ドコモのシェア拡大が止まらなくなりそうだ。これまでも業界最大手の地位を保っていたドコモだが、2020年に巻き起こった“携帯料金値下げ”の動きから生まれた新料金プラン「ahamo」も好調な滑り出しを見せたことが明らかとなった。加えてそのahamo以上に低価格の小容量プランのリリースも企画していることも伝えられている。今回は、世の中の全スマホユーザーを狙ってさらなるシェア拡大を図る動きを見せているドコモの戦略について考えていきたい。
ドコモ、小容量の新プラン構想を発表
ドコモが5月12日に公開した2020年度の決算資料によると、3月26日にスタートしたahamoの契約件数が100万を突破したという。さらにそのうち30代以下のユーザーが50%を超えていることにも言及し、発表当初から宣言していた「ドコモが弱い若年層向けのプラン」という狙いが成功していることを明らかにした。
発表内では、ahamoを“中容量・高コスパ”の「New」と位置づけ、“小容量~無制限・家族でおトク”な「Premier」とした「5Gギガホ プレミア」「ギガホ プレミア」との差別化を図っていくとしている。さらには今後、“小容量・超低廉な料金”の「Economy」の展開も予定していくことを明言し、多様なユーザーニーズに応えていく計画を伝えている。
たしかにahamoはこれまでのプランと比較すれば圧倒的に安いプランであることは間違いない。しかし各社の発表した新プランはahamo、auの「povo」、ソフトバンクの「LINEMO」ともに申し合わせたように20GB設定となっており(楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT VI」は従量制)、「20GBもいらないからさらに安くしてほしい」といった声があったことも事実だ。そうしたユーザー層を切り捨てず取り込もうとしているのだろう。
では「このドコモの動きをライバルキャリアも導入するか」と考えると、それは無いようにも思われる。なぜならドコモと違いau・ソフトバンクには「UQモバイル」「ワイモバイル」というサブブランドが存在するからだ。
これまで「大容量ユーザーはキャリア、小容量ユーザーは格安スマホ」というメインブランドとサブブランドの住み分けをしてきた2社が、“20GB”という線引きの曖昧な容量のプランに踏み込んだことも驚きなのだ。そこからさらに小容量プランに踏み込んでしまうと、完全にサブブランドの縄張りを荒らしてしまうことになるだろう。
ドコモとしてもそれをわかっていて、ライバルキャリアの踏み込めない部分を攻めてきたのかもしれない。もしも現在計画中のEconomyプランがahamo同様に魅力的なプランとなれば、「どのニーズでもドコモが最適解」となる日が来ることになるだろう。これからのドコモのシェア推移に注目していきたい。
参照元:ドコモ「ahamo」が100万契約突破、さらに「小容量、超低廉な料金」も準備【価格.com】
※サムネイル画像(Image:yu_photo / Shutterstock.com)