「20年後のiPhoneは、iPhone 12よりは優れていると思います(笑)」。これは、「20年後のiPhoneは、どのような進化を遂げていると思いますか?」という質問に対する、アップルのティム・クックCEOの回答だ。フランスで開催されたテクノロジー関連のイベント「VivaTech2021」で行われたリモートインタビューでの内容で、他にもプライバシー保護についての考え方や、未来の技術についてなど盛りだくさんの内容が語られ、映像が公開されている。
プライバシー保護を重要視する姿勢をアピール
クックCEOは6月16日から開幕したイベントの初日に登場。インタビューの冒頭では新型コロナウイルス感染症に対するアップルの取り組みについて聞かれ、グーグルと協力して接触通知APIを開発したことや、医療用フェイスシールドを開発して週100万枚ペースで配布しているなど、アップルの対応を強調した。
その後、プライバシー保護について聞かれると、「プライバシーを基本的人権とみなし、設立以来40年以上にわたってプライバシーの保護に積極的に取り組んできました。スティーブ(スティーブ・ジョブズ)は、『ユーザーのプライバシーに関わる動作を行う際は許可を求めるべき』と何度も言っていました。私たちも、その方針を継続しています」とプライバシー保護を重要視している姿勢をアピールした。個人情報の保護を目的にEUで制定された「EU一般データ保護規制(GDPR)についても賛同し、強力なプライバシー保護のためには各国政府と民間企業が協力する必要があると言及。アップルの協力姿勢をアピールする一方で、ビックテックの市場独占を規制するべく提案された「デジタル市場法(DMA)」については、セキュリティの観点から異論を示した。DMAはiPhoneにApp Store以外で提供されているアプリもインストールできるようにすることを求める提案が盛り込まれており、iPhoneのセキュリティが壊されてしまうと主張した。
冒頭の回答は、未来の製品の予測の困難さを物語っている。クックCEOは「iPhone用のチップがiPadやMacに使われるとは思いもしなかった」と語り、20年後のiPhoneは予想できず、だからこそ謙虚な気持ちで臨むことが大事とも。「緊張感を保ち、発見を続け、試行錯誤が自分たちをどこへ導くのかに心を開くこと」によって、「それが私たちを信じられないような場所に連れてきてくれました」とアップルのたどってきた道のりを回顧した。
また、クックCEOはAR(拡張現実)やAI(人工知能)に対して期待感を募らせている様子。また、身体の状態を常に監視して、車の警告灯のように異常を知らせてくれるヘルスケア技術を考えていると、開発中の技術についてのヒントを与えながらも、開発中の自動運転車に対しては言及を避けた。
iPhoneの登場は2007年。20年前には世の中になかったプロダクトなわけで、20年後のiPhoneは今とは全く違うものになっていて当然だろう。あなたはどんなiPhoneになっていると考える?
参考元:「20年後のiPhone」や「未来の技術」についてAppleのティム・クックCEOが語るインタビュー映像が公開中【GIGAZINE】
※サムネイル画像(Image:Framesira / Shutterstock.com)