携帯キャリアの「端末購入プログラム」が大きく変わる? 高価な下取りが是正される?

携帯キャリア各社が提供している端末購入プログラムが、大きな転換期を迎えようとしています。総務省の規制強化の動きを受け、過剰な下取り額や実質0円といった販売手法が見直される見込みです。では、具体的にどのような変更が予定されているのでしょうか?

そもそもキャリアの「端末購入プログラム」とは?

そもそも「端末購入プログラム」とは、端末を「残価設定型」で端末購入プログラム24回払いで購入し、一定期間月々の分割支払い金額を支払ったあと、端末をキャリアに返却することで、残りの支払いが免除されるというもの。年々高価になっているスマホを、実質的に割安で利用できます。

「いつでもカエドキプログラム+」を利用した場合の残価の例

なお「残価設定型」とは自動車ローンでよくある仕組みの1つです。本体価格の一部をあらかじめ残価として据え置き、残りの金額を分割で支払う形です。下取り価格が保証されている点が特徴です。この残価設定型の端末購入プログラムの代表例には、ドコモが提供する「いつでもカエドキプログラム+」が挙げられます。

「いつでもカエドキプログラム+」は対象機種を残価設定型24回払いで購入し、12~22カ月目に端末を返却すると、残りの分割支払金と24回目の残価が免除されるというものです。ただし、早期返却の場合は12,100円のプログラム早期利用料がかかります。

「いつでもカエドキプログラム+」を利用した場合の残価の例1

(画像は「ドコモ」公式サイトより引用)

たとえば105,500円の端末を購入した場合、24回目に支払う48,000円を除いた金額を、1回目~23回目までで分割して支払うことになります。さらに24カ月目で支払う場合はそこからさらに6,600円が引かれ、実質負担額は50,900円。本来の半額以下で10万超のスマホを利用できることになります。

端末購入プログラムは事実上の「レンタル」や「リース」?

これらのプログラムは、以下の点でレンタルやリースに似ている側面があります。

・一定期間使用後、端末を返却する必要がある
・返却時に端末の状態が良好でない場合、追加料金が発生する可能性がある

なお所有権は購入者にあり、「端末購入プログラム」を利用せず、分割払いを完済する(端末を返却しない)という選択も可能です。その点では「レンタル」とは似ている部分もありながら、やはり異なる部分もあるとはいえます。先にも述べましたが、一番近いのはやはり残価設定型の自動車ローンです。

総務省は「1年12円」など極端な端末購入プログラムを是正へ

先述したとおり、「通信料金と端末代金の完全分離」により、「1円スマホ」の販売は減りましたが、いまだに「1カ月の支払いが1円で年間12円」で端末が使えると謳う購入プログラムも存在します。

これに対し、総務省側は「電気通信事業法第27条の3等の運用に関するガイドライン」の改正により、極端な返却プログラムの是正を目指しています。具体的には、返却プログラム販売時に具体的な買取予想額の提示を義務づけるというもの。買取予想価格の算出方法は「端末の販売価格 × 残価率 × その他考慮事項」という式の使用が求められるといい、予想価格と実際の価格の乖離を小さくすることができます。

低価格の端末は値引き額の上限額の引き上げの対象外でもある

一方、スマホ値引きに関する新ルールが反映された電気通信事業法施行規則の改正は2024年12月上旬公布、12月26日に施行される予定です。

現在、スマホ値引きの上限は定価の50%を超えない範囲内での2万~4万円以内ですが、新ルールでは、50%を超えないという条件はそのままに、定価11万円以上のミリ波対応スマホに関しては値引き上限が5万5,000円となります。つまり、対象となるのはハイエンドスマホのみで、低価格帯のスマホはこの改正の恩恵を受けることはできません。

スマホが「高根の花」になる?

キャリアによる高価な下取りが是正され、なおかつスマホの値引き上限の見直しの恩恵が低価格帯の端末では受けられないのは、実質的に「ハイエンドスマホを端末購入プログラムを通じて入手するハードルが高くなり、なおかつ低価格帯の値引き上限の引き上げも行われない」ことを意味する可能性があります。よってスマホの購入ハードルは年々上がってしまっているのが現状といえるかもしれません。

ソフトバンクではAndroidスマホの単品購入が不可に

余談ですが最近の動きとしては、ソフトバンクが2024年9月にAndroidスマートフォンの単品購入を実質廃止したことも大きな話題となりました。

ソフトバンクではAndroidスマホの単品購入が不可に1

(画像は「ソフトバンク」公式サイトより引用)

機種変更やのりかえ、回線の新規契約であれば、Androidスマホでも購入可能です。総務省は2019年の改正電気通信事業法の施行に基づき、「通信料金と端末代金の完全分離」を呼びかけています。

このソフトバンクの対応は「通信料金と端末代金の完全分離」に反しているという見方も一部で指摘されています。事実上、Android端末を単体購入したい場合はソフトバンクは選択外になってしまったといえます。少なくとも「Androidをソフトバンクで購入する」ハードルはすでに大きく上がったといえるでしょう。

※サムネイル画像(Image:sarah_xie7 / Shutterstock.com)

オトナライフ編集部
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