楽天モバイルの目標のひとつである「人口カバー率96%」到達が、また一段後ろ倒しになった。今度は「2021年内」から「2022年度の第1四半期」へと変更したのだった。世界的な半導体不足で基地局の設置が思うようにいかないという不運があるのは間違いないが、そう何度も遅延を続けていてはユーザーの印象も良くなることはないだろう。実際にネット上からは楽天モバイルへの不満の声が噴出している。
楽天モバイル、「人口カバー率96%到達」時期がまた延期
楽天グループの代表取締役会長兼社長である三木谷浩史氏は10月12日、オンラインイベント「Rakuten Optimism 2021」に登壇。その中で楽天モバイルの楽天回線エリア(4G)の人口カバー率に言及し、「2021年9月末時点で93.3%」であること、「2022年度第1四半期に96%を超える見込み」であることを伝えた。見込みが後ろ倒しになったことについて三木谷氏は、「新型コロナウイルスの影響で半導体の供給が遅れ、本来であればすでに実現しているはずの(96%という)数字が4~5カ月先になってしまった」とコメントした。
たしかに2020年12月に明かされた計画では、「12月の段階で73.8%、2021年夏頃に96%になる」と公表していた。その計画ではもう96%に到達しているはずだったのだ。しかし全世界で巻き起こる半導体不足のあおりを受けて基地局の展開が思うように進まず、2021年7月には楽天モバイル公式HPの楽天回線エリアの案内で「2021年内に人口カバー率96%へ拡大予定」「※時期は、世界的な半導体不足等による基地局設備への影響等で、変更となる場合があります」と伝えていた。
つまり今回「2022年度第1四半期」となったのは、まさに楽天モバイルが懸念していた“悪い予感”が現実のものとなってしまったとも言えるのだ。
楽天モバイルの苦境はそれだけではない。現在は人口カバー率の拡大に苦心しているが、ユーザーからは「電波が届かない」という電波強度に対する不満も聞こえてきているのだ。
「屋外にいるとちゃんと電波捕まえていますが、コンビニでQRコード決済しようとすると圏外」「ちょっとビルに入ると繋がらなくなる。地下なんてもっての他」といった、屋内での使用に不満を覚えるユーザーが続出。「仕方ないからスマホを操作するときは窓際まで移動してんだけど、なんかガラケーが普及し始めたころに戻ったようで腹立つ」など、かつて携帯電話が普及しはじめた頃の時代と比較する意見も見られた。また、「典型的な安かろう悪かろうのサービス」などの指摘や、「今のところはまだ無料期間ですけど、このまま改善されないようでしたら乗換えるつもりです」と、乗換えも視野に入れているという声まで。ユーザーの確保が急務の楽天モバイルにとって、既存ユーザーの離脱はなんとしても防ぎたいところではないのだろうか。
楽天モバイルでは、9月頃からシステム障害・通信速度低下などのトラブルが頻発しており、ユーザーも苛立ちを募らせている。そんな電波状況にも関わらず、10月以降は全国各地で進むパートナー回線エリアの縮小が加速しはじめた。
楽天モバイルは不満だらけの使用感を放置したまま、見かけだけの人口カバー率の向上にばかりこだわり続けるのだろうか。急激なユーザー減につながらないといいのだが…。
参照元:楽天モバイル、22年度第1四半期に人口カバー率96%超へ――9月末時点では「93.3%」【ケータイ Watch】
※サムネイル画像(Image:optimism.rakuten.co.jp)