AppleCare+(アップルケア)は、Apple製品の保証期間を延長できる有料サービス。前提としてApple製品を購入すると1年間の保証と90日間のサポートがつきますが、AppleCare+に加入すると、保証とサポートが2年間に延長。AppleCare+では、通常の保証ではサポートされない過失による破損や盗難による紛失などのサポートもあります。
とはいえ「アップルケアに課金するほどの価値があるのか」と疑問に思う方もいるでしょう。AppleCare+では2年間の保証が適用されますが、実際、この記事をお読みの方の中にも「とりあえず2年間加入したけれど、一度も使用しなかった」方も多いのでは?
【前提】 ちなみにそもそもアップルケアに入っていないとどうなる?
前提としてAppleCare+に加入していない場合、修理費用はすべて自己負担となり、バッテリー交換も有料になります。
AppleCare+に加入していない場合は、修理費用が高額になる可能性も。たとえば、画面以外の故障の場合、AppleCare+に加入していないと修理代だけで2万円以上かかる可能性があります。
アップルケア(AppleCare+)の概要・加入料金
続いて基礎知識として、アップルケア(AppleCare+)の概要と加入料金について解説します。
アップルケアの加入料金【Appleで加入する場合】
Appleで加入する場合のアップルケア(AppleCare+)の加入料金は以下の表の通り。なお、「通常プラン」と「盗難・紛失プラン」の2つがあります。
「通常プラン」料金 | 「盗難・紛失プラン」料金 | |||
iPhoneモデル | 月払い | 一括払い(2年間) | 月払い | 一括払い(2年間) |
iPhone 15 Pro iPhone 15 Pro Max |
1,580円/月 | 31,800円 | 1,740円/月 | 34,800円 |
iPhone 15 Plus iPhone 14 Plus |
1,380円/月 | 28,800円 | 1,540円/月 | 31,800円 |
iPhone 15 iPhone 14 iPhone 13 |
1,180円/月 | 23,800円 | 1,340円/月 | 26,800円 |
iPhone SE (第3世代) |
580円/月 | 11,800円 | 740円/月 | 14,800円 |
※価格はすべて税込み
2年間の支払いで比べると月払いのほうが若干割高。解約しない限り、月払いは自動更新されます。
参考元:Apple
アップルケアの加入料金【ドコモで加入する場合】
実はアップルケアの料金はキャリア経由で入ると、Apple経由の加入とは別の料金プランが適用されます。筆者はドコモユーザーのため、参考までにドコモ経由で加入した場合の料金をご紹介します。
「通常プラン」料金 | 「盗難・紛失プラン」料金 | |
iPhoneモデル | 月払い (2年間) | 月払い(2年間) |
iPhone 15 Pro iPhone 15 Pro Max |
1,580円/月 | 1,740円/月 |
iPhone 15 Plus | 1,380円/月 | 1,540円/月 |
iPhone 15 | 1,180円/月 | 1,340円/月 |
iPhone 14 Plus | 1,350円/月 | 1,450円/月 |
iPhone 14 Pro iPhone 14 Pro Max |
1,480円/月 | 1,600円/月 |
iPhone 14 | 1,180円/月 | 1,280円/月 |
iPhone 12 Pro iPhone 12 Pro Max iPhone 11 Pro iPhone 11 Pro Max iPhone XS iPhone XS Max iPhone X |
1,045円/月 | 1,136円/月 ※24か月目のみ1,152円 |
iPhone 13 Pro iPhone 13 Pro Max |
1,033円/月 ※24か月目のみ1,041円 |
1,116円/月 ※24か月目のみ1,132円 |
iPhone 13 iPhone 13 mini |
783円/月 ※24か月目のみ791円 |
866円/月 ※24か月目のみ882円 |
iPhone 12 iPhone 12 mini iPhone 11 iPhone XR iPhone 8 Plus iPhone 7 Plus iPhone 6s Plus iPhone 6 Plus |
770円/月 | 861円/月 ※24か月目のみ877円 |
iPhone 8 iPhone 7 iPhone 6s iPhone 6 |
678円/月 ※24か月目のみ686円 |
770円/月 |
iPhone 5s iPhone 5c |
586円/月 ※24か月目のみ602円 |
― |
iPhone SE(第3世代) | 408円/月 ※24か月目のみ416円 |
491円/月 ※24か月目のみ507円 |
iPhone SE(第2世代まで) | 403円/月 ※24か月目のみ411円 |
