現在、スマートフォン料金が大幅な見直しを迫られている。「楽天モバイル」のCMで女優の米倉涼子が「日本のスマホ代は高すぎる!」と叫んでいるように、これまでにもたびたび見直しの話は持ち上がっていた。これまでは議論が立ち消えになり続けていたものの、9月に菅義偉内閣総理大臣が誕生して以降、動きが加速しているように感じられる。
今回は、携帯電話業界の値下げの実現性について考えていきたい。
新総理就任で加速したスマホ料金の値下げ
2018年に菅総理(当時は内閣官房長官)が、「今よりも4割程度下げる余地がある」と発言したことが大きな波紋を呼んだ携帯電話の料金体系。「docomo」「au」「SoftBank」の3大キャリアのユーザーは、毎月の支払いが1万円を超える人も珍しくない。auとSoftBankは、そんな高額な料金を嫌ったユーザーをターゲットとしたサブブランド、いわゆる“格安スマホ”も用意しているほどだ。
そんな中、値下げに言及した菅総理が今度は内閣総理大臣に就任。「デジタル庁の創設」など重要政策に掲げる日本のデジタル化を推進する一環として、改めて携帯料金の改革に踏み込んできた。3大キャリアも値下げの要請に応じる構えを見せており、SoftBankがいち早く「大容量プランで5,000円以下」という新プランを検討しているとも報じられている。各社とも、国のトップから直々に値下げを求められたとあって無視はできないといった状況なのかもしれない。
具体的な目標料金が打ち出されているSoftBankを例に考えてみると、現在の月額7,480円(各種割引プラン無し)から4割削減すると4,488円となる。「5,000円以下」を目指しているのであれば、この目標額にさらに近づけていくことも不可能ではないようにも感じられる。
しかしこれまで携帯各社は“安く見せること”に注力してきた過去があることを忘れてはならない。現在も料金プランは各種割引プランを反映させた金額を大きく見せて元の金額は注釈に記載したり、本体価格も数千円の分割支払いの金額ばかり大きく記載しつつ実は支払い総額は10万円を超えていたりもする“常習犯”だ。今回の「5,000円以下」も割引プランを含めての数字なのかどうか、蓋を開けてみるまでわからない。現段階から信じてしまうと、裏切られたときのダメージが大きいだろう。
auも今後、「10~11月には新料金体系を発表する」という報道もある。安定した収入を得続けるのが当たり前でないことがこのコロナ禍で明らかとなっただけに、家計の支出で小さくない負担となっている携帯料金が軽くなれば、この先の暮らしの不安を少しでも軽減することができるだろう。3大キャリアは国と国民の期待に応えることができるのか。今後の展開を待ちたい。