楽天モバイルが“既得権益”に切り込んだ。総務省の開いた懇談会で、既存の3大キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク)が有する「プラチナバンド」の再配分を検討するよう求めたのだった。一方当然ながら3社は、再配分に対してコスト増といった理由で難色を示している。しかしこの議論の決定権を握るのは、最近携帯料金の値下げで3社に強い圧力をかけている総務省だ。果たしてこの結論はどこに着地するのだろうか…。
今回は、プラチナバンドの再配分から生まれるかもしれない、新たな流れについて考えていきたい。
楽天モバイルがもっとつながりやすくなる?
総務省は2020年12月23日、「デジタル変革時代の電波政策懇談会」の第2回をWeb会議で開催。その中で楽天モバイルが、プラチナバンドと呼ばれ「電波が飛びやすく建物内にも浸透しやすい」とされる700M~900MHz帯の電波の割当て見直しを求めたのだった。「新規参入者にとって、機会平等が実現していない」といい、既存企業の優位性が強すぎることをアピールした。実はこのプラチナバンド、かつてソフトバンクも割当ての獲得に苦労しており、割当てを期に「ドコモ・auと比べてすぐ切れる・電波が弱すぎる」といった評判を改善していったことでも知られている帯域だ。
一方でそんなソフトバンクら既存のキャリア3社としては、当然ながら「つながりやすい帯域をみすみすライバルに奪われたくない」というのが本音のはず。加えて帯域変更に伴う基地局の設備投資という経済的・時間的な負担が大きいことも理由に挙げながら、再配分によるデメリットを出席者に伝えていた。
どちらの言い分も一理あるため、この課題がどう進んでいくかは今後の展開次第だろう。しかしここで注目したいのは、この懇談会を開いたのが総務省であるということ。
総務省といえば現在活発になっている携帯料金の値下げを強く求めていることでも知られる。ソフトバンクやKDDIがサブブランドでの値下げを発表した際には、総務大臣自ら「羊頭狗肉」と厳しく非難したことも記憶に新しい。そんな総務省がキャスティングボートを握っている案件なのだから、いま総務省の機嫌を損ねるのは自殺行為と言ってもいいだろう。
そうなってくるとユーザーとしては、「既存キャリアが総務省の機嫌を取るために、もっと値下げを頑張ってくれないかな?」と期待してしまうのは行き過ぎだろうか。現状でもこれまでより大幅に安いプランの新設や既存プランの値引き等も行われているが、消費者であれば「まだ値下げできるならもっと下げて」と言いたくなってしまうもの。今後の展開によっては、期待を膨らませながら経緯を見守るのも面白いかもしれない。
参照元:楽天モバイル、「機会の平等」のためにプラチナバンド再配分の検討を求める【ASCII.jp】
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