ドコモの決断がユーザーニーズに沿っていたことが数字で証明された。2020年12月の「携帯電話番号ポータビリティ(MNP)」が、およそ12年ぶりに転入数が転出数を上回る数字となったというのだ。全体のユーザー数としてはいまだ4大キャリアの中でもトップをひた走っているドコモだが、新プラン「ahamo」の登場で他社ユーザーの心も掴んだようだ。
今回は、ユーザーの支持という後ろ盾を追い風にさらにシェアを拡大させていきそうなドコモの様子をご紹介していきたい。
ドコモが12年ぶりにMNPで「転入数>転出数」となる
ドコモは2月5日、2020年度第3四半期決算を発表。その中で2020年12月のMNPを使った転出・転入の数が2009年1月以来となるプラスに転じたことを明らかにした。総務省の発表する「電気通信サービスの契約数およびシェアに関する四半期データ」の携帯電話の契約数によれば、2020年9月におけるドコモの業界シェアは37.2%と2位・KDDI(au)の27.8%を大きく上回るトップだ。しかし同資料では2016年3月には41.6%あったシェアが微減してきており、着実に成長してきている格安スマホ等にユーザーを奪われている様子が伺えていた。ユーザー数がジワジワと目減りしてきている事実があるだけに、12年ぶりの転入超過のニュースは関係者にとってかなりの朗報となったことだろう。
ドコモの井伊基之社長は決算会見で、この要因を「ギガホ」「ギガライト」といった既存プランの販促が進んだことや、業界に衝撃を与えた価格のシンプルプラン・ahamoに期待を寄せるドコモユーザーが転出を控えるようになったことであると分析している。合わせて2021年1月もMNPの転入が上回っていることも明かした。
ahamoの存在が流出の抑止力となったことは、おそらく事実と見ていいだろう。通信インフラ会社・ALL CONNECTの調査によれば、3大キャリアの新プランの中で、ahamoはKDDI(au)の「povo」、ソフトバンク(SoftBank)の「SoftBank on LINE」を抑えて乗り換え先のサービスとして最も支持を集めていた。とくに既存のユーザーからは55.3%と過半数の数字を残しており、50%を超えられなかったau・ソフトバンクに比べて既存ユーザーも納得するサービスを提案できている様子が伺えた。
そんな業界1位のドコモの地盤をさらに盤石にするであろうahamoのサービス開始は3月26日だ。加えて同時期には、キャリア各社のMNP転出手数料が無料化されることも決定している。12年ぶりの朗報が、ユーザーの流動化が進む業界の中でドコモの今後を表しているかどうかは、あと数か月後にわかるようになるだろう。
参照元:ドコモ「脱自前主義」で次に攻め入る新たな分野【東洋経済ONLINE】
※サムネイル画像(Image:nttdocomo.co.jp)