10月19日、モバイル専門のマーケティング機関のMMD研究所が「2023年9月MNOのシェア・満足度調査」の結果を発表した。自前で通信関連の基地局や設備を持つ事業者(MNO)の最新状況を明らかにする同調査では、ドコモやau、ソフトバンクなどのメインブランド同士のシェア争い、格安スマホのUQモバイルの台頭など、多くのユーザーが使用しているであろうブランドの情報が目立つ。しかし、局所的なランキング項目では、ドコモの「ahamo」、ソフトバンクの「LINEMO」といったオンライン専用ブランドが上位を占める結果となった。誕生間もないブランドが躍進したランキングとは……。
総合満足度で「ahamo」が首位に! 低価格に次ぐ魅力とは?
ここでいう「オンライン専用ブランド」とは、契約やサポートなどの諸手続きをすべてオンラインで行う点が特徴で、手続きを人的スタッフや店舗を介さずに行うこともあり、低水準の月額料金で高速データ通信ができるものを指す。「ahamo」、「LINEMO」、KDDIの「povo」の若年層に支持される著名人を起用した広告プロモーションからも、比較的年齢層の低いユーザーをターゲットにしたブランドと思われる。
2020年代に誕生した新規性の高いオンライン専用ブランドのうち、同調査の結果、「MNO9サービスの総合満足度」の項目で、ahamoが736ポイントでトップとなった。ついで、LINEMOが735ポイント、povoが730ポイントであり、オンライン専用ブランドがユーザーにいかに支持されているかがわかる。
本項目が“総合満足度”を測るランキングである以上、低価格というだけでは上位を独占できないだろう。現代社会ではマストツールとなった高速インターネットを使えるほか、オンラインで手続きやサポート連絡を行う手軽さが支持されている可能性は高い。とくに若年層は“電話嫌い”に象徴される人的コミュニケーションを敬遠する傾向にあり、やりとりをオンラインで行えるだけでも満足度は高まるのではないか。
コロナ禍の外出規制の経験もあり、オンライン中心の社会仕様を好んでいる可能性もある。
「ぜひオススメしたい!」のは「LINEMO」 LINEユーザーには“0”のメリットが
推奨者から批判者を引いたNPS(ネット・プロモーター・スコア/顧客推奨度)の項目で首位に立ったのはLINEMO(-7.0)だ。老若男女問わず令和のコミュニケーションツールとして浸透しているLINEを、トーク・音声電話・ビデオ電話のデータ消費を“0”で使用できる「LINEギガフリー」は、多くの人にとってメリットがあるだけにオススメしたい気持ちは理解できる。契約データ容量を超えても、LINE関連の通信速度は維持されるのも大きな特長だろう。対して、最下位となったのはソフトバンク(-42.7)で、キャリア内で明暗が別れる結果になったのも興味深い。
同調査結果から、スマホユーザーのリアルな感想を知ることができた。オンライン専用ブランドの実力が明らかになり、ahamoにいたってはわずか2年超で500万契約を突破しただけに、今後も通信業界で存在感を高めていくことだろう。