495円/月 |
※価格はすべて税込み
参考元:ドコモ
修理費用に特別価格適用
アップルケア(AppleCare+)に加入していると修理代金に特別価格が適用されます。加入している場合と未加入の場合の修理費用を表にまとめました。
画面のひび割れ(前面のみ) | 背面ガラスの損傷 | その他の損傷 | ||||
AppleCare+ | 加入 | 未加入 | 加入 | 未加入 | 加入 | 未加入 |
iPhone 15 | 3,700円 | 42,800円 | 3,700円 | 25,900円 | 12,900円 | 87,800円 |
iPhone 15 Plus | 3,700円 | 50,800円 | 3,700円 | 29,800円 | 12,900円 | 96,800円 |
iPhone 15 Pro | 3,700円 | 50,800円 | 3,700円 | 25,900円 | 12,900円 | 105,800円 |
iPhone 15 Pro Max | 3,700円 | 56,800円 | 3,700円 | 29,800円 | 12,900円 | 114,800円 |
iPhone 14 | 3,700円 | 42,800円 | 3,700円 | 25,900円 | 12,900円 | 87,800円 |
iPhone 13 | 3,700円 | 42,800円 | 3,700円 | 53,800円 | 12,900円 | 68,800円 |
iPhone SE(第3世代) | 3,700円 | 19,400円 | ― | ― | 12,900円 | 44,000円 |
※価格はすべて税込み
特別価格は修理サービスのタイプによって異なりますが、たとえば「その他の損傷」の場合、iPhone 15 Pro Maxでは最高114,800円かかるにも関わらず、12,900円で済むのはかなりお得。
無償のバッテリー交換
アップルケア(AppleCare+)に加入していると、バッテリー交換を無料で受けることができます。
バッテリー交換 | ||
AppleCare+ | 加入 | 未加入 |
iPhone 15 | 15,800円 | 0円 |
iPhone 15 Plus | 15,800円 | 0円 |
iPhone 15 Pro | 15,800円 | 0円 |
iPhone 15 Pro Max | 15,800円 | 0円 |
iPhone 14 | 15,800円 | 0円 |
iPhone 13 | 14,500円 | 0円 |
iPhone SE(第3世代) | 11,200円 | 0円 |
※価格はすべて税込み
なお、バッテリー交換の対象となるのは、バッテリー蓄電容量が80%未満になっている端末のみ。いつでも交換できるわけではありません。
テクニカルサポート延長
冒頭で述べたように、Apple製品には自動的に1年間の保証と90日間のテクニカルサポートがついています。それが「AppleCare」です。“+”がついた「アップルケア(AppleCare+)」はその保証がそれぞれ2年に延長されるサービスです。
結局、アップルケア(AppleCare+)は必要?不要?
ここまでアップルケア(AppleCare+)の基礎知識を紹介してきました。結局のところ、アップルケアは必要なのでしょうか?不要なのでしょうか?
料金が高い!
アップルケア(AppleCare+)が「必ずしも必要ではない」と筆者が感じる理由のひとつに、まず「料金が高いこと」が挙げられます。
そのため、たとえばiPhone 15 Proなどの端末を購入するのであれば、4800万画素のカメラやその他数々の高機能が「日常的に必要か」を検討すると良いでしょう。日常的には不要と感じれば、普段使いは安価なAndroidとした上で、どうしても必要な時にiPhoneをレンタルするという手段もあります。
保証効果は「2年」:36回払いだとムダが大きい
先述した通り、アップルケア(AppleCare+)の保証は2年間しかありません。しかし、iPhoneは高価なだけに36回払い(3年間)などの分割払いにしている人も少なくないでしょう。
iPhoneの高騰が進んでいるにも関わらず、アップルケアの保証期間の短さは高騰した端末を分割にする際の「落とし穴」と言えるでしょう。ただし、アップルケアは延長することも可能。月額料金を支払えば、その月内は保証されます。
参考元:Apple
ユーザーではなく「端末への保証」である点にも注意
アップルケア(AppleCare+)は契約したユーザーに対しての保証ではなく、端末のシリアルナンバーに紐づけられた保証です。そのため、中古でiPhoneやApple製品を買った場合、アップルケア(AppleCare+)に加入したものであれば、保証を名義変更なしで引き継ぐことが可能。
逆に言えば自分が端末を手放したあとに購入した新しい端末に、以前加入していたアップルケア(AppleCare+)を引き継ぐことはできません。
●Apple「デバイスの保証状況の確認」は→こちら
「2年以内に修理が必要なレベルの破損が起きる」か?
