寝る前についついスマートフォンを触ってしまう…という人も少なくないのではないだろうか。そのまま寝落ちしてしまう場合もあるだろうが、明るい画面を見ることで寝付きにくくなったり睡眠の質が下がってしまったりといった話もある。そんな人たちのために、iPhoneには「Night Shiftモード」という設定が備わっているが、どうやらその効果は鵜呑みにはできないようだ。
もはや一般的となったスマホのNight Shiftモード
iPhoneのiOS 9.3以降のバージョンに備わっている「Night Shiftモード」とは、設定をオンにすると画面を暖色系の色に切り替え、画面から発せられるブルーライトを抑えてくれるというもの。開始と終了の時間設定も可能で、画面の色味も自分の好みに調整ができる。
ブルーライトは、紫外線の次にエネルギーの強い光で目の奥まで届くため、長時間目に入れると目の疲れだけでなく、体内リズムを崩し睡眠障害を引き起こすとされている。そのため、このNight Shiftモードを使用すれば、眠る前に画面を見ていても、設定していない通常モードに比べて睡眠の質を高める効果があると言われてきた。
Androidにも同様の機能として「夜間モード」が備わっており、ブルーライトカットのモードにすることで睡眠の質に良い影響がもたらされるということは、一般的に広く知れ渡っている。
良い睡眠のためには強制的に電源オフが必要?
ところがアメリカのブリガムヤング大学の教授と医療センターの研究者らは、「Night Shiftモードは睡眠の質への影響が見られない」という研究結果を発表した。参加者に対して、睡眠に就く1時間前に「Night Shiftを有効にしてiPhoneを使う」「Night Shiftを無効にしてiPhoneを使う」、「iPhoneを使わない」という3条件で7日間の実験を行ったところ、とくに3グループとも睡眠の質に変わりはなかったという。さらには他の研究結果においても、ブルーライトよりも暖色系の色が脳を昼間だと勘違いさせて逆効果になる可能性もあると問題視されている。
良くも悪くも影響がなかったことを考えると、睡眠の質の低下を防ぐにはもはやNight Shiftモードといった設定などではなく、寝る時間になると自動で電源を落とし必要以上にスマホに触れさせないようにする“制御システム”が必要になってくるのかもしれない。行き過ぎのようにも感じるが、コロナ禍の巣ごもり需要によって余計に睡眠障害が増加している今、寝る前のスマホいじりがどうにもやめられない人にとっては、強制的にスマホを使えないようにするのが一番の方法かもしれない。
Night Shiftモードはたしかに余分なブルーライトをカットしてくれる便利な機能ではあるが、あまり効果を信じ込み過ぎず、スマホの使用時間や使い方から見直してみてはどうだろうか。
【参照元】iPhoneのナイトシフトは睡眠の質に無関係かも、との研究結果が公開【Engadget】
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