日本でも着々と普及している5G対応のスマートフォン。市場調査企業のStrategy Analyticsによる発表では、2021年第1四半期(1~3月)における世界全体の5Gスマートフォンの出荷台数は1億3,600万台であることが明らかとなった。全四半期比では6%の伸び率で、特に中国、アメリカ、西ヨーロッパで増加しているという。また、世界で最も急成長したスマホベンダーは、アップルではなく、サムスンとVivoだった。
出荷台数・シェアは共にアップルが1位を死守。だが成長率は……
同社の調査によれば、2021年第四四半期における出荷台数の1位はアップルの4,040万台。シェア率は29.8%とトップの座を死守している。以下、2位は中国のOPPOで2,150万台(シェア15.8%)、3位vivoは1,940万台(シェア14.3%)、4位・サムスンは1,700万台(シェア12.5%)と続く。
だが、成長率に注目してみるとアップルの苦戦が見受けられる。成長率のトップはサムスンで成長率79%と驚異的な伸び率だ。2位はvivoで成長率62%、3位はOPPOで55%と、アジアメーカーの成長は著しい。サムスンは「Galaxy S21」などをフラッグシップモデルとしてリリースしており、韓国・アメリカ・ヨーロッパの一部市場でシェアを広げている。vivoは「iQOO U3」や「iQOO U7」などをリリース、OPPOは「Find X3 Pro」などをリリースする中国のスマホメーカーで、何かと話題となっている。逆にアップルは23%減のマイナス成長。アップルの売上が悪化しているのではなく、全四半期にiPhone12シリーズが予想以上に大ヒットした反動だとStrategy Analyticsは分析しているが、出荷台数のシェア率を落としているのは確か。アップルの求心力が弱まりつつあるのかもしれない。
グローバルの携帯電話事業者による業界団体GSMAによれば、2025年時点における5G回線比率は、モバイル回線全体の20%を占めると予測。地域別にみれば北米と中華圏(中国、香港、マカオ及び台湾)での5G割合は半数近くになると予想されており、この2大エリアや3割近くの5G回線比率となるヨーロッパを制したものが5Gスマホ市場を支配することになるだろう。Strategy Analyticsでは、サムスンは世界最大の5Gスマホ市場である中国での存在感が薄く、逆にVivoやOPPOなど中国のベンダーは、市場価値の高いアメリカではほとんど認知されておらず、収益や利益を伸ばす上での足かせになると分析。世界中を掌握するのはやはり並大抵のことではないようだ。
2020年通年の5Gスマートフォンの世界出荷台数は2億6900万台だったが、2021年通年では6億2400万台に達すると予測されているように、5Gスマホが主流となっていくのは自明の理。アップルが存在感を放ち続けることができるか、気になるところだ。
参考元:5Gスマホの出荷台数ランキングが発表、市場シェア1位と最も成長した企業は? 【GIGAZINE】
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