多くの人が使用しているスマホOSは「iOS」「Android」の2択ではないでしょうか。しかし、実は「iOS」「Android」以外のスマホOSも存在し、中には2大OSに次ぐ第三勢力になりつつあるものや国内流通が始まっているものもあります。
iPhone派やAndroid派にはあまり馴染みのない他のOS。この記事では、iPhoneやAndroidとは一味違った魅力を持つ4つのモバイルOSを紹介します。
HarmonyOS
まずiOS・Androidに次ぐ「第3のモバイルOS」として地位を築きつつあるのが「HarmonyOS」。HarmonyOSは、ファーウエイ社(HUAWEI)が開発したモバイルOSです。
ファーウエイは2019年に米国からの制裁を受け、先端半導体などの輸出規制の対象となりました。加えて政府方針を受けて、GoogleからAndroidのアップデート制裁やアプリ制限も受けました。
それを機にファーウエイはOSなどの技術の内製化をスタートし、独自OSである「HarmonyOS」を発表。HarmonyOSは中国国内を中心に爆発的に普及し、米国の制裁下でありながらも増収を連続で達成。2024年1月にはAndroidベースとは完全に決別した「HarmonyOS NEXT」を発表しています。
「HarmonyOS」はスマホやタブレットだけでなく、スマートホーム化が進む中国では家電や自動車にも搭載され始めています。つまり家電や車とモバイル端末が「1つのモバイルOSの中で連携させられる」ことを意味し、これらを跨ぐアプリも開発しやすいことを意味します。
なおHarmonyOSではGoogle Playが利用できない代わりに、アプリストア「AppGallery」が搭載されており、独自のエコシステムを形成。今後も広がりを見せると思われます。
KaiOS
KaiOSは、LinuxベースのモバイルOSです。「スマホの性能とフィーチャーフォンのお手軽さを両立する」というコンセプトがあり、開発途上国でいまだにインターネットに接続できていない方々などに提供するモバイルOSとして注目を集めています。
ちなみに国内企業としては、KDDIがKaiOSに対する出資を行っています。出資額や評価額は非公表です。
日本で発売されているKaiOS端末には「JOURNEY Pro 4G」(Orbic製)があります。JOURNEY Pro 4Gは国内では初となるKaiOS端末であり、その最大の特徴はガラケーのような見た目の「2つ折り」。
ガラケーのような使い心地ながら、スマホのようなアプリ追加も可能。Googleとの協力関係もあり、YouTubeやGoogleマップも利用可能。
SIMフリー版の価格は1万9800円であり、お手頃な点も魅力です。国内でも「ガラホユーザー」「ガラケーユーザー」などを対象に大きな盛り上がりを見せる端末及びOSに発展するかもしれません。
Windows Phone(※サポート終了済み)
2010年に登場した「Windows Phone」は、Microsoftが開発したスマートフォン向けのOSで、一時期はiOSやAndroidに次ぐ第三の選択肢として注目されていました。
2015年にはWindows 10との連携を強めた「Windows 10 Mobile」を、Windows Phoneの後継OSとしてもリリースしています。しかし「Windows 10 Mobile」は2019年にサポート終了。Microsoftのサティア・ナデラCEOは、後年メディアの取材に対して「今思うと、PCやタブレット、スマートフォン間の機能や連携を再発明することで、Windows Phoneや携帯電話をより良く機能させることができたのではないかと思います」と語っています。
モバイルOS事業からの撤退を明確に悔やんでいることが明らかな発言と解釈できる内容です。Google社が自社製AI「Gemini」を全面的にPixelシリーズに搭載し、スマホ市場でシェアを拡大していることなどを踏まえると、Microsoft社の再参入は「あっても不思議ではない」一手かもしれません。
Ubuntu Touch
Ubuntu Touchは、LinuxベースのOS「Ubuntu」のスマホ向けOSです。最大の特徴はUbuntu Touchを搭載したスマホにキーボードとディスプレイを接続すれば、そのままLinuxのPCとして使用できること。
つまり、単体ではLinuxベースのスマホとして利用でき、ディスプレイに繋げばPCとなります。もちろんUbuntu向けのアプリは、Ubuntu Touchでもそのまま利用可能です。
ただしUbuntu TouchはあくまでオープンソースのOSであり、iOSやAndroidと比べて動作が安定しているとは言えません。またベースとなるAndroidスマホが必要ですが、ドライバのインストールやコマンドプロンプトの活用など複雑な設定が必要。最悪の場合、ベースのAndroidスマホが動作しなくなるリスクを抱えています。
加えてUbuntu Touchは日本語のドキュメントが充実しているとは言えないOSです。公式サイト上では、日本国内での流通量が多いスマホとしては「Google Pixel 3a」を対象とした設定ドキュメントが充実しているため、現状では一種の実験や遊びの一貫として中古のGoogle Pixel 3aを購入してOSをインストールしてみる程度にとどめることがおすすめ。メイン機で使うべきOSとまでは言えません。
※サムネイル画像(Image:Yasu31 / Shutterstock.com)