NTTドコモは3月下旬からサービスを開始した新プラン「ahamo」の契約件数が100万件に達したと発表した。通信業界トップシェアのドコモとあって、政府が求めた携帯電話料金値下げの象徴的な存在として、契約数の伸びが注目されていた。
狙い通り「ahamo」は若年層ユーザーを獲得
3月26日の提供開始から4月末まで1カ月あまりの累計で、携帯大手各社が導入した新プランの契約件数が公表されるのは初めてのことだった。提供開始までに受け付けた事前登録は250万件に上っていたという。
ahamoはデータ通信容量20ギガバイトで月額2,970円(税込み)。契約手続きも契約後のサポートもオンラインで完結するのが特徴で、ネットを使い慣れた世代をメインターゲットとするサービスだ。ドコモはこれまで「若年層ユーザーに弱い」と言われてきた経緯があり、これまでも「dカード」のCMで人気若手女優や人形のキャラクターを起用するなどの出演で若年層を意識したPRを行ってきた。新プランであるahamoでは、「ドコモが弱い若年層がターゲット」だと公言していたのが有言実行となり、契約件数が100万件に達したうち、過半数が30代以下の若い顧客だという。
ネットでは「YouTubeめちゃくちゃ快適」と、他者の格安スマホの通信品質と比較して、ドコモの通信品質の安定感を支持する意見が出ている。しかし、元々母数の大きかったドコモで100万件というのは数パーセントにしかならず「利益にほとんど影響しないレベル。値下げするならキャリアの既存ユーザーに対して値下げをすべきなのに」「長期契約=常連客みたいな考えはもうないんだろうな」などという意見も多く、既存ユーザーからは釣った獲物には餌をあげない、と不平不満が出ているようだ。確かに、ここ数年は長期継続利用者を優遇にするよりも乗り換え客を優遇するキャンペーンが目につく気もする。
ahamoは狙い通りに若年層ユーザーを獲得したが、既存顧客の高齢者も「低価格さ」に飛びついているという。実際に、店に来店して契約を求める中高年層も多いため、4月22日から店頭で有料の契約サポートも始めることとなった。オンライン限定のプランとして始めたプランだったが、中高年層ユーザーが増加したこの状況は想定以上だったかもしれない。
井伊基之社長は記者会見で、「既存の契約者からの移行の方が多いが、新規や他社からの流入がないわけではない」と説明した。4月はMNPが転入超過になったそうだ。
シェア拡大は非常に好ましいことだが、店頭サポートの充実などによって中高年のドコモ利用者からのプラン切り替えがさらに加速すれば、結果として想定以上の減収につながるだろう。やればやるほど減収なんて、負のスパイラルである。しかし、他キャリアにシェアを奪われるよりはマシ。政府主導の料金値下げは、ユーザーとしては嬉しい限りだが、ドコモに限らず通信事業者にとってはただただ頭が痛いことだろう。減収によって、想定できないような不具合が起こらないといいのだが。
参考元:新料金プランで100万契約に一番乗り、「吹っ切れた」ドコモはどこまで攻める【日経XTECH】