国内の電力自由化に伴い新電力サービスとして、2018年10月から供給サービスを開始している「楽天でんき」。最大のメリットは電気を使うだけで楽天ポイントが貯まること。貯まったポイントは支払いに当てられます。
楽天でんき契約後(他社から乗り換え後)も、今までと同じ電線から電力が供給されるため品質は変わりません。電力も安定供給され、契約後もこれまで同様の「同品質」「安定供給」できるので安心です。
ただし、新電力の楽天エナジー株式会社は2021年1月26日、年明けから続く卸売電力市場価格の高騰のため「楽天でんき」の新規申込受付を一時停止。その後、申し込みを再開するも再びウクライナ情勢の影響を受け2022年3月4日より新規申込受付を一時停止しており、2023年3月時点で再開していません。なお、すでに契約中の方は引き続きサービスの利用が可能です。
また2022年6月にはプランS、プランMの電気料金の値上げと燃料費調整額の上限を撤廃。2022年11月からは燃料費調整単価を市場価格調整単価へと変更し、料金改定を行いました。これにより最大で14%の値上げとなりました。
そこで今回は、楽天でんきの料金プランと他社と比較したうえでの特長や強味をご紹介します。
・楽天でんきが新規受付を再開した場合に申し込むべき人
・楽天でんきから他の電気事業者に乗り換えることを検討すべき人
についても紹介するので参考にしてください。
楽天でんきを評価|「楽天ポイントが貯まる電力会社」は魅力!ただし新規受付停止中
楽天でんきでは、電気料金200円につき楽天ポイント1ポイントが貯まるサービスを実施。なおかつ2023年5月から同年12月の利用分まで、楽天ポイントが2倍になるキャンペーンも実施予定です。通常「200円で1ポイント」のところ「200円で2ポイント」へとポイント進呈率がアップするので、たとえば毎月の電気代が10,000円の方の場合、毎月100ポイント貯めることが可能です。
貯まったポイントの使い方は、楽天市場や楽天トラベルなどで貯めた場合と同じ。通常のショッピングなどで使えるほか、楽天でんきの支払いにもあてられます。日頃から楽天ポイントを積極的に貯めているなら、年に数回以上「楽天ポイントだけで全額電気代を支払う」ということも十分に可能です。
楽天でんきはこのような人にピッタリ!東京電力と比較
気になるのが他社との料金比較。「楽天でんき」は本当にお得かどうか東京電力と比較してみました。
以下は、楽天でんきと東京電力の「基本料金」、「電気量料金」をそれぞれ比較した表です。
▼東京電力と楽天でんきの「基本料金」の比較
基本料金 | ||
契約アンペア数 | 東京電力 プラン:従量電灯B |
楽天でんき プラン:プランS |
10A | 286.0円 | 0円 |
15A | 429.0円 | |
20A | 572.0円 | |
30A | 858.0円 | |
40A | 1144.0円 | |
50A | 1430.0円 | |
60A | 1716.0円 |
▼東京電力と楽天でんきの「電気量料金」の比較
電気量料金 | ||
契約アンペア数 | 東京電力 プラン:従量電灯B |
楽天でんき プラン:プランS |
120kWhまで | 19.91円 | 29.45円 |
120kWh超え~300kWhまで | 26.51円 | |
300kWh超え | 30.60円 |
※東京電力の料金は2023年4月1日からの見直し後のもの
楽天でんきの「基本料金0円」は東京電力にはない大きなメリットのひとつです。一方「電気量料金」は、一般的な電力会社の場合、基本的に電気量料金は使用量(契約アンペア数)に応じて変動しますが、楽天でんきの場合は使用量に関わらず一律。そのため、使用量によっては必ずしもお得になるとは限りません。
ほぼ電気を使わない人で基本料金を0円に抑えたい場合や、毎月の電気使用量が多い場合は楽天ポイント還元を含め安くなる可能性があります。
2023年3月現在は新規申し込みの受付を停止中
前述した通り、楽天でんきは2022年3月4日より新規申し込みの受付を停止中。すでにサービスを利用している場合も、2022年6月からプランS、プランMの電気料が値上がりと燃料費調整額の上限が撤廃され、2022年11月からは燃料費調整単価でなく市場価格調整単価に変更されました。料金改定によって、最大14%の値上げとなっています。
このような改定が続くと「楽天でんきの新規申し込み受付が再開したときに加入すべきか?」「楽天でんきから、より安定的な事業者に乗り換えるべきか?」と迷う方も多いでしょう。
加入すべき人、他社へ乗り換えるべき人については後述するので参考にしてください。
楽天でんきの料金プラン
供給エリア別に楽天でんきの料金プランを紹介します。
楽天でんきでは個人・家庭向けプランとして「プランS」を提供しており、供給エリア別の従量料金は下記の通り。なお、繰り返しになりますが2022年6月の値上げと11月の単価の変更により料金が改定されています。
分かりやすいように新・旧の料金を併記してご紹介します。
▼楽天でんき(プランS)の料金改定比較 ※1kWhあたりの料金単価
供給エリア | 旧料金 | 新料金 | 値上げ率 |
北海道電力エリア | 30.00円 | 34.20円 | +14.00% |
東北電力エリア | 26.50円 | 28.80円 | +8.70% |
東京電力エリア | 26.50円 | 29.45円 | +11.10% |
中部電力エリア | 26.50円 | 29.30円 | +10.60% |
