2020年4月から本格的なサービスを開始した楽天モバイルだが、いまだ全国にアンテナを設置中である。もちろん、カバーしきれない地域はパートナー回線(au回線)のローミングでネットに接続できるが、人口カバー率87.4%を超えている東京では、2021年3月時点でau回線のローミングが原則終了されている。「楽天モバイルはつながりにくい」という噂もよく耳にするが、果たして楽天回線だけで問題はないのだろうか? そこで、今回は実際に筆者が楽天モバイルで回線状況を検証してみたぞ!
そもそも楽天モバイルのパートナー回線って何なの?
2019年10月から試験サービスを開始し、2020年4月から本格的にスタートした楽天モバイル。だが、キャリアとしては最後発であるため、いまだ全国に自社回線を設置中だ。そこで、エリア外の地域ではパートナー回線(au回線)によるローミングでネットに接続できるようになっている。
そもそも、楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT VI」プランは段階制になっており、1GB以下は無料、20GB超(無制限)でも月額3,278円と格安だが、パートナー回線は月5GBまでしか使えないのはご存じだろうか? もし、楽天回線が利用できない地域で生活していると、パートナー回線の5GBをすぐに消費してしまうことになり、その場合は1GB=550円でデータ量を追加するしかないのだ。
そんな楽天モバイルだが、2021年3月末で東京のパートナー回線が原則終了となってしまったという。となると、今後、東京は楽天回線だけになってしまうことになるが、果たしてネットの接続に問題はないのだろうか?
2021年3月に東京のパートナー回線は原則終了!?
そもそも、楽天モバイルとKDDIのau回線ローミング契約は2026年3月末までとなっているが、楽天モバイルの人口カバー率が70%を超えた地域については、期限を待たずに原則終了されてしまうことになっている。実は、楽天モバイルの東京での人口カバー率は2020年10月時点ですでに87.4%に達しており、2021年3月末でパートナー回線のローミングは原則終了されているのだ。また、楽天モバイルの当初の計画では2026年3月までに人工カバー率を96%にする予定だったが、これを5年前倒しして2021年夏頃に達成する計画を発表。すでに、2020年12月末時点で全国の人口カバー率が73.8%となったため、東京以外の都市部でも2022年3月末にパートナー回線のローミングが原則終了されるのである。
当たり前のことだが、今後は楽天回線のみとなるのでネットにちゃんとつながるか不安になる人も多いだろう。そこで、筆者は楽天モバイルで回線の接続状況を実際に検証してみることにした。
現在でもパートナー回線に切り替わることを確認!
実際に楽天モバイルの回線状況を確認する前に、楽天モバイルの電波(周波数帯)について解説しておこう。実は、最後発の楽天モバイルが利用できる周波数帯は、4G用の1.7GHz帯と、5G用の3.7GHz帯/28GHz帯の3つしかない。数多くの周波数帯を利用できる大手3キャリアに比べると非常に心許ない状況だ。しかも、700〜900MHz帯のいわゆる“プラチナバンド”の割り当てがないのが痛い。そのため、パートナー回線はauのプラチナバンドである800MHz帯が利用されているのである。つまり、au回線のローミングができない地域では、楽天モバイルの4Gスマホは1.7GHz帯でしか接続できないわけだ。
このような事情を踏まえたうえで、筆者は「OPPO A73」を使って楽天回線の状況を確認した。まず、新宿にあるオフィスビル内では楽天回線で下り約62Mbps、上り約55Mbpsとかなり高速。また、筆者の自宅(タワマン高層階)では、楽天回線で下り約20Mbps、上り約34Mbps程度であった。次にスマホをもっとも使う通勤電車内の状況を確認してみよう。銀座線「浅草」から「日本橋」に移動中の電車内は楽天回線で接続されたが、日本橋に近づくと突然パートナー回線に切り替わってしまった。すでに原則終了されたはずだが、楽天回線エリア外であれば、現在もパートナー回線でローミングされることが確認できた。なお、電車で移動中のパートナー回線の速度は下り約24Mbps、上り約23Mbpsであった。
いかがだろうか? すでにパートナー回線のローミングが終了したはずの東京でも、エリア外であればパートナー回線が利用できるのが確認できた。これでしばらくは、東京でも楽天モバイルがまったくネットにつながらないという状況はなさそうだ。しかし、逆に人口カバー率が87.4%以上の東京エリアの中心地「日本橋」で楽天回線がつながらないのはいただけない。やはり、人口カバー率99%を誇る大手キャリアに追いつくには、もう少し時間が必要なのであろう。