スマホを水没させたらあなたはどう感じるだろうか?「やっちゃった…」と青ざめるか、「やっと耐水性能を試せる!」と喜ぶか。大抵の人はどちらかといえば前者だろうが、そんな人々のためを思って(?)「アップルはiPhoneの耐水性能を誇張している」と訴訟する人々がいることがわかった。米ニューヨークでは、アップルに対し集団訴訟が提起され、原告は耐水性能に関する表示の修正や救済、損害賠償などを求めているという。
耐水性能テストは実生活とかけ離れており、無意味?
2016年に登場した「iPhone 7」以降、IP67等級(深さ1mまで、最長30分間)などの耐水性能を掲げているアップル。このため、「ちょっとぐらい液体がかかっても平気平気!」と考えてしまいがちだが、実際はそうではないようだ。
アップルが謳う“耐水性能”とは、動きのない真水を使い、かつ端末との温度差も±5度の状況で行ったテストに基づいたものであり、コーヒーや清涼飲料水をこぼしたり、トイレやお風呂で落としたりした場合は保証されていないのである。
そのため、液体によって損傷した場合はアップル製品1年限定保証の対象外。しかし、ユーザーがスマホを濡らしてしまう場面は海水やプールなど純水ではない場合がほとんどであり、「表記が不十分」と原告は主張しているという。さらに、コーヒーなどの液体を誤ってこぼしても耐性があるため、水道水ですすぎ乾かすことをアップルは推奨しているが、この行為によって液体侵入インジケータが反応する可能性があり、保証を拒否するために利用できると訴えている。
実は、iPhoneの耐水性能について非難されたのは今回が初めてではない。2020年11月、イタリアの反トラスト局は耐水性を誇張して消費者を惑わしたと主張、液体による損傷に対する保証を拒否したとして、アップルに1,000万ユーロ(約12億円)の罰金を科している。今回の訴訟の動向については見守るとして、保証されていない限りは水濡れを極力避けた方が賢明だ。が、それでも水没させてしまった時にやるべきこと、やってはいけないことをお伝えしておこう。
まず、電源をいれたり充電をしたりするのは厳禁だ。通電により内部基板がショートしてしまい、事実上修理は不可能となってしまう。また、中に入った水を抜こうと本体を振るのもNG。水が抜けるどころか、かろうじて無事だった箇所まで水を行き渡らせてしまう可能性がある。
水没したらまずは電源を切り、柔らかい布で本体の水分を拭き取ること。充電コネクタやスピーカー、あればイヤホンジャックも丁寧に拭こう。iPhoneを扇風機の前に置き、充電コネクタに直接涼風を当てると乾きが早くなるとのことだが、ドライヤーの温風は決して使わないように。精密機械は熱に弱いので、本体へ余計にダメージを与えてしまう。さらにジップロックのような密閉できるビニール袋に乾燥剤とiPhoneを入れ、ひたすら自然乾燥させる。最低1日以上は乾燥させて電源を入れ、正常に動作しない場合は修理へ出す必要がある。また、「耐水性能は永続的に維持されるものではなく、通常の使用によって耐性が低下する可能性があります」とのことなので、過剰な期待はせず、過酷な使い方は控えるように意識していただきたい。
参考元:Appleが「iPhoneの耐水性能を誇張している」として訴えられる【GIGAZINE】
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