9月24日、ついにファン待望の「iPhone 13」シリーズが発売された。ボディデザインなどは「iPhone 12」を踏襲していたこともあり一部では“マイナーチェンジ”と言われているものの、iPhone初のストレージ容量1TB搭載やリフレッシュレート120Hzの採用など、大きく変わった部分も少なくない。しかし一方で、iPhoneユーザーが期待していた変更が実現しなかったものも存在する。それがアップルの独自規格と言っても過言ではない「Lightningコネクタ」を搭載した「Lightningケーブル」だ。
今回は、規格統一をしてもらいたいiPhoneファンの声に耳を貸さず、かたくなに独自規格を貫き続けるアップルについてお伝えしていきたい。
アップル独自のLightningケーブル、いつまで続く?
そもそもLightningケーブルは、2012年に登場したアップル製品独自のデータ通信用ケーブルだ。それまでの幅広の「Dockコネクタ」からコンパクト化を図りフォルムを大きく刷新し、上下どちらの向きでも差し込める利便性の高い革新的なデザインが反響を呼んだ。
しかしそんなLightningケーブルが鳴り物入りで迎えられたのもすでに9年も前のこと。デジタル技術は飛躍的に進化しており、新たな通信規格5Gの普及や先述の1TBのiPhoneの登場など、スマホで扱われるデータも大容量化していることは読者の方々もご存じのことだろう。そんな中でLightningケーブルの転送速度を考慮すると、もし1TBのデータを丸々Lightningケーブルで転送しようとした場合、理論値の速度で考えても約5時間かかってしまうという。
一方、競合であるUSBも「MicroUSB」を経て「USB Type-C」へと、時代の流れに合わせて移り変わっている。正直に申し上げて、Lightningケーブルは時代遅れになりつつあると言わざるを得ないのだ。
アップル・iPhoneといえば先進的なデザインや機能性でトレンドを創る側としてその名を馳せてきた。そんなアップルがなぜここまでLightningケーブルにこだわるのかと言えば、“安全性”のためのようだ。
Lightningケーブルのコネクタ部分には専用の認証チップが採用されているといい、アップルが認めたメーカーしかLightningケーブルの製造ができないのだという。正規メーカーだけが製造を担当するため、質の低い製品や悪意ある仕組みの仕込まれた製品が出回ることがなくなり、安全性が確保できる。これはまさにアップルがApp Storeでアプリを管理しているのと同じ考え方と言えるだろう。
しかしそうは言っても、iPadでは2018年からUSB Type-Cが採用されており、iPad miniでもiPhone 13とともに発表された「iPad mini(第6世代)」からUSB Type-Cを搭載するようになったのだ。もはや同じアップル製品であってiPhoneに採用されない意味がわからなくなり始めているレベルだ。iPhone 13の発表後も、ネット上ではiPhoneのみLightningケーブルが存続したことに疑問の声が多数あがっていた。
加えてEUでは「様々なデバイスの充電規格をUSB Type-Cに統一しよう」という動きも出てきており、そのための法案の成立を目指していることが報じられている。仮にこの法案が成立すれば、さすがのアップルも「EU用にUSB Type-C、それ以外用にLightningケーブル」といったややこしい設計をすることなくUSB Type-Cに統一しそうだが果たして…。
たびたび「完全ポートレス化」の噂も聞こえてくるiPhoneだが、これからLightningケーブルはどのような運命をたどることになるだろうか。今後の推移を見守りたい。
参照元:秋吉 健のArcaic Singularity:レガシーインターフェイスとなったLightning規格。その成り立ちや現状からユーザーの不満の原因を探る【コラム】【BLOGOS】
※サムネイル画像(Image: Primakov / Shutterstock.com)