【マンション】タワーマンション(タワマン)の階層カーストってホント?

今や、東京や大阪などの大都市ではタワーマンションは珍しくない存在になっている。だが、ネット上は定期的に「タワーマンションには階層カーストがあって住みにくい」といった記事を目にする。上層階と下層階では収入格差があるので差別されるというのだ。もっともらしく書かれているが、果たしてこれは本当なのか? 今回は、実際にタワーマンションに住む筆者が「タワマン階層カースト」の実態を解説しよう。

タワマンはもはや金持ちの象徴ではない

(Image:Shutterstock.com)

 ネット上では、タワーマンション(以下:タワマン)をディスる記事をよく目にする。確かに15~20年前ならタワマンは“億ション”と呼ばれる希少な存在だったので、億ションを買える金持ちを妬む気持ちから、タワマンをディスる記事は庶民ウケしたのかもしれない。
 しかし、タワマンは2018年だけで全国で約10万戸も建てられており、もはや大都市では珍しい存在ではなくなっている。もちろん、今でも最上階は100㎡を超える億ションが設定されることが多いが、1棟で数百世帯もあるタワマンのすべてが億ションなわけがない。実際に、東京近郊のタワマンは5,000万円~8,000万円程度で購入できるのである。これは都内の一軒家とあまり変わらない値段だ。仮に5,000万円の物件を頭金500万円で残金4,500万円を35年ローンで購入したとすると、現在の低金利ならローン額は月額12万円程度。別途、管理費や修繕積立費も必要になるが、都心で3LDKの部屋を賃貸で借りるのとさほど差はない。また、若いときに購入したマンションを売却して、タワマンに住み替える人も多く、この場合はマンションの売却資金があるので、住宅ローンはもっと安いだろう。つまり、「タワマン=金持ち」というイメージはすでに現実的ではないのである。

低層階=低収入、高層階=高収入は嘘!

(Image:Shutterstock.com)

 筆者は実際に都内のタワマンの上層階に住んでいるが、ネットで「タワマンには階層カーストがあって住みにくい」といった記事を見るたびに笑ってしまう。テレビ番組『砂の塔』では、最上階のボスが下層階に住むママ友をイジめるという内容だったので、その影響もあるだろうが、実際のタワマンではそんなことは考えにくいのである。
 まず「エレベーターでボタンを押すときに、自分より上の階を押されると劣等感を覚える」というネタは定番だが、そもそもタワマンは四方に部屋がある上に、さまざまな間取りが用意されている。そのため、南向きの25階の3LDKのほうが、西向き30階の2LDKより価格が高いこともある。もちろん、同じ間取り(坪数)なら高層階の方が高く設定されるが、「低層階の住民=低収入」「高層階の住民=高収入」と断言するのは明らかな間違いだ。しかも、タワマンのエレベーターは上層階と低層階に分かれていることが多く、現実には10階の住民と40階の住民が同じエレベータに乗ることは、まずないのである。
 もし、将来タワマンに住みたいと思っている人は、このようなデタラメに惑わされることなく、自分が住みたいタワマンに堂々と住めばいいのである。

文=今井真人/フリーライター

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