日本で最も利用者が多いJR山手線において、最もつながる5Gネットワークはどのキャリアなのか。「モバイルネットワークエクスペリエンスの定量化」を専門とするイギリスの分析会社Opensignal(オープンシグナル)が2024年3月16日、JR山手線の主要駅で4つのうちのどのキャリアがつながりやすいかを調査しているのでみてみよう。
一貫した品質・5G利用率・5Gゲーム・エクスペリエンスで単独トップはソフトバンク
電車での時間つぶしにスマホは「なくてはならない」という人が多いなか、各キャリアの5Gのネットワークのつながりやすさは気になるところだ。1日に最大500万人の乗客が利用するといわれる山手線周辺と、東京、品川、渋谷、新宿、池袋、上野、秋葉原の各駅でオープンシグナルがデータの収集を行い、電車や駅での乗客の体感を測定した結果、12の項目のうち「一貫した品質」「5G利用率」「5Gゲーム・エクスペリエンス」で、単独トップになったのはソフトバンクだった。
「一貫した品質」というのは、ネット上でユーザー体験がどれほど十分だったかを示しているのだが、同率2位のauとドコモを5.4%も上回って84.5%となっている。また、5Gサービスの広がりを占める尺度である「5G利用率」も2位のauを5.1%上回って28.3%となっている。
3つの総合的項目で首位を分け合っているのがauとソフトバンク
では、山手線周辺ではソフトバンク一強かというとそういうわけではない。音声アプリ通話などとして利用されるLINEなどのOTTアプリのエクスペリエンスを測定する「5G音声アプリ・エクスペリエンス」ではauがトップで、どれほど快適にゲームができるかを表す「5Gゲーム・エクスペリエンス」では1位のソフトバンクと大差がない。さらにauとソフトバンクは3つの総合的なエクスペリエンス・スコアすべてにおいて1位を分け合っているような状態だ。
こうしてみるとドコモと楽天はどうなっているのかと思うが、ドコモは「5Gダウンロード・スピード」でトップを守っている。またドコモは「瞬速5G」と称するネットワーク充実化に取り組んでいる最中で今後への期待は大きい。
最後に楽天だが、「ダウンロード・スピード・エクスペリエンス」については競合他社に大きく後れをとっているが、「アップロード・スピード・エクスペリエンス」では追随を許さない状況だ。どれくらい引き離しているかというと、2位のソフトバンクよりも6.8%多い18.2%で、auのほぼ2倍となっている。
「一貫した品質」の項目では東京周辺と山手線周辺を比較すると、山手線周辺の方がわずかにスコアが劣る結果となっているが、これは一カ所にさまざまなものが集中する混雑した状況が原因だとみられる。
JR東日本は、1つの5Gアンテナを複数の通信事業者が共用する「インフラシェアリング」の事業者として、5Gインフラ設備を提供する。準備が整った通信事業者から順次5Gサービス開始が始まる予定とされており、こういった環境も整ってより利用しやすい状況になっていきそうだ。
出典元:【Opensignal】