2003年に発売されたガラケー「INFOBAR」。特に「NISHIKIGOI」という赤色のボディとベージュの本体色とボタンデザインはプロダクトデザインの美しさが際立つ逸品です。2017年にKDDIが発表した「auおもいでケータイグランプリ」では堂々1位に。
もっとも、auは2022年3月31日に3G回線を終了。2024年現在、ガラケーとしての「INFOBAR」は使用できません。しかし、いまでもネットオークションで状態のいい端末が4,400円~10,000円以上で取引されるなど、人気となっています。つまり一種のインテリアやコレクターズアイテムとして支持されていると言えるでしょう。この記事ではその魅力について解説します。
なぜいまでもINFOBARは人気なのか:プロダクトデザインの魅力
2003年6月に発売された初代「INFOBAR」はプロダクトデザイナー深澤直人氏とのコラボレーションで誕生した名機中の名機です。当時は「デザインケータイ」とも称されており、細長い縦長フォルムと「NISHIKIGOI」に代表される配色の美しさがやはり印象的。
今日でもINFOBARが人気を保っている理由は、ガラケーとしての機能そのものというよりは「一種の美術品としての価値が大きいから」と言えるのではないでしょうか。
2007年にはニューヨーク近代美術館(MoMA)に収蔵
先述したようにそのデザイン性からINFOBARは、国内外で高く評価されたプロダクトです。たとえば2007年には、アメリカ・ニューヨーク近代美術館(MoMA)の永久収蔵品に選定されました。
その他に2003年度には日本の「グッドデザイン賞」、2005年にはドイツの「iFプロダクトデザイン賞」、2013年には米インディアナポリス美術館にも収蔵され、世界的評価をされている逸品。最近では、2023年に大阪中之島美術館の企画展で展示されることも発表され話題となりました。
スマホとしての「INFOBAR」
INFOBARはガラケーというイメージが強いですが、実は「INFOBAR」シリーズにはスマートフォンも存在しています。
たとえば2011年6月に発売された「INFOBAR A01」はシリーズはじめてのスマホ機種。スマホながらINFOBARの代名詞的なタイルキーも物理キーとしてしっかり搭載しつつ、カラーバリエーションもマルチカラーデザインを踏襲。その上でスマートフォンとしての機能性も兼ね備えた機種となりました。
その後も後発モデルは継続的に発売されています。たとえば2013年に「INFOBAR A02」、2015年に「INFOBAR A02」が発売。スマートフォンとしての新作にもまだまだ期待が集まっています。もっとも2024年7月現在は、スマホとしての新作INFOBARに関する発表などはなく、販売予定はないものと見られます。
「初代 INFOBAR型 Apple Watch Case」も話題に
前述の通り、スマホとしての新作INFOBARは発表されていないものの、関連プロダクトは昨今も発表されています。
たとえば2024年5月17日には、KDDIから「初代 INFOBAR型 Apple Watch Case」が限定販売され、大きな話題になりました。これはベルトを外した状態のApple Watch本体を「初代INFOBAR型のApple Watchケース」に装着。すると初代INFOBARの「NISHIKIGOI」のデザインで、Apple Watchを操作したり、通話できるという遊び心あるプロダクト。
Apple Watchの本来の使い方はできず、物理ボタンでなにか操作もできませんが、まるで「初代INFOBARが復活した」かのような感覚を得ることができます。
携帯電話としてのINFOBARはもう出ない?
先述した通り、2024年7月現在、携帯電話としての「INFOBAR」の新作情報は特に発表されていません。
INFOBARを生んだ「au Design project」は近年、生成AIマスコット「Ubicot」やメタバースデバイス「METAVERSE WATCH concept」などを手がけています。メタバース空間など新たなプラットフォームに向けたプロダクト開発に乗り出している段階と言えるでしょう。
とはいえMoMAに収蔵され、いまも関連プロダクトが発表されるなど普遍的な人気がある「INFOBAR」。その素晴らしさを受け継ぐ新たなプロダクトの発表は、今後も十分に期待できるのではないでしょうか。