2020年9月29日、NTTは傘下の「NTTドコモ」をTOB(株式公開買い付け)で完全子会社化すると発表した。ドコモ口座詐欺事件で大幅下落していたNTTドコモ株は、この報道で一気に跳ね上がったが、そもそも、どうして今NTTは4兆2,000億円もの巨費を投じてNTTドコモを完全子会社化しなければならなかったのか? 今回はその真相に迫る!
ドコモの完全子会社化の裏にはNTTとの確執があった?!
ここ数年で、携帯電話の通信料金が以前よりやや安くなったと実感している人は多いだろう。実はこれ、菅義偉首相が官房長官時代に「携帯電話の料金は4割程度下げる余地がある」と発言したことがきっかけになっている。そんな中、2020年9月29日、NTTが傘下の「NTTドコモ(以下ドコモ)」をTOB(株式公開買い付け)で完全子会社化すると発表した。ドコモ口座詐欺事件の影響で2,600円台まで下落していたドコモ株は、この報道で一気に公開買い付け価格3,900円に迫る価格に跳ね上がったが、もしTOBが成立すればドコモ株は上場廃止となる。
それにしても、どうしてNTTはこのタイミングで4兆2,000億円もの巨費を投じてドコモを完全子会社化することにしたのだろうか? J-CAST 会社ウォッチの報道によれば、その背景にはNTTとドコモの根深い確執があったという。
2018年、菅官房長官の“4割値下げ”発言を受けて、NTT側はドコモに対し携帯電話の通信料大幅値下げを強く要請したが、ドコモ側は通信料金の確保にこだわって中途半端な値下げにとどまった。実は2020年3月時点でもドコモの携帯契約者数シェアは8,000万で1位だが、ライバルへの顧客流出は止まらず、営業利益では大手3社のなかで最下位に沈んでいた。しかも、今は高速モバイル通信サービス「5G」でのシェア争いも激しい。このような状況下でも改革に後ろ向きなドコモに対し、しびれを切らしたNTTは、ついにTOBによる完全子会社化を決定。ドコモの意思決定権を確保することにしたという。
NTTによるドコモ株のTOBが成立すると、ドコモ株は上場廃止となるが、ここにも大きなメリットがある。まず、ドコモの年間株主配当金は約3,900億円もあり、発行株式の3割を占める一般株主に支払われていた。これを値下げや5Gの投資に向けられる。もちろん、株主による「値下げ反対」の声も自然消滅するのである。
楽天モバイルが5G使い放題で月額2,980円を発表!
2020年9月30日、第4の携帯キャリア「楽天モバイル」は、5Gの携帯料金をデータ使い放題で月額2,980円にすると発表した。ドコモが月100GBで月額7,650円、KDDI(au)が上限なしで月額8,650円、ソフトバンクが50GBで8,480円なのだから、5Gで半額以下を打ち出した楽天モバイルの衝撃は大きいだろう。もちろん、楽天モバイルの5G対応エリアは限定的なので、厳密には他キャリアの5Gプランとは比較できないが、ドコモにもインパクトを与えたことは確かだ。今後、ドコモがNTTに完全子会社化されれば、更なる携帯料金の値下げ競争が展開されることは間違いないのである。
参照元:ドコモの怠慢に堪忍袋の緒が切れたNTT! 完全子会社化で仁義なき携帯料金引き下げ競争が始まる【J-CAST会社 ウオッチ】
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