楽天モバイルは23年10月1日から約款の一部を変更し、サービス利用意思のない契約に対して賠償請求を行うと発表しました。これはいわゆる“転売ヤー”対策ではないか? としてネットで話題となっているのです。そこで今回は、どうして楽天モバイルがこのような措置を取ったのかを解説したいと思います。
楽天モバイルがついに転売ヤー対策に動いた!?
4大キャリアのなかではもっとも安く高速データ通信の無制限利用ができるほか、最新iPhoneを他キャリアより安く買えることで人気の高い「楽天モバイル」。
そのような楽天モバイルが、23年9月19日に約款の一部を変更し、23年10月1日よりサービス利用意思のない契約をして損害が出た場合、賠償請求を行うと発表しました。
今回変更されたのは、楽天モバイル通信サービスの第15条9(5Gサービスは第17条9)で、その内容はいずれも「契約者が、本サービス利用の意志が無いにも関わらず本契約を締結したことにより、楽天モバイルに損害が生じた場合、当社は、契約者に対して、別途当社が損害相当額として定める金額の支払いを請求することができます」となっています。
たとえば、楽天モバイル契約時にスマホを2万円割引の実質1円で購入したのに、1カ月後にすぐ解約された場合、楽天モバイルは料金プランの最低料金1,078円しか回収できません。
そのため、その差額分の損害を楽天モバイルがユーザーに損害賠償請求することも可能になるのでは? とみられているのです。
また、「本項に該当すると当社が合理的に判断した場合、当社は原則として本サービスの支払い手段として契約者が登録している支払い手段により当該損害金の徴収を行うものとします」とありますので、クレジットカードでスマホを購入すれば、クレジットカードから損害賠償金を引き落とされることになりそうです。
とはいえ、この約款変更を見る限り、一般ユーザーが損害賠償請求される恐れはなく、イタズラ目的で契約&解約を繰り返す者。あるいは、スマホの転売目的で契約&解約を繰り返すいわゆる“転売ヤー”を想定していると思われます。
●楽天モバイル「【約款変更のお知らせ】楽天モバイル約款変更のお知らせ」は→こちら
どのような基準でどのくらいの損害賠償金を請求される?
オトナライフ編集部は、今回の件を楽天モバイル広報に問い合わせてみました。すると、実際に損害賠償する金額は3,000円(不課税)を想定しており、具体的な条件の開示は行わないが、サービスの利用状況は弊社の基準で総合的に判断するそうです。
また、今回の措置は通常の利用方法であれば、まず対象になることははないそうなので、一般ユーザーはさほど気にする必要はないとのことでした。
とはいえ、果たして3,000円程度の金額で転売ヤー対策になるのでしょうか?
たとえば、価格1万9,001円のRakuten Hand 5Gを購入すると同時に楽天モバイルに加入すると1円になりますが、実は、現在の買い取り価格は新品未開封品でも4,000円程度です。
もし、損額賠償請求で3,000円を請求されてしまうと、Rakuten最強プラン1カ月分の利用料1,078円と合わせて計算すれば、転売ヤーは赤字になってしまうので、それなりの抑止効果が見込めるでしょう。
あるいは、イタズラ目的で契約しては解約を繰り返す不届き者もいるでしょうから、転売ヤー対策というよりもむしろ、そのような悪意のあるユーザー対策と考えたほうが自然かもしれませんね。
そもそも、楽天モバイルでは契約時や解約時などの手数料がほとんど0円ですので、3,000円という賠償額を考えると、その手数料分相当額を請求するという意図なのかもしれません。
まとめ
いかがでしょうか? 今回は23年10月1日から適用された楽天モバイルの約款一部変更がどういう意味を持つのか考察してみました。
ネットでは「いわゆる“転売ヤー”対策ではないか?」と大いに話題になっていましたが、実際に想定されている賠償金額が3,000円(不課税)と少ないことから、イタズラ契約の防止策と考えるのが自然でしょう。
いずれにせよ、一般ユーザーにはあまり関係ないことなので、さほど気にしなくてもいいのではないでしょうか。