近年、一気に市民権を得てきた印象のある「格安スマホ」。「遅い」「つながらない」という悪評は既に過去のもの。現在は安定した回線を提供するサービス会社も多く登場している。そうして通信の質で大手キャリアと格安スマホとの格差が縮まる一方、格安スマホの最大の強みであった料金格差も“携帯料金以外の影響で”縮まる可能性があることを知っていただろうか。
今回は、そんなキャリアと格安スマホの料金格差についてお伝えしていきたい。
キャリアから格安スマホに多くの人が流れた2010年代
MVNOとも呼ばれる格安スマホが大きな注目を集めている。あまりに注目されたためドコモ・au・SoftBankの3大キャリアもその存在を無視できず、独自に格安スマホのサブブランドを設立し他グループへの流出の阻止を図るなど、ここ10年“キャリア→格安スマホ”という移住の構図が確立しているのはご存知の通りだ。
加えて2020年9月には菅義偉内閣総理大臣が、自身が官房長官時代から示していた「携帯料金の値下げ」に改めて言及。3大キャリアの料金が海外諸国に比べて高いとして、改めて格安スマホが脚光を浴びることとなった。
では、これからも格安スマホへの移住が進み続けるか、というと、実はそうとも限らないのだ。格安スマホを選ぶ人は「通信料金が安いから」という理由がほとんどを占めるだろう。では、キャリアと格安スマホの料金が大差無くなったとしたら…?
国の値下げ要請を受けた3大キャリアがサブブランドのプランでの値下げに踏み切ったように、キャリア自体のプランの大幅な値下げはしばらく無いと考えていいだろう。しかし忘れてはならないのが、3大キャリア(+楽天)は自前のQRコード決済サービスを持っている点だ。
QRコード決済業界では現在、どのサービスも市場シェアの獲得に注力しており様々な場面でポイント還元キャンペーンを打ち出し続けている。中には既にキャリアで支払った料金を、QRコード決済のポイントとして一部還元するサービスを行っているところもあるほどだ。今後ポイント還元の流れが加速すれば、日々の買い物で付随するQRコード決済を利用して「通信料金自体は少し高い金額を払っているが、各種キャンペーンで獲得したポイント還元で格安スマホと同等の支出で利用できる」という現象が起こり得るのだ。また、金額面で厳格に格安スマホと同額にならなくても、元より通信の質はキャリアが上なのだから「このくらいの金額差ならキャリア使おうかな」とユーザーが感じるレベルにすれば十分とも考えられる。
そんな時代が来たとしたら、“キャリア→格安スマホ”という移住の構図は逆転し、“格安スマホ→キャリア”と、かつて格安スマホに移っていった人々が続々と“キャリア返り”する事態となるだろう。そんな未来が来るにはまず、ユーザーが多くの還元ポイントを獲得できるような体制づくりから。今後のキャリア各社の持つ経済圏の成長も、しっかりと見守っていきたい。
参照元:大手キャリアと格安SIMの違いは? - それぞれのメリットとデメリットをチェック【セレクトラ・ジャパン】
※サムネイル画像(Image:Koshiro K / Shutterstock.com)