楽天モバイルは今後どのような成長曲線を描くのだろうか。2020年の携帯電話のキャリアサービス進出意向、楽天グループの“肝いり事業”として多くの期待が寄せられている楽天モバイル。しかし現時点ではどうにも暗雲がたれこめている様子が見受けられる。
今回は、これから楽天モバイルが黒字へと転じていくことが、どれだけ困難な道筋なのかについて考えていきたい。
楽天モバイル300万人突破もまだ加速度は不足?
楽天モバイルといえば、2020年4月のキャリアサービス開始とともに、300万人限定で「プラン料金1年間無料」という大々的なキャンペーンを打ち出した。当時はまだ携帯料金の値下げの機運も起こっておらず、「キャリア料金=高い」というイメージのある中での“無料宣言”に発表直後から大きな注目を集めていた。
しかし「300万人もすぐに上限に達してしまうのでは?」という周囲の見立てとは裏腹に、注目度は高まったもののプラン申込みは“殺到”とまではならず。結局300万人に到達したのは「月の使用量が1GBまでタダ」という「Rakuten UN-LIMIT VI」を発表した後。2021年の3月9日にようやく突破したことが発表されたのだった。
楽天モバイルの黒字化については、楽天は当初「700万回線」と伝えていたという。大々的なキャンペーンを打ったうえでようやく1年かけて300万を突破したということは、ここから700万となるまで2年や3年はかかると見るのが自然だろう。
むしろ3月末からスマホキャリアの新プランがサービスを開始するだけに、その中で注目度をアップさせるためにはこれまで以上にインパクトのあるキャンペーンが必要となってくる可能性すら考えられる。
楽天モバイルでは現在基地局の増設に注力しているのは周知の事実だ。「当初計画を5年間前倒し」という驚異的なスピードで投資を続けている影響もあって、2月に発表された2020年12月期決算では1,141億円の赤字と報告されている。そんな中でグループの中核である楽天が日本郵政をはじめとした企業から2,400億円以上の融資を受け、それらがほとんど楽天モバイルに使われることが発表されている。
まだまだ現実味を帯びておらず、「絵にすら描けていない空想の餅」とも報じられるほど先行きが不透明な楽天モバイルの黒字化は、一部では「楽天はモバイル事業から撤退すべき」という声すら出てきている。これから先いったいどこまで周囲の予想をよい意味で裏切ることができるのだろうか。楽天経済圏が総力を挙げて育て続けている“金の卵”がどのような鳥へと成長していけるのか注目を続けたい。
参照元:日本郵政と提携するも楽天に感じる通信事業者としての先行き不安【BLOGOS】
※サムネイル画像(Image:network.mobile.rakuten.co.jp)