今の時代、出歩く際にスマートフォンを持ち歩かない人のほうが少数派だ。読者の方々も、出先であったり移動中にメール・チャットやちょっとした調べもの、暇つぶしなどの際に重宝していることだろう。しかしそんなスマホの利用データが、知らない間にスマホの製造メーカーなどに送られていたとしたらどうだろうか。
今回は、世界の研究チームが発表した、スマホで行われているユーザーの意思にそぐわない利用データの流出についてお伝えしていきたい。
サムスン・シャオミなどのスマホが知らぬ間にユーザーデータを取得している?
Haoyu Liu氏とDouglas Leith氏の研究チームの調査発表によれば、調査対象となったサムスンやシャオミといったスマホメーカーが独自に開発する6種類のAndroid OSのうち、実に5種類ものOSで「最小限の構成で端末が待機状態の場合でも『かなりの量』のデータを送信していることが判明」したという。また確認された送信の中には、OSを開発したメーカーのものだけでなく、グーグルやマイクロソフトといったサードパーティー企業のものも含まれていたという。
具体的に収集されていたデータとして伝えられているのは、「インストールされたアプリのリスト」「アプリの使用時間」「キーボードアプリの入力情報」など多岐にわたる。アプリのリストはデータ送信の判明した5種のOS全てで確認されており、スマホにインストール済みの全アプリのリストが収集されていたという。イスラム教徒の礼拝用アプリや特定政党の支持者向けニュースアプリ、同性愛者向け出会い系アプリといった、インストールしていることでユーザーの思想や嗜好が知られてしまうアプリ情報の漏えいが懸念されている。
またシャオミ製スマホはユーザーがどのアプリをいつどれだけの時間使用したかなどのデータを送信していたといい、ファーウェイ製スマホではマイクロソフトの仮想キーボードアプリ「SwiftKey」の使用状況をマイクロソフトに送信し、テキストを書いたり検索バーを使用したタイミングや入力文字数などがわかってしまうのだという。
近年、スマホ業界ではプライバシー保護の意識が急速に高まっている。とくにアップルは先駆者と言っても過言ではないレベルで対応を進めており、4月にiOS 14.5のリリースとともに「アプリでユーザーのデータを収集(トラッキング)する際には、ユーザーの許可を得ること」を義務づけたことは記憶に新しい。同時にアップルは、アプリによるデータ収集の不快さを強調したCMを放送することで、プライバシー保護の大切さを訴えていた。
そんな時代の流れと逆行するような事態を伝えた今回の報道は、果たしてスマホ業界にどのような影響を与えるのだろうか。業界全体で適正なユーザーデータ取得を促す機運が高まるのか。ユーザーが該当メーカーのスマホを選択肢から外すようになって、業界シェアに新たな動きが出るのか。今後の動向に注目したい。
参照元:SamsungやXiaomiのスマホは大量のユーザーデータをメーカーやその他の企業に送信していることが判明【GIGAZINE】
※サムネイル画像(Image:Framesira / Shutterstock.com)