10月29日、KDDIは2022年3月期第2四半期の決算を発表した。増収減益の決算となったが、通期目標に対しては売上高と営業利益の進捗がそれぞれ49.1％、54.6％と順調のようだ。決算説明会に登壇したKDDI代表取締役社長の高橋誠氏は、9月下旬からスタートしたばかりの「povo 2.0」についてももちろん触れているが、高橋氏が語った内容とはどういうものだったのだろうか。
ライバルはズバリ、楽天モバイル！
（Image:povo.jp） povo2.0は「基本料0円」であること、データ通信量やかけ放題など10種類の「トッピング」を自分で選択し一人ひとりのユーザーが自分専用のプランを作ることができるのが最大の特徴だ。「基本料0円でトッピングしてもらい料金が発生する」という、スマホ業界では斬新とも言えるシステムが導入された理由は、「楽天モバイル」を意識してのことだったことを語った高橋誠社長。
決算説明会で上期の市場環境を「色々な値下げの話や、楽天モバイルの0円プラン（「Rakuten UN-LIMIT IV」）などがあって解約率が上がった」と、高橋氏があえてど直球に楽天モバイルを名指し。楽天モバイルによる料金攻勢の影響などを受け契約数が2万減少したことを明らかにした。
KDDIは6月以降、堅調だったサブブランドの「UQモバイル」の「でんきセット割」（9月に「自宅セット割」にリニューアル）を提供するなどして、楽天モバイル対策の強化を図ってきたが、矢継ぎ早に9月下旬にはpovo2.0をリリースし、さらなる攻勢に出た。
（Image:povo.jp） 毎月データトッピングを追加購入せずに済ませるには、有効期限が30日以上のデータトッピングを選ぶしかなく、そこまで通信容量を利用しないという人には適さない内容になってしまう
まずひとつ目の大きな違いは、料金面だ。これに関してはpovo2.0に分がある。povo2.0は、基本料金0円。そしてトッピングは、7日間で１GBなら390円、月3GBなら月額990円、月20GBなら月額2,700円だ。また、90日間で60GBのトッピングなら6,490円で、実質は月20GBが月額2,163円の計算になる。180日間で150GBのトッピングなら12,980円で、実質は月25GBが月額2,163円の計算となる。
一方の楽天モバイルは、１GBまでは0円、3GBまでは月額1,078円、20GBまでは2,178円、それ以上は無制限で3,278円。povo2.0では、細かい価格設定がある上に、20GB利用の場合を除いて楽天モバイルと比較して安いようだ。
しかし、プランのシンプルさや手続きの簡便さに関しては、楽天モバイルが大きくリードしている。というのも、楽天モバイルなら1つのプランしかないので何も考えなくても利用できるが、povo2.0ではユーザー自身で自分がどのくらいのデータを使うか把握し、どのデータトッピングを付けるかを考え、アプリで操作してトッピングを購入したのちに利用することになる。さらに、povo2.0ではデータトッピングを自動更新設定にすることは不可能だ。そのためトッピングの有効期限が切れたらその都度手動で追加する必要があり、有効期限を気にしておかなくてはならないし、アプリから簡単に購入できるとはいえ毎回自分でチャージしなくてはならない。これまでのプランを使ってきた利用者にとって、あまりにも馴染みのないやり方なので、手間に感じる人はかなり多そうだ。安さだけを見てpovo2.0に乗り換えた人は、「聞いてないよ！」となってしまいそうなトラップとも言えるだろう。
KDDIは独自のことをしようとするばかりに、かえってユーザーの手間が増える戦略を取ってしまった……！？ この影響がユーザーからどのように判断されるのか。楽天モバイルの反撃もあるのか含め今後の動きにも注目していきたい。
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※サムネイル画像（Image:povo.jp）
