日本のiPhoneユーザーにとって、驚きのニュースだったかもしれない。10月29日、総務省が特定無線設備の技術基準適合、いわゆる「技適」に適合しない端末として「iPhone 13」など新型のモデル全15機種を、サイト上の「技術基準への不適合等が確認された端末機器の一覧」リストに追加掲載した。総務省によると、緊急通報ができない恐れがある、という。いざという時に「110」や「119」ができないとなると、携帯電話として致命的な問題だ。自分のiPhoneは大丈夫だろうかと不安になった人もいるだろう。一体、どういうことなのだろうか?
そもそも「技適」ってなんのこと?
日本国内で私たちが利用しているスマホやノートパソコン、などの無線機器は「技術基準適合証明等のマーク(技適マーク)」が付いている。これは電波法令で定めている技術基準に適合している無線機であることを証明するものだ。例えば技適マークがついていない海外製の無線ワイヤレスイヤホンなどを使用すると、電波法違反となる場合がある。当然、iPhoneを含め国内で発売されているスマホの機種は、この技適マークが付いたものが売られている。
だが今回、総務省は公式サイト上で、技適マークの不備や技術基準への不適合などの事例をまとめたリストにiPhone XS、SE(第2世代)、11、12、13シリーズのうち15種の機種を掲載した。これらはデュアルSIMに対応した機種で、デュアルSIMを利用する際にデータ通信専用SIMをモバイルデータ通信用回線として設定している場合に、「110」や「119」などへの発信ができない問題があるため、リストへ追加されたのだという。
実は9月10日に携帯キャリア4社がこの問題について発表、その後発売されたiPhone 13シリーズでも同様の問題が見られると発表している。また、iPhone以外にも台湾・ASUSTeK Computerや中国・ZTE、シャープ、京セラ、ソニーなども同様の事例が発生しているとして、総務省の同リストにも掲載されている。
まず、iPhoneが技適不適合で使えなくなってしまう、という訳ではないので安心してほしい。電波法違反になってしまう、なんてこともない。ただ、該当機種のユーザーでデュアルSIMを利用しているユーザーは、緊急電話が使えない可能性があるので注意が必要だ。では一体、どうしたら良いのだろうか?
この問題に対しアップルは10月23日、公式サイト上のサポートページ内に「日本でデュアル SIM を使って緊急電話をかけられない場合」というページを掲載。「緊急電話をかけるには、「設定」>「モバイル通信」>「モバイルデータ通信」の順にタップし、モバイルデータ通信用の番号で音声通話が可能な SIM カードを選択します。」と対象方法を説明している。また、キャリア各社も「モバイルデータ通信」用の回線に「音声通話可能なSIM回線」を設定するよう案内している。
プライベート用と仕事用などスマホを使い分ける必要がある人にとって、1台のスマホに2枚のSIMカードを挿入することで、2台持ちすることなく使い分けることができるデュアルSIMはとても便利な機能だ。今後も使い続けたいという人も多いだろう。だが緊急電話はスマホにとってなくて、有事の際に迅速な連絡を取るための手段として欠かせない機能と言っても過言ではないだろう。利用している人は忘れずに確認して欲しい。今後も安心してiPhoneが使えるように、アップルには早期の対処を期待したい。
出典元:電気通信機器の基準認証制度における技術基準への不適合等の事例について【総務省】
※サムネイル画像(Image:Rokas Tenys / Shutterstock.com)