コロナ禍となり、商業分野でのキャッシュレス決済推進のほか、教育の分野においても学習のオンライン化が押し進められてきた。公立小中学校の学習用端末の普及率は、9割を超えているという過去の調査もあり、子どもたちにとっても学校から配布されたタブレットやパソコンでの学習が非常に身近になっていることだろう。
そのような状況を前提として今回ご紹介するのは、モバイル社会研究所による「子どもの文字入力スキルについて」のアンケート調査である。これは2021年11月、関東1都6県・小学生及び中学生の親を対象に実施されたもので、500名から回答を得ている。
子どもの入力スキルは、2020年から2021年でアップ!
まず、はじめの質問は「パソコンでの文字入力スキル」について。保護者に対し、子どもがパソコンで10秒に5文字以上文字入力ができるかどうかを聞いた結果、2020年から2021年の1年間にそれぞれのグループで大幅なスキルアップが見られた。
「小学低学年」では2020年は4%だったところ、2021年には17%となり、13%アップした。「小学高学年」では26%から43%となり、小学低学年を上回る17%ものアップ。そして「中学生」では36%から49%となり、13%のアップと、いずれのグループでも1割以上がスキルアップしている結果となった。
2019年12月以降、政府主導で進められてきた児童生徒向けの1人1 台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備するという試みは、どうやら一定の成果を得ているようだ。
さらに、子どものオンライン授業の経験の有無でパソコンの入力スキルに差が出る、という興味深い結果も出ている。「パソコンで10秒に5文字以上文字入力ができる」と回答した割合は、オンライン授業を経験したことのある子の保護者ほど高くなることがわかったのだ。
具体的には、「小学低学年」ではオンライン授業の経験が無いグループではパソコンで10秒に5文字以上文字入力ができるスキルがある子どもの割合が11%と低い水準にとどまったが、オンライン授業の経験が有るグループでは47%と半数近い水準となった。また、「小学高学年」では、オンライン授業の経験が無いグループにおいて当該スキルのある子どもが72%なのに対し、オンライン授業の経験が有るグループでは87%という結果に。そして「中学生」でも同様に、オンライン授業の経験が無いグループにおいて当該スキルのある子どもは79%なのに対し、オンライン授業の経験が有るグループでは90%と高い水準になった。
そして、ここで注目したいのは、より低学年のグループほどオンライン授業の経験の有無による入力スキルの高い低いに大きく差が生まれているという点だ。小学低学年ではその差は36ポイントと、最も大きく開いた。これらの調査結果から言えることは、より幼い頃から入力の必要に迫られることが、スキルをより押し上げるということではないだろうか。
今後の社会では、誰しもITスキルが高いに越したことはないだろう。子どもが苦労しないために保護者としてできることは、幼い頃からデバイスに触れさせたり、オンラインでの学びを自然に取り入れたりしてあげることなのかもしれない。
出典元:小学低学年 オンライン授業の経験有無でパソコンの文字入力スキル4倍以上の開き【モバイル社会研究所】