MacBook Proの一部の年代に生産されたモデルで「Flexgate(フレックスケーブル疑惑)」と称される問題が起きていることが明らかとなった。ユーザーの視点に寄り添った高い品質とデザイン性でブランドイメージを築き上げてきたアップルだけに、消費者とのトラブルはイメージダウンにつながりかねない。今回は、アメリカ合衆国連邦裁判所がアップルに下した判決について伝えていく。
アップルの欠陥商品を認める判決に…
アメリカ合衆国連邦裁判所はアップルに対し「アップルは欠陥があることを知りながらデバイスを販売した」と判決を下したことが分かった。フレックスケーブル疑惑とは、ディスプレイとPC本体をつなぐ“フレックスケーブル”が短いことによりバックライトに不具合が生じ、ディスプレイの下部から光が漏れたり、症状が重い場合はバックライトが完全に壊れてしまったりするというもの。この不具合の存在を知りながら販売を行っていたアップルに非難が巻き起こっているのだ。
米法律ニュースサービスによると、原告のマハン・テイルスプール氏は、「アップルがディスプレイケーブルに欠陥があったことを否定し続けている」と語り、さらには「アップルは疑惑の証拠を全て隠そうとした」「アップルが、公式サポートに寄せられたコメントやスレッドの情報を意図的に削除した」と主張。また、2018年モデルのケーブルがわずかに長くなっていることを修理業者が発見したことからも、アップルが問題を認識した上で対策を講じたのではないかと疑惑の目が向けられている。
主張が事実であれば、かなり悪質なようにも見える今回の疑惑。アップル製品といえば、iPhoneを中心に日本でもかなりの人気を誇るトップブランドだ。株式会社カンター・ジャパンが2020年9月から11月に実施した調査によると、日本におけるiPhoneのシェア率は69.1%と多くの日本人から支持されていることが伺える。2021年1月頃大流行した「Clubhouse」をはじめ、アップル製品上でしか利用できないアプリや、アップル製品のiPadやMacBookとデータを簡単にやりとりできるエアドロップなど、アップルならではのメリットもユーザーに人気の理由だろう。
近年iPhoneだけでなくアップル製品のPCを利用するユーザーも増えてきた。Macを使ってクリエイティブな作業をする職種に憧れ、スターバックスでMacを開く利用者が増殖し“意識高い系”と揶揄され話題を呼んだこともあった。中には、MacBookよりも画面の大きいディスプレイ一体型のiMacを、出張やカフェに持ち出して仕事を行っているという強者まで。
これらは笑い話のひとつだが、そんな現象が起きるほど「アップル製品を持っている」ことのブランド価値の高さを証明しているとも言えるだろう。今回の訴訟内容が真実だとすればそうしたブランド価値に傷をつけ、ユーザーの信頼を裏切るような行為は致命的となる可能性もゼロとは言えない。日本のアップル製品にも影響が出てくるか、今後もアップルの動向から目が離せない。
参照元:アップルは一部MacBook Proの欠陥を知りながら販売?米連邦地裁が判断【Engadget 日本版】
※サムネイル画像(Image:Vasin Lee / Shutterstock.com)