東京・池袋で高齢ドライバーが起こした痛ましい交通事故をきっかけに、かたくなに「免許返納」をしようとしない頑固な高齢者についての議論が活発になっている。そこで今回は、家族がおじいちゃんを説得しやすいように、「免許返納」で受けられる特典やメリットなどを紹介したいと思う。これでアナタのおじいちゃんも納得するかも?
免許を返納すると「運転経歴証明書」がもらえる!
(Image:Shutterstock.com)
高齢ドライバーの運転で、お母さんと子どもの命が無残にも失われた痛ましい池袋の交通事故をきっかけに、高齢者の「運転免許証の自主返納」が話題となっている。「うちのおじいちゃんも“ワシはまだまだ大丈夫”と言い張って免許返納しようとしない」ことを心配している人も多いことだろう。そこで今回は「免許返納」の条件や、免許返納による特典やメリットなどを紹介しようと思う。
まず、「免許返納」は本人が直接申請することになっている。免許証の有効期限が切れていたり、行政処分を受けている人は申請できない。申請できるのは運転免許センターや警察署で受け付けており、印鑑さえ持って行けば手数料は無料だ。ちなみに、免許返納の年齢に定めはないので、何歳でもOKだ。
また、免許返納した人が希望して申請すれば「運転経歴証明書」が交付されることになっている(発行手数料は1,100円)。これは運転免許証と同じサイズのカードで、身分証明書として利用できる。また、自治体によって特典内容や対象年齢は異なるが、「運転経歴証明書」所有者で65歳~70歳以上の高齢者は、バスやタクシーの割り引きなど、さまざまな特典を受けることができるのだ。
(Image:keishicho.metro.tokyo.jp)
免許証を自主返納した人が身分証明書に困らないように、「運転経歴証明書」を発行してもらうことが可能。これがあると、さまざまな特典を受けられる
■運転免許証の自主返納の条件(東京都の場合)
①東京都に住所があること
②運転免許証が有効期間内であること
※返納する年齢に定めはない
■運転経歴証明書の申請ができる人(東京都の場合)
①東京都に住所があること
②これから運転免許証を自主返納する人
③東京都内で運転免許証の自主返納をした日から5年以内
※「運転経歴証明書」の特典を受けられるのは原則65歳以上
■運転経歴証明書を提示して受けられる特典(東京都の場合・65歳以上が対象)
①銀行金利優遇
巣鴨信用金庫や東京シティ信用金などで店頭金利+0.05%の金利優遇
②ホテル割引き
帝国ホテル東京、浅草ビューホテルなどで10%割引き
③デパートで配送料無料
三越伊勢丹・高島屋の一部店舗で配送料が無料になる
④タクシー割引き
寿交通・東京都個人タクシー協会などで10%割引き
⑤眼鏡・補聴器割引き
メガネスーパー(15%割引き)、和信眼鏡、ビックカメラ(10%割引き)
⑥その他割引き
ミズノ(10%割引き)、アシックス(15%割引き)
自動車を処分すればタクシーを使い放題に!
(Image:cowardlion / Shutterstock.com)
免許を返納して「運転経歴証明書」を取得すると特典が受けられると言っても、頑固なおじいちゃんは納得しない可能性もある。そこで、今度は自動車を手放したときに節約できる費用で説得してみよう。たとえば、一般的な乗用車を東京郊外で10年間維持すると約614万円かかる計算となった。つまり、自動車を処分することで年間61万円以上も節約できるのだ。もし、タクシー代金が1回平均614円だったとすると年間1,000回、10年では1万回も利用できることになる。これなら、無理に自動車を維持して自分で運転しなくてもいいかと考え直してくれるかもしれない。もちろん、駐車場代や自動車の価格、燃費、走行距離、車両保険料などの有無で節約できる金額は大きく異なるだろうが、一度、実際におじいちゃんの車の維持費を計算してみるといいだろう。
■自動車を処分するとこんなに節約できる!
①駐車場代:1万円/月×10年=120万円
②保険料:5万円/年×10年=50万円
③車検費用(自賠責保険・重量税含む):10年で4回:約8万円/回=32万円
④車両代金:300万円(10年使用)=300万円
⑤ガソリン代:6万3,000円/年7,000km×10年=63万円
⑥自動車税:3万9,500円/年×10年=39万5,000円
⑦メンテナンス費(オイル交換等):1万円/年×10年=10万円
合計:約614万円/10年
※タクシー代1回平均614円として10年で1万回タクシーに乗れる! つまり、自動車を処分すると、1年間で1,000回もタクシーに乗れることに!