iPhone 13 Pro Maxを2年間使用した筆者の個人的な感想としては、2年経過してもバッテリー持ちは上々で、液晶のキズも「多少気になる」程度。アップルケアで完全に修理する必要があるほどの故障は「そもそもあまり起きない」と感じています。
つまりアップルケア(AppleCare+)保証の「2年以内に修理が必要なレベルの破損やバッテリー消耗が起きるか」と言えば、意外とそのようなことも無いというのが素直な感想です。「念のため加入したいという人は加入しても良いですが、万人に必要な保証とは言えないのでは」と感じます。
後ほど「アップルケアが必要な人おすすめパターン」を紹介しますが、そのパターンに当てはまっていないなら、加入しないというのも悪くない選択です。
保証対象外となってしまうケースもある
実は、アップルケア(AppleCare+)はiPhoneのすべての故障に対応しているわけではありません。2023年9月現在、保証対象外となってしまうケースの例は以下の通りです。
・通常使用による経年劣化、または対象機器(スマホなど)の機能に影響しない外観上の損傷
・無謀⾏為、乱⽤⾏為、故意や意図的な⾏為といった通常ではない使用やAppleが意図していない使用によって生じた損傷
・正規店以外で修理した端末
・災害(火災、地震)またはその他の外的要因が原因の損傷
・バッテリー蓄電能力が本来の使用の80%未満にでない場合(※バッテーリー交換の場合)
基本的に使えない無償のバッテリー交換サービス
アップルケア(AppleCare+)の特徴のひとつである「バッテリーの無償交換」ですが先述した通り「バッテリーの蓄電能力が本来の使用の80%未満」でないと交換はできません。しかし、たった2年でバッテリー状態がそこまで劣化することはほぼないと考えられるため、このサービスはあまり意味がないともいえるでしょう。
アップルケアが必要なおすすめパターンとは?
アップルケア(AppleCare+)がおすすめなパターンとおすすめな人を紹介します。
破損リスクが高い使い方をする
筆者は普段、マウンテンバイクなどアウトドアな趣味も楽しんでおり、意図せず持っているiPhoneや着用しているApple Watchにダメージを与えてしまうことがあるため、アップルケア(AppleCare+)に加入して「ある程度の安心」を買っています。
このように破損リスクが通常より高いのであれば、ハラハラして使うよりも、アップルケア(AppleCare+)に加入してしまったほうが安心です。
アップルケアを適用して端末をリフレッシュしてから中古店に売る
アップルケア(AppleCare+)の適用期間内に徹底的に端末を使い倒した後、背面ガラスや液晶、またへたりがある場合はバッテリーを交換して「新品同様」の状態にしてから中古店に売るという手があります。この場合のメリットは、端末の状態が新品同様となるため査定額が大きく上がるということです。
中古端末や認定整備済み品に対してアップルケアを適用する
中古端末は壊れやすいという印象がありますが、アップルケア(AppleCare+)に加入しておけば万が一故障した場合でも安く修理することが可能です。
アップルケア(AppleCare+)がおすすめの人・おすすめしない人
アップルケア(AppleCare+)がおすすめの人は、万が一壊れたときに高いお金を出して修理することに抵抗がある方です。また、先述した通り故障リスクのある端末や使い方をしている方にもおすすめです。
一方で、そもそも保証プランに加入したとしても修理にお金を払うことに抵抗がある方にはおすすめできません。正規店ではない場所で修理してしまった経験のある人も保証の対象外になるためおすすめしません。
【参考】そもそも2年後に「端末を返却する」ケースも増加している
なお、iPhoneは高価になるにしたがって、「購入から2年で端末を返却する」という使い方を選択するケースも増えています。
Apple製品の価格は高騰傾向
2023年9月22日にiPhone 15シリーズが発売されましたが、以下の表の通り、端末もすべて10万円超という高価格でした。
ストレージ | iPhone 15 | iPhone 15 Plus | iPhone 15 Pro | iPhone 15 Pro Max |
128GB | 124,800円 | 139,800円 | 159,800円 | ― |
256GB | 139,800円 | 154,800円 | 174,800円 | 189,800円 |
512GB | 169,800円 | 184,800円 | 204,800円 | 219,800円 |
1TB | ― | ― | 234,800円 | 249,800円 |
※価格はすべて税込み
もっとも価格の高いiPhone 15 Pro Maxの1TBにいたっては249,800円と超高価格。もはやゲーミングPCと遜色ない価格となっており、アップルケア(AppleCare+)うんぬんの前に、購入自体のハードルが高くなっています。
キャリアの購入プログラムを適用すると実質半額に
そこで高価格帯のスマホが欲しいときに役立つのがキャリアが展開している購入プログラム。簡単に説明すると、端末代を約2年間だけ分割払いで支払い、その後に端末をキャリアに返却すると、残りの分割金の支払いが免除されるというプログラムです。端末によっては約半額でiPhoneが利用できる場合もあり、検討してみても良いでしょう。
なお、キャリアの購入プログラムについては以下の記事を参考にしてください。
2年後に端末を返却する場合、そもそも返却が前提の端末に対して手厚い保険をかける意味は薄いのではないでしょうか。よってキャリアの購入プログラムを使うならば、アップルケアは要らないという判断もできます。
まとめ
iPhoneは端末が高価になるに従い修理代金も高くなっているため、アップルケア(AppleCare+)に加入していれば修理代金が安く済みます。万が一のときにも備えられるので安心です。しかし、キャリアの購入プログラムを使って2年で返却する場合やAppleではないお店で修理するケースが多いという人の場合は、必ずしもアップルケアは必要ではないといえるでしょう。
※サムネイル画像(Image:mundissima / Shutterstock.com)