スーパーマーケットやコンビニエンスストアでもよく目にするようになったセルフレジは、自分で商品のバーコードを読み取り精算を行うシステムである。1~2点のみ買い物をする際に、わざわざ長蛇の列に並ぶ必要がないのは、かなりのメリットであるといえるだろう。便利なセルフレジだが、利用する機会が少ない方にとっては、どのような買い物で利用すればよいか、どのような支払方法があるのか不安な点が多いといえる。そこでアンケート調査の結果から、セルフレジの現状について紹介していこう。
セルフレジの利用経験者は94.8%。利用頻度は週1回が多い
さまざまな業界の調査を行う「株式会社ナビット」は2023年3月、男女1,000人に対しセルフレジについてアンケート調査を行った。調査ではまず「セルフレジを利用したことがありますか」と質問したところ、94.8%もの人が「ある」と答える結果に。つまり、ほとんどの人が一度は、セルフレジにふれた経験があるといえるだろう。人々が当たり前にセルフレジを利用する時代が、すでに訪れているといっても過言ではないといえるのかもしれない。
「どのくらいの頻度でセルフレジを利用していますか」といった調査については、「週1日程度」と答えた人が最も多く、24.7%という結果になった。次に多いのは「週2~3日程度」(18.5%)となっており、中には「週4~5日程度」(4.5%)や「ほぼ毎日」(3.8%)という人もいた。やはりセルフレジを便利だと考え、利用する人は多い傾向にあるようだ。「月1回程度」と回答した人の割合は3番目に多く15.6%、4番目が「2~3週間に1日程度」(15.5%)となっている。
セルフレジの利用がまだ習慣化していない利用者も少なくはないが、このままセルフレジが普及していけば、この層も週1回利用していくようになる可能性は高いだろう。
セルフレジの支払い方法は、クレジットカード派が多数
「セルフレジで支払う際にどのような支払方法をしていますか?」との質問には、「クレジットカード」と答えた人が28.2%となった。セルフレジを利用する目的の一つが会計の時短であると考えられるため、クレジットカード利用率が高いのは納得といえるだろう。しかし、「現金」は25.9%とこちらも回答率が多いものとなっていた。セルフレジの利用に慣れていない人は、クレジットカードの利用で手順が一つ増えるのが不安だと思われる。そのため、現金で支払いする人はまだまだ多いと考えられるだろう。
時短会計の代名詞ともいえる「電子マネー」は18.8%、「QRコード決済」は16.9%となっている。やはり、手際よく買い物を終わらせるために、現金ではない会計方法を取る人が多いといえるだろう。
セルフレジの便利さに着目した調査結果が多いといえるが、一方で、不便さや不満を感じる声もあったという。たとえば、「並んでいると、なんか焦る」や、「忙しい時間帯は、後ろの人たちを気にして、急いでやらなくてはという気持ちになる。エラーが出たらどうしようという不安もある」といった回答からは、スムーズに会計を終わらせなければならないというプレッシャーが感じられる。
この不安は、「利用したことのないタイプのセルフレジの使い方がすぐにわからない時」という意見や、「値引きなどの処理で、店員さんが必要になる時」といった理由にもかかわっているといえるだろう。セルフレジの使い方に苦戦したり、店員さんを呼んだりすることで、セルフレジに並ぶ人が増えてしまい焦ってしまう、という負のスパイラルが生じてしまうといえる。セルフレジの時短会計という利点が、利用者の不安に大きく関係してくると考えられるため、セルフレジをより普及させるためには、利用者が安心してセルフレジを使える環境づくりが必要になってくるのかもしれない。
スーパーマーケットの一部では、レジ打ちは店員が行い、会計手続きと袋詰めのみ購入者が行う「セミセルフレジ」も増加しているという。状況に応じて、会計方法を選択できる世の中がこれからより進んで行くことを願いたい。