楽天モバイルに新たな追い風が吹き始めている。周波数帯の再配分が一気に現実味を帯びてきたのだ。とくに、これまで既存の3大キャリアにのみ割り当てられていた“電波が届きやすい”とされる周波数帯、いわゆる「プラチナバンド」、が楽天モバイルに割り当てられる可能性も高く、これが実現すれば後発のサービスとして劣勢を強いられていた“通信のつながりやすさ”の課題解決も大きく前進することだろう。今回は、躍進の気配を見せる楽天モバイルについてお伝えしていきたい。
楽天モバイルは悲願のプラチナバンド獲得となるか
楽天モバイルのプラチナバンド獲得の噂が活発になっているのは、5月18日に総務省の有識者会議で「プラチナバンドの再配分を検討すべきだ」とする案が示されたからだ。これまでも楽天モバイル側が「公正な競争の妨げになっている」として総務省に対して再配分を求めていたが、既存キャリア3社は「周波数帯が変更になると設備の更新に費用がかかる」として再配分に反対していた。
作業部会が公表した骨子案では、電波割当ての新たなルールを整備し、ポイントとなるプラチナバンドについても「公正・中立に審査し、再割り当ての検討を行うべきだ」という姿勢を明らかにしたのだった。今回示された骨子案から8月には報告書としてまとめられ、スマホユーザーに与える影響等も含めた課題検討の議論の場も設けるとしている。
プラチナバンド獲得を目指す楽天モバイルにとっては、暫定的とはいえ自身の要望が通ったかたちとなり“朗報”であることは間違いないだろう。現在は大手キャリアの一角を占めるソフトバンクも、キャリア参入当初は好条件の電波を持っておらず、今回の楽天モバイルのように総務省に対して再配分を求めていた過去がある。まさに新規参入キャリアの通る道と言えるだろう。
そうした過去の例から見ても、今回楽天モバイルはプラチナバンドの獲得を果たすことができそうだ。しかしソフトバンクの際には、6年間・979億円という期間と費用をかけてようやく取得するに至ったという。さらにauのKDDIでも、7年で5,000億円をかけて過去の周波数再編を実施したことをアピールしている。当時とは様々な部分で違いが出てきていることは確かだが、それでも楽天モバイルも安くない費用負担を長期にわたって強いられることになりそうだ。
現在、楽天グループの総力を結集して自社回線のカバー地域を広げ続けている楽天モバイルは、この負担をどうやって乗り越えていく算段なのだろうか。楽天モバイルが既存3社に対抗する一手を放つその瞬間を、見逃さないよう注視していきたい。
参照元:携帯のプラチナバンド、再配分が「適当」 総務省【日本経済新聞】
参照元:3G終了が絶好の機会 楽天モバイルが「プラチナバンド」再分配に意見表明【ITmedia Mobile】
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