暑くなるこれからの季節は食中毒に注意が必要なシーズンでもある。なかでも「ノロウィルス」は“消毒用アルコールが効かない”とも言われる恐ろしい細菌。一度感染すると激しい嘔吐や下痢に見舞われるのだ。しかし、本当にアルコールで消毒できないほど強力なバイ菌など、存在するのだろうか? 今回は恐ろしい「ノロウィルス」の噂について検証してみよう。
ノロウィルスに効くワクチンはない!
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感染すると、激しい嘔吐や下痢の症状が出る「ノロウィルス」。一部マスコミでは「ノロウィルスには消毒用アルコールが効かない」と報道されており、警戒している人も多いだろう。そもそも、ノロウィルスはどのように感染するのだろうか? 主な感染経路にはノロウィルス患者の嘔吐物やふん便への接触、次に飛沫感染、そして、非加熱の汚染された井戸水や二枚貝を口にした場合などがあるが、これ以外にも、食品製造や食堂などでノロウィルス感染者から汚染した食品を食べることで感染することも多いので、なかなか厄介なヤツなのだ。
しかも、一度感染してしまうと有効なワクチンも存在しない。治療には、下痢や嘔吐で失われた水分を点滴などで補う対処療法しか方法がないのである。厚生労働省の公式サイト「ノロウイルスに関するQ&A」では、「Q14 ノロウイルス食中毒の予防方法は?」の項目が空欄になっているあたりからも、かなり危険なウィルスであることがわかるだろう。
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ノロウィルスは軽く消毒用アルコールで拭いたぐらいではダメ。長時間アルコールにさらすか、石鹸と流水による手洗いが効果的だという
ノロウィルスの感染予防はどうすればいい?
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感染すると効果のあるワクチンもない恐ろしいノロウィルスだが、マスコミで騒がれている「ノロウィルスはアルコール消毒が利かない」というのは本当だろうか? 確かにノロウィルスは、アルコールに対する耐性がほかのウィルスよりかなり高い。しかし、アルコールが無効なウィルスなどは存在せず、消毒用アルコールで30秒以上さらされると、ノロウイルスの感染力が低下することが確認されているのだ。したがって、“30秒以下のアルコール消毒は効かない”というのは事実である。
また、石鹸にノロウィルスの感染力を低下させる効果はないが、流水で手洗いをすることで、手指に付いているノロウィルを減らすことができるという。つまり、石鹸と流水で手を洗えば、手に着いた汚れや脂肪を落とす過程でノロウイルスも一緒に流されてしまうのだ。さすがのノロウィルスも、流れる水の力には逆らえないというわけだ。
なお、ノロウィルスが心配される二枚貝については、85℃以上で1分以上加熱すれば大丈夫である。基本的にウィルスは熱に弱いのである。
●厚生労働省(ノロウイルスに関するQ&A)は→こちら