かつては2年周期で買い換える人が多かったスマホ。しかし高価格化と高性能化に伴い、2024年現在すでに2年を超えて、はるかに長く端末を使用する方も増えているのでは? しかし、気になるのが2年以上スマホを使用するならば「結局スマホの寿命はどの程度なのか」という点。
この記事では、スマホの寿命の目安についてOSアップデート期間とバッテリーの寿命の両面から解説します。
スマホを「4年以上」使い続ける人が増えている?
まず前提として、国内では一台のスマホを2年で買い替えるのではなく、4年以上使い続ける人が増えていると考えられます。
内閣府が2023年12月に実施した消費動向調査によると、携帯電話の平均使用年数は4.4年。なお、内閣府経済社会総合研究所 景気統計部によると、10年前の2013年12月は3.2年、20年前の2003年12月では2.2年でした。
いわば2年での買い替えは10年以上前の「携帯電話の買い替え周期の定番」であり、2024年現在は買い替えスパンが伸びているようです。
なお、買い替え理由の1位は「故障」で全体の38.7%。「上位品目への移行」が30.6%のため、「新しい機種が出たから買い換えた」よりも「壊れたから仕方なく買い換え」の人の方が多いことが分かります。つまり「性能が不満で買い替えるユーザー」よりも、故障が原因で買い替える人が増えていることが分かります。2024年現在、2年周期で買い替えなくともスマホは性能的に十分であると言えるでしょう。
iPhone 8は発売から7年が経つも中古市場で根強い支持
「4年での買い替え」が新しい買い替えスパンのスタンダードになりつつあると考えられます。とはいえ買い替え後に手放した中古スマホが再度市場に流通するなどして、「一台のスマホ」そのものはより長く使用される可能性が高いです。
たとえば多くのユーザーに長く使用されたスマホの代表格には、iPhone 8(2017年発売)が挙げられるでしょう。発売から7年が経ち、すでにiOSのアップデート対象から外れているもののなお中古市場で存在感がある端末の1つです。
iPhone 8が根強い人気を集める背景には、物理的なホームボタンの存在が挙げられます。iPhone X以降ではホームボタンは廃止され、Face ID及びより広いディスプレイでの操作が定着していますが、物理的なホームボタンの直感的な「操作の分かりやすさ」が現在でも支持を集める要因となっています。
また手に収まる程よいサイズ感や価格の安さも長く使用されている理由のひとつ。たとえばiPhone 15 Pro Maxは6.69インチなのに対し、iPhone 8は4.7インチ。iPhone 8であれば女性でもギリギリ片手での操作が可能です。大きな画面を求めていないユーザーにとっては、iPhone 8は程よいサイズ感であり、中古ならば1万円~2万円弱から購入できるため、価格面でも満足のいく値段と言えるでしょう。
このように発売から7年が経過してもなお中古市場で高い人気を誇る一方で、セキュリティ面やサポート面では徐々にその寿命を迎えています。最も懸念されるのはiOS 17に対応していないこと。いますぐ使用できなくなるわけではないものの、最新のセキュリティ機能が使えず、リスクにさらされる可能性が高まります。
そのため今後、iPhone 8は新品はもちろん、中古市場でも徐々に存在感を失っていくと考えられます。とはいえ4年をさらに大きく超え、7年間に渡って「1つのスマホ」が極めて多数のユーザーから愛用され続けたのは興味深いケースです。
2年での買い替えが定番とされがちなスマホですが、実際には「7年間」使える可能性があるということです。
OSアップデート期間から見る「スマホの寿命」
先ほどiPhone 8は2017年発売ながら、2024年現在でも中古市場で一定の存在感があると述べました。そしてiPhone 8が2025年以降は段階的に中古市場で存在感を失うと考えられる理由は、iOSのアップデートの対象外となったことです。
つまり、スマホの寿命はまず「OSアップデート期間」から考察することができます。iPhone以外の主なスマホのアップデート保証期間の例をいくつか見てみましょう。結論から言えば、iPhone以外のスマホでも7年程度のアップデート保証を提供する例が増えており、少なくとも「2年での買い替え」の必要性は薄れているようです。
Google Pixel:7年間のOSアップデート保証
Googleが2023年10月12日に発売したGoogle Pixel 8とPixel 8 Proは、7年間のアップデート保証を打ち出したことが当時大きな話題となりました。Pixel 6以降はOS、セキュリティアップデートの提供期間は5年間となっており、2年延長された形です。
保証期間延長の背景には、各メーカーがサステナビリティをアピールしたい思惑や、スマホ価格の高騰により端末を長く使い続けようという動きの高まりが影響していると推察できます。さらに欧米を中心に盛り上がっている「修理する権利」を認める法律の整備が後押しとなったとみられます。
Galaxy:7年間のOSアップデート保証
サムスンは、Galaxy S24シリーズから7世代のOSアップデートと7年間のセキュリティアップデートを提供することを発表。これまでも4世代のOSアップデートを提供していましたが、期間が大幅に延長されました。
バッテリーの寿命から見る「スマホの寿命」
先に解説した消費動向調査の結果の通り、スマホの使用年数は平均4年以上と年々増加しています。またOSアップデート期間も7年程度提供されることが増えています。
ではスマホの寿命は「7年」と言えるのでしょうか。結論から言えば実際に7年間、毎日フル充電を繰り返して端末を利用する場合、ボトルネックとなるのはバッテリーの寿命です。
スマホのバッテリーの寿命は約2~3年と言われています。使い方により消耗速度は異なるものの、充電回数では約500回が目安。充電容量が購入時の半分程度になったら、交換のサインです。
では4年に渡って毎日スマホをフル充電し、日常的にスマホを使用し続けている場合「OSアップデート期間に問題がなくとも、バッテリーが限界を迎えている」可能性が高いのでしょうか?
結論から言えばバッテリーの膨張や発熱などの症状が出ていない場合は、5年以上使用していても当分は使い続けることができるでしょう。しかし一般的なリチウムイオン電池の寿命を大きく超えているため、そのリスクを認識しておくことは大切です。
・バッテリーの消耗や残量の減り方が激しくなった
・バッテリーが膨らみ始めている気がする
という場合、バッテリーの寿命が近づいています。最悪の場合、発火するなどの思わぬトラブルに発展する危険もあります。バッテリーの消耗が異様に激しくなったり、膨張し始めている場合は速やかに使用を中断しましょう。
スマホは「4年以上の利用」が定着しそう
スマホは従来、買い替えサイクルが2年と言われるケースが多かったものの、実態として「4年以上の利用」が定着しつつあること自体は間違いありません。端末そのものも4年以上利用されるケースが増えてきています。たとえば先にも述べた通り、発売から7年以上経つiPhone 8はiOS 17の対象から外れてはいるものの、2024年時点でまだまだ中古で取引されている端末です。
スマホが市場に登場した黎明期に比べると「高性能化」を求めるユーザーが相対的に少なくなったと言えるかもしれません。また端末の高価格化に伴い、買い替え自体を億劫だと感じる人も増えたでしょう。スマホのOSそのものは7年のアップデート保証を提供している端末が増えています。そのためスマホの寿命を決めているのは「OS」ではなく「バッテリー」だと言えそうです。
つまり一見、寿命を迎えた古めかしいスマホでも「バッテリー交換」さえすれば、最新のOSアップデートを行いながらさらに長期間端末を利用できる可能性があるということです。スマホの「バッテリー交換」が気軽にできるようになると、スマホの寿命は4年を超えて7年に近づくかもしれません。
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