楽天モバイルの新規ユーザーの伸びが著しい。なんとわずか10日前後で、30万人もの新規ユーザーを獲得したことが明らかとなった。現在“第4のスマホキャリア”として既存3社に対抗すべくユーザーの獲得に力を注ぐ楽天だが、新プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」の発表が大きな推進力となったようだ。しかしグループ全体を見渡してみると、この裏には割を食ったサービスもあり…。
今回は、選択と集中で業界シェアを伸ばす楽天グループの手法について考えていきたい。
楽天モバイルの申し込み数が急増の背景
楽天モバイルは自身の決算発表の中で、2月8日末時点での契約申し込み数が250万件を突破していることを明かした。同発表によれば2020年6月の時点では100万件だったといい、同時期に打ち出した「1年間無料」のユーザー獲得力を物語っている。さらに深掘りして見てみると、1月29日に新プラン・UN-LIMIT VIを発表したときには「220万超」としていたため、UN-LIMIT VI目当ての申し込みが30万件も殺到した様子が伺えた。1年間無料と同様に、「1GBまで0円」という料金設定も衝撃的なプランだったのだ。
申し込み数が膨れ上がった影響もあり、楽天モバイル専用機種の「Rakuten Hand」と「Rakuten Mini」の需要が一気に増加。2月18日17時の時点で、公式HP上ではどちらも“入荷待ち”“在庫切れ”となり購入できない状態となっている。
楽天モバイルのユーザーの増加は、楽天グループ全体を指す“楽天経済圏”の成長にも好影響を与えるはずだ。グループとしてもそれを狙って、「1年間無料」や「1GBまで0円」と大盤振る舞いでユーザー数の確保に全力を注いでいるのだろう。
一方でその“しわ寄せ”とも言える変化も既存のサービスで起こっているのも事実だ。「楽天ゴールドカード」では、4月1日から「楽天市場」での利用時に加算されていた楽天ポイントの倍率がプラス4倍からプラス2倍へと引き下げられる。その代わりとしてか、登録された誕生日月にポイントがプラス1倍される「お誕生月サービス」というサービスも登場した。プラスマイナスで言えば倍率は下がっているためユーザーとしては喜べる事態ではないものの、楽天グループ側の負担が減ることは間違いない。サービスで注力すべき部分を取捨選択し、“選択と集中”で育てるべきサービスを確実に育てる判断とも言えそうだ。
楽天経済圏のライバルでもあるドコモ経済圏でも、「dデリバリー」の6月いっぱいでのサービス終了が発表されている。ドコモ側もこの判断を「現在の事業環境を鑑み、経営資源を集中する」と説明していた。
スマホキャリアやQRコード決済等、さまざまなジャンルでしのぎを削る各社の経済圏は今後どういった方向に舵を取っていくのだろうか。楽天モバイルへの“集中”を“選択”した楽天経済圏の成長とともに注目していきたい。
参照元:楽天モバイル、申し込み250万突破 新プランで新規加入者数が数倍に【ITmedia ビジネスオンライン】
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