デバイス内の画像や動画、ファイルに至るまで様々なデータを迅速かつ容易に共有することができる、アップルデバイス搭載の便利機能「AirDrop」。Androidユーザーからしても「自分たちのスマホにもこんな機能があったらいいのに」と羨ましがられる機能ではないだろうか。しかしそんなAirDropが個人情報を流出している危険性のある機能であることがわかり、その欠点の発見者たちは警鐘を鳴らしている。
簡単にデータ共有ができる便利機能
AirDropとはiPhoneやiMac、iPadなどのアップル製品間においてWi-FiとBluetooth Low Energyを利用し、簡単にデータ共有ができる機能のこと。AirDropは「すべての人」「連絡先のみ」「受信しない」の3つの設定から選ぶことができる。「すべての人」に設定している場合は、同じく「すべての人」設定になっている人であれば連絡先を知らなくてもやり取りが可能なのだ。この場合もしかしたら「電車内や公共の場などで急に知らない人からデータが送られてきた」なんて経験がある人もいるかもしれない。
さらに、AirDropのメリットは高画質を保てること。メールやLINEなどの通信機能を使用してファイル容量の大きな画像や動画を送ると、送信時に圧縮され、ある程度画質が落ちてしまう。しかしAirDropの場合はほとんどの場合高画質のまま相手に共有する可能となる。
5Gなど超高速通信システムも導入されてきているが、そもそもAirDropはインターネット通信が不要なため、ネット環境の悪い場所でもデータ共有ができるのだ。
メリット尽くしに感じられるAirDropだが、かなりのリスクも負っていることがわかっている。というのも、AirDropでは送信者のデバイスが周辺のデバイスとデータ共有が可能かどうかを判別するため、送信者の「電話番号」と「メールアドレス」の暗号学的ハッシュの一部を含むBluetoothアドバタイズを行うという。つまりは、いくら暗号化されているとはいえども、送信者の個人情報が常に“公開状態”になっているということだ。
この点を付いて、個人情報を盗み出すハッカーも現れているという。近年のハッカーはかなりの頭脳派のようだ。システム上で飛び交っている見えない個人情報は、いつどこでどんな手を使って狙われているかわからないため、より早い解決策が必要だ。
この脆弱性の存在についてドイツのダルムシュタット工科大学の研究者らが2019年にアップルに報告しているというが、肝心のアップル側はいまだに改良や対策などを行っていない。現時点ではユーザー自らAirDropを「受信しない」設定に切り替え、自宅などの他人のいないところのみで使用するという予防法しかないようだ。それではAirDropのメリットがまるで無意味なものになってしまう。一回一回設定を切り替えるのも、ボタン一つでの動作とはいえ、意識していなければ忘れてしまいがちだ。
よりAirDropが充実し、安心して使えるようにアップルは一刻も早く対策を講じてほしい。
【参照元】AirDropでユーザーの個人情報がだだ漏れ!?Appleは未だ対処せず【iPhone Mania】