今や、少なくとも1台、また仕事などの使いわけによっては2台持っていることも少なくない携帯電話やスマートフォン。国全体でみると、一体どのぐらいの出荷台数となっているのだろうか。MM総研が2024年度の出荷台数を調査した。2000年度以降の比較データもふまえて、調査結果をみていこう。
メーカー別ではアップルがシェア1位を誇っている
2024年度上期の総出荷台数は1325.1万台(前年同期比8.3%増)、そのうちスマートフォンが1279.2万台(10.5%増)となっている。また5Gスマートフォンが1272.9万台(11.1%増)となっており、スマートフォン全体における割合が99.5%とほぼ大半を占めていることが判明した。ちなみに2000年度以降では、2024年度通期は過去2番目に少なくなると予測されている。過去で最も少なかったのは2023年度上期。2024年は過去2年間で減少した買い替え需要の回復が見込まれている。
また、2024年度上期のメーカー別総出荷台数のシェア1位はアップル。上期実績としては13期連続で1位を獲得している。2024年9月に発表した最新のiPhone 16シリーズは無印/Plus/Pro/Pro Maxの4モデル。2022年発売のiPhone 14シリーズ、2023年発売のiPhone 15シリーズの人気もまだ根強く、価格改定をしながら2年間以上の出荷が期待できるところがiPhoneのシェア1位が続いている理由ともいえる。アップルによる独自の生成AI「Apple Intelligence」の日本語対応が2025年と発表されていることもあり、今後の市場での反応にも注目が集まるところだ。
電気通信事業法の改正による市場動向にも注目したい
2024年11月現在では、総務省による電気通信事業法に基づく省令改正に向けた議論が進んでいる。争点となっているのは、「下取り金額プログラムの是正」「ミリ波(日本では28GHz帯)対応スマートフォンの割引上限1.5万円引き上げ」「お試し契約として6カ月以内最大2万円の割引」の3点である。
「下取り金額プログラムの是正」は、1~2年後に下取りすることで、実質数十円で購入できるような下取り金額を設定するケースが散見しており、中古端末の買い取りや販売をおこなっている事業者との競争環境に影響を与えているものとして、見直される。「ミリ波(日本では28GHz帯)対応スマートフォンの割引上限1.5万円引き上げ」は、2023年の電気通信事業法の省令改正により8万円以上の端末では最大4万円と設定されたが、ミリ波対応端末の場合はさらに1.5万円の割引を容認するというもの。
ちなみに、ミリ波対応モデルは一部の高価格帯Androidに限定されており、アップル製品はiPhone 16シリーズも含めてすべてミリ波非対応である。ミリ波対応モデルの普及が進まない理由は、開発における技術的な難易度、対応時の価格転嫁における需要低下、携帯キャリアのネットワーク構築状況だと分析される。「お試し契約として6カ月以内最大2万円の割引」は、楽天モバイルが要望していたもので、容認される見通しである。
電気通信事業法の省令改正もあいまって、スマートフォン市場もまた大きな変化が見られるかもしれない。今後の動向からも目が離せなくなりそうだ。
出典元:【MM総研】
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