自宅にインターネット回線を引きたいけれど、「回線工事に立ち会うのが難しい」「近日中に引っ越す予定があるから工事はしたくない」という方もいるのでは。今回は工事不要ですぐ利用できる各社Wi-Fiサービスについて比較して詳しく解説します。
主な自宅で利用できるインターネットの種類
自宅で利用できるインターネットの種類には、モバイルWi-Fiを利用したモバイルルーターとホームルーター、光回線があります。
ホームルーター | 「置くだけ」ですぐに通信可能
ホームルーターとは、コンセントに挿すだけでモバイルWi-Fiを利用し、インターネットに接続できる据え