北陸電力エリア | 22.00円 | 24.80円 | +12.70% |
関西電力エリア | 22.50円 | 25.50円 | +13.30% |
中国電力エリア | 24.50円 | 26.60円 | +8.60% |
四国電力エリア | 24.50円 | 26.90円 | +9.80% |
九州電力エリア | 23.50円 | 26.37円 | +12.20% |
沖縄電力エリア | 27.00円 | 28.20円 | +4.40% |
【要注意】楽天でんきは「市場連動型プラン」に移行済み
楽天でんきは、従来の「燃料費」を電気料金に反映させて電気料金を算出する方法から「日本卸電力取引所(JEPX)」の価格変動を反映させて算出する方法に変更しています。
日本卸電力取引所(JEPX)とは国内唯一の電力卸取引所であり、JEPXの価格に連動して電気料金が料金が決まるプランは「市場連動型プラン」とも呼ばれます。電力取引の市場価格が高いときは請求額が高くなる一方で、市場価格が安い場合は請求額も安くなる仕組みです。
ただし、市場価格を予測するのは困難なため請求書が発行されるまで電気料金の予測ができない点に注意が必要です。また市場価格が高騰している間は電気料金も高騰する恐れがあり、その時間帯に電気の使用料を抑えるということもほぼ不可能です。
2023年3月時点において電気料金が高騰していることを考えると、市場連動型プランの電気サービスでは想定外の出費が大きくなるリスクがあるため、十分に検討したうえでの契約が必要です。
楽天でんきの提供エリア
楽天でんきの提供エリアは以下の通り。このエリアにお住まいであれば申し込めます。
・北海道電力エリア
・東北電力エリア
・東京電力エリア
・中部電力エリア
・北陸電力エリア
・関西電力エリア
・中国電力エリア
・四国電力エリア
・九州電力エリア
・沖縄電力エリア
ただし2023年現在、いずれのエリアにおいても新規申し込みは一時停止中です。
楽天でんきのメリット
楽天でんきを利用するメリットについてまとめました。
【メリット】楽天ガスとセットで加入すると楽天ポイントの還元率が高い
楽天でんきの最大のメリットは楽天ポイントが貯まること。他のサービスとの併用でよりお得にポイントを貯められます。
楽天でんきを運営する楽天エナジーは「楽天ガス」「楽天ちくでんち」を運営しており、とくに楽天ガスと楽天でんきをセットで加入すると、もらえる楽天ポイントがアップするのでお得です。たとえば、単体の加入だと利用料金200円につき1ポイントのところ、セット加入で100円につき1ポイントが付与されます。
楽天ガスは、東京ガスなどの都市ガスと比較してガス料金自体はそれほど安くはなりません。しかしポイント還元があるため大きくみるとお得感があります。さらに都市ガス高騰の負担増加による対策として2023年2月から同年10月までは、国の「電気・ガス価格激変緩和対策事業」による値引きの対象にもなっています。
さらに2023年5月から同年12月の利用分まで、楽天ポイントが2倍になるキャンペーンを実施。楽天ガスと楽天でんきをセットで使うと利用料金200円で3ポイント還元され、還元率も良いので楽天ガス供給エリア(東京ガス・東邦ガス・関電ガス)の人は、楽天ガスもチェックしておくとよいでしょう。
【メリット】基本料金は0円
基本料金が0円なのも大きなメリット。たとえば「年に1回しかいかない別荘」などであれば、利用していない期間の電気料金を0円に抑えることができます。
楽天でんきのデメリット
楽天でんきのデメリットについても紹介します。
【デメリット】新規受付停止中:受付再開後の値上げの可能性も有り
前述の通り、新規申込受付を停止しているためすぐに加入できません。また国による「電気・ガス価格激変緩和対策事業」による値引きの対象にはなっているものの、これは国からの負担緩和策に基づくもの。今後も価格高騰が続けば楽天ポイントの還元率の引き下げなど、実質的な値上げの可能性はぬぐえません。
【デメリット】市場連動型プランのため料金高騰のリスクがある
市場連動型プランに移行したことによって、料金高騰のリスクがあります。そのうえ、事前に料金単価がわからないので、請求書が発行されるまでその月の電気料金がわからない点はデメリットです。
楽天でんきが新規受付を再開した場合に申し込むべき人
楽天でんきは基本料金が0円で電気使用料が多くなるほどお得なので、以下のような人におすすめです。
・毎月の電気使用量が多い人
・楽天経済圏でお得にポイントを貯めたい・使いたい人
・たまにしか利用しない別荘や施設の電気契約をしたい人
楽天でんきから他の電力会社に乗り換えることを検討すべき人
楽天でんきはプランがひとつしかないため、以下に当てはまる人は他社に乗り換えたほうがお得な場合があります。
・楽天サービスを利用しない人
・1人暮らしの人や毎月の電気使用量が少ない人
楽天でんきと合わせてチェックしたい電力会社 | 切り替え先の電力会社の例
楽天でんきの新規申し込みを検討、または楽天でんきから他社に乗り換えを検討しているなら、以下の電力会社がおすすめです。
・東京ガスの電気
まとめ
電力の価格高騰により続いている電気代の値上げ。楽天でんきでも料金改定があり、誰もがお得というわけではありません。ただ、基本料金が0円なのは大きな魅力で毎月の電気使用量が少ない人や楽天ユーザーでお得にポイントを貯めたい人など一部の人にはおすすめです。
とはいえ他社のプランのほうが電気量が安くなるケースもあるため、メリットとデメリットを比較したうえで加入を検討しましょう。