菅内閣総理大臣が、就任時から提言を続けていたとあって注目率の高かった「携帯電話料金値下げ」。大手3社が9割ともいわれるシェアを独占し続ける日本の携帯電話業界は、世界的にもかなり異質な業界体制であり、その高額な料金プランの見直しを求める声も年々高まるなかで、いよいよ政府がテコ入れを図ったというだけあって、多くの人が3大キャリアの値下げに期待していた。そんななか、KDDIとソフトバンクが新規料金プランを発表。しかし大多数の人々がこの新規プランに落胆を見せていることが分かった。
このままの料金プランを続ければ、3大キャリアからの流失もいよいよ免れなくなっている。大手思考の強い日本人でもいよいよ我慢の限界?消費者の動向について迫っていく。
政府の値下げ要請にキャリア出した答えは?
菅総理は官房長官時代の2018年に「携帯電話料金は4割値下げできる余地がある」と発言し、実際にキャリアの料金見直しのきっかけを作り出した。携帯電話料金値下げへの高い実績を持っているだけに、今回の総理就任時からの提言には国民の強い期待が寄せられていた。
今回、日本トレンドリサーチ社が行った「携帯料金に関するアンケート」によるとここまでの携帯電話料金の値下げに対しておよそ7割もの人が納得できないと回答。実質的な値下げプランをKDDIとソフトバンクは発表しているにも関わらず、およそ半数以上の人が支持しないと感じた理由は何だったのだろうか。
答えは“見せかけ”の割引だったからだ。KDDIとソフトバンクが発表したプランはそろって、データ使用量20GBのプラン。さらに両社ともに「UQモバイル」、「ワイモバイル」といういわゆる“サブブランド”の値下げで、多くのキャリアユーザーが恩恵を受けにくい発表であったことが不満の大きな原因になったようだ。
「納得できない」と答えた人は「大手キャリアがやってくれないと意味がない」、「UQやワイモバイルではなくauやソフトバンクが値下げをすべきだから」というキャリア自体への不満のほか、「20GBも使わないから。一般に使う量で安くしてほしい」、「通信容量はもっと少なくてもいいから、もっと安いプランを作って欲しい」という意見を挙げており、今回の発表が消費者の求めているニーズに全く寄り添っていない値下げであったことが見て取れた。
“一年無料”の看板を引っ提げて新規参入した「楽天モバイル」や、SNS最大手としてグループ会社の強みを活かした展開を続ける「LINEモバイル」など格安キャリアが多数生まれ、選択肢は豊富にそろっている今日の日本。料金に敏感な層は、3大キャリアに見切りをつけて“本当におトク”なキャリアへと移動している。しかし一方で、大手志向の高い日本ではまだまだ3大キャリアへの信頼が高く、9割もの人がドコモ、KDDI、ソフトバンクに留まっており、大手3社が盤石なのは間違いない。しかし、通信料や通話代を複雑な料金体系とすることで、値段を見せかけで安くみせる手法には消費者はいよいよ騙されなくなってきているのではないだろうか。
いくら腰の重い日本人でもさすがに「大手は高すぎる」という世論に、キャリアの移動を考え始めるだろう。3大キャリアはもっと消費者に寄り添ったサービスを展開しないとユーザー数は急落していくかもしれない、大手とはいえ胡坐はかいていられない局面を迎えている。
参照元:携帯料金に関するアンケート【日本トレンドリサーチ】