに期待しています。
アップルウォッチ(Apple Watch)で通話も可能
「iPhoneを探す」も使える
「アップルウォッチを腕に付けているけれど、iPhoneがどこかに行ってしまった」という場合、アップルウォッチ側から「iPhoneを探す」も使えます。
ヘルスケア関連機能がすごい
3年半ぶりにアップルウォッチを買い替えて、やはり改めて実感したのはヘルスケア関連機能の充実ぶりです。
もちろん以前からアップルウォッチのヘルスケア機能は充実していましたが、Apple Watch Series 9では使い勝手の良さが大きく改善されています。その大きな理由の1つはSiriの機能改善にあります。
アップルウォッチ単体でSiriの処理が完結するようになったので、Siriの受け答えが極めてサクサク。そのため「睡眠アプリを開いて」「いまから30分間ランニングするから計測を行って」などとSiriに指示をすれば、必要なヘルスケア機能をすぐに使えます。精度と使い勝手の両面がとにかく優れていて、やはりこの凄さはぜひ多くの人に体感してほしいです。
「緊急SOS」が安心
このほかには、やはり「転倒検出機能」や「緊急SOS機能」の利便性も特筆すべき点です。ヘルスケア機能に加えて、上の機能があることでたとえば「実家に暮らしている高齢の家族に肌身離さずアップルウォッチを付けてもらい、健康状態を計測しつつ、いざという時にすぐにSOSを呼べるようにする」という用途が広がっています。
もしもここまでに解説してきた機能が「自分にとっては魅力的ではない」としても、高齢の家族には有用かもしれません。上の用途の端末が6万円弱で買い切りであれば、圧倒的にお買い得です。
そういった意味で多様な用途があり、やはりアップルウォッチはスマートウォッチとして極めて優れていると筆者は感じます。
アップルウォッチがおすすめの人・おすすめできない人
このレビューから分かる通り、筆者自身はいまではアップルウォッチなしでの生活が考えられない状態になっています。スマホはもちろんiPhone、PCもMacを使い、AirPodsを使っているため、基本的にApple製品に囲まれて生活しています。
アップルウォッチがおすすめの人の大前提としては、iPhoneを持っていること。さらにヘルスケアチェックをしたい、「緊急SOS」機能がほしいという方は他のスマートウォッチではなく、アップルウォッチを買うといいでしょう。
またSiriとの連携の精度は極めて高く、音声認識でスマートウォッチを使いたい場合もiPhoneとアップルウォッチの組み合わせがおすすめです。一方で、スマートウォッチを単に「通知が来る腕時計」として使うならアップルウォッチではなく、安い中国製スマートウォッチやGoogle Pixel Watchなどでも十分。加えて「リセールバリューがあまり期待できない」点を受け入れられるかも重要な点です。
スマートウォッチ一台でどこまで高精度なヘルスケア機能や音声認識を利用したいのか、また6万円という価格設定が許容範囲などでアップルウォッチがおすすめか否かは変わってくるでしょう。
まとめ
3年半、アップルウォッチ(Apple Watch)の液晶が吹き飛ぶほど端末を使い込んだユーザーの目線からアップルウォッチの魅力についてお伝えしました。
筆者はアップルウォッチを導入したことでQOLが向上した一人なので、アップルウォッチに多少の欠点があるとしてもそれは「使わないほどの理由にはならない」と個人的に感じます。
そもそも「アップルウォッチ(Apple Watch)を買って後悔する」と感じた方は、通知機能も支払い機能もヘルスケア管理も不要か、より安い中国製のスマートウォッチなどで十分な人かもしれませんね。
決して安い買い物ではないため、「iPhoneユーザーなら買って損はない!」と断言はできませんが、今回紹介したような機能を求めていて、かつiPhoneを持っているなら、アップルウォッチを買って後悔をすることはまずないのではないでしょうか。