コロナウイルス蔓延に伴い、われわれの生活は大きく変わったといえる。その中の一つが、在宅勤務だろう。電車や車に乗らなくとも出社できる便利な体制に、なぜもっと早く始まらなかったのか疑問を感じている方も多いのでは。また、できれば在宅勤務は続けたいが、コロナが収束した場合、出勤体制はどう変わるのか不安の人もいるだろう。
株式会社野村総合研究所は都内の大企業に勤務する男女3,207人を対象に「働き方と郊外・地方移住に関するインターネットアンケート調査」を行い、現在の出社頻度と理想の出社頻度について回答を集計した。現在の理想と現実のギャップはどうか、調査結果をもとにみていこう。
もう毎日出社は当たり前じゃない!?理想の出社頻度は「週3日以下」
2022年2月15日~21日にかけて実施された「働き方と郊外・地方移住に関するインターネットアンケート調査」の対象者は、アルバイト・パートを除いた20代~60代の男女3,207名だった。
まずはアンケート時の出社頻度はどのような結果となったか確認していこう。「毎日出社」と答えたのは38.3%で、全体の4割弱であった。その一方、「週3日以下」と回答したのは合計で51.3%、全体の約5割が答える結果に。コロナ禍になる前はほぼすべての社員が出社していたと考えられるため、この2年でリモートワークが世間にかなり浸透したといえる。緊急事態宣言解除後もリモートワークが定着している会社も多く、コロナが終息しても引き続き在宅勤務形態を続ける予定の会社も少なくないのではないだろうか。筆者も通勤の苦痛を味わわなくて済むよう、リモートワーク普及の空気がどんどん広がることを望む。
だがリモートワークが普及したことで、出社頻度の理想がより高くなったともいえる。「理想とする出社頻度は」の質問について最も多い回答が「週3日以下」で31.4%という結果も、社員の理想の高さを物語っているといえる。回答者は74.3%と、全体の約7割もの人が出社頻度は少ない方がよいと考えていることが伺える。さらに、「現実と理想の出社頻度比較」について集計を行ったところ、「理想通り」と答えたのは43.5%に対し、「理想よりも出社が多い」と感じているのは45%と、多少上回っていた。毎日出社が当たり前では無い今、社員の出社基準もより高く変化したのではないだろうか。会社はリモートワークについて早急に制度を整えるべきタイミングなのかもしれない。
社員の出社に対する理想が高いことを感じとらず、なにも対策をしない会社というのは極めて危険と考えられるだろう。本調査では「現実と理想の出社頻度比較」の回答者別に、「働き方に対する不満」の調査も実施。すると「理想より出社が多い」と回答した人のうち81.7%もの人が、すでに別の不満を抱えている状態と回答したのだ。このままいくと、出社頻度も大きな不満の種として社員の中に植え付けられていくことが考えられる。さらにコロナ終息後、毎日出社に戻した場合、社員から大きな不満を買ってしまうことも容易に想像できるだろう。
しかし中には社員の声に耳を貸さず、毎日出社へ戻す会社もあるのではないだろうか。社員が自分たちの意見を聞き入れられなかった経験をすることは、今後の勤務態度にも大きく影響を及ぼすだろう。会社がリモートワークの制度を整えないということは、かなり危険な選択であると考えられるのである。会社への不安や不満を抱えた社員の中には、離職や転職を決意する人も出てくる可能性は十分にあり得るが、賢明な判断ともいえるだろう。
現在リモートワークをしていて、会社への不満を抱えているのならば、コロナ収束後の出勤体制はどうなるのかを考え、自分の今後を見つめ直すのもよいのではないだろうか。
出典元:都内の会社員を対象に「働き方と移住」のテーマで調査【野村総合研究所】
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