2020年の年末、立て続けに4機種がリリースされたiPhoneシリーズ。世間でもファンを中心に大きな話題となり、コロナ禍による生産体制の手薄ぶりもあり品切れの心配もされていた。しかしそんな中、「iPhone 12 mini」の売上だけが芳しくないという風潮が世間に流れているという。世界的人気のiPhoneシリーズで、なぜiPhone 12 miniの人気が上がらないのか。
今回は、iPhone 12 miniのもつ属性と、iPhoneユーザーの求めるところを考えていきたい。
iPhone 12 miniだけが売れない“なぜ”…?
2020年の10月にはiPhone 12とiPhone 12 Pro、11月にもiPhone 12 mini・Pro Maxが相次いでリリースされた。香港の調査会社・カウンターポイントによれば、10月に登場した2機種は同月の5G対応スマホの世界販売シェアでiPhone 12が1位、Proが2位に輝いた。双方を合わせて10月に売れた5Gスマホのうちおよそ4台に1台が新作iPhoneだったことがわかっている。
それだけの人気があれば、後続機種もさぞ売れたに違いない…と思いきや、意外にも「miniは苦戦を強いられている」という情報を海外の各種メディアが伝えているという。台湾メディア・DigiTimesは「miniの生産企業への発注が減った」ことを報じ、欧米メディアのMorgan Stanleyも「miniの生産量を減らし、世界各地で品薄状態となっている売れ筋のProの増産へシフトした」との報道もあったという。
これが事実であれば、miniはもはやリストラ手前の厳しい状況に追い込まれていると言ってもいいのかもしれない。
では、なぜiPhone 12 miniの売れ行きは伸び悩んでいるのだろうか。考えられることとしては、miniのもつiPhoneシリーズでの立ち位置だ。miniは、小型で低価格がセールスポイントの機種。言ってみればiPhone 12の廉価版だ。iPhoneの中で“小型”という分野では、2020年の4月に登場した第二世代の「iPhone SE」がある。この機種は、中古スマホのフリーマーケットサイト・ムスビーでもランキング上位につけるような人気機種だ。つまり、小型を求めるiPhoneユーザーであればSEを買うだろう。
一方で“低価格”という方向性だが、元々iPhoneシリーズはAndroidスマホなど他のスマホに比べて総じて機能性やデザインを重視したハイブランド的な位置づけとなっている。もしかすると、“低価格”というセールスポイントが逆に機能し、「安くても機能劣るんじゃなぁ…」と敬遠している可能性も否定できない。
iPhoneというブランドのファンには、廉価版路線という商法は通用しないのかもしれない。金に糸目をつけず、「高くてもよいものを」というファンの意識が聞こえてきそうな一件だった。
参照元:iPhone 12 miniの“不振”について、海外メディアが徹底調査【リアルサウンド テック】
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