広告とは、基本的に「自社の」製品やサービスを広く周知させるために利用するものであることは、日々テレビやネットでCMなどと接している現代人であれば当たり前の認識だろう。しかし今回、「あの世界的大企業・アップルが『他社の』サービスの広告を出している」とする報道が話題となっている。
iPhoneやApple Watchといった自社製品のテレビCMなどもよく見かけるアップルだが、なぜ他社サービスの広告などを出しているのだろうか…?
アップル、人気アプリの広告を勝手に出稿?
「アップルが他社サービスの広告を出稿している可能性がある」と伝えたのは、アメリカのメディア・Forbesだ。その報道によれば、アップルは少なくともこの2年、マッチングアプリ「Tinder」「Bumble」や、大手メディア「HBO」、言語学習アプリ「Babbel」といったApp Storeで人気のアプリの広告を“アプリパブリッシャーの同意を得ずに”Google上にアプリ広告を出しているようだ、と伝えられている。
Googleの広告からは広告主が誰かは判別できないため、「アップルが広告主である」と断定はできないという。しかしこの情報の出所がパブリッシャーだといい、パブリッシャー自身が広告主でないことは確実。加えて広告のリンク先がApp Storeであることや、どの広告もほぼ同じパラメータを持つトラッキングリンクを含み、「同一の会社がすべての広告を出稿していることを意味している」として「広告主アップル説」を裏付ける根拠となっているようだ。
一方で「アップルが自費で勝手にサービスを宣伝してくれるのなら、パブリッシャーにも得しかないのでは?」と思いもする。しかし報道によれば、「同じターゲットへの広告出稿が競合すると、広告費が高くなる」「App Store経由での売上となると、30%の手数料をアップルに支払うことになる」といったパブリッシャー側のデメリットが存在するとも指摘。単に「売上が上がった!万歳!!」というわけにはいかないのだ。
もし「アップルが手数料収入を増やすため、勝手に他社サービスの広告を出している」という噂が事実であれば、他人のふんどしで相撲を取っているようでダサいことこの上ない話だ。ネット上でもこの報道を見たユーザーから「相変わらずせこいなー」といった声が挙がっている。
しかし逆に言えば、そんなイメージダウンによるマイナスを上回り、出稿料すらもペイできてしまうほどの利益を確保できると見込んだアプリのみがアップルに選ばれているとも考えられる。アップルからすれば「手間をかけずに小さな投資で大きなリターンを得られる」、新たな“金のなる木”なのかもしれない。
またForbesによれば、「全てのアプリパブリッシャーがアップルによる広告出稿に反対しているわけではないようだ」ともしている。今回出稿されなかったサービスの中にも「どうせならうちのアプリの広告出してくれればいいのに…」と思っている企業もあることだろう。
どうせ勝手にやるのであれば、広告を喜んでくれる企業のアプリを積極的に起用していってはいかがだろうか。そうすればwin-winの関係にもなり、懸念すべきイメージダウンのダメージも減らして費用対効果が高まりそうだ。
参照元:Apple、アプリ売上を増やすため密かにGoogleに広告を出している?【iPhone Mania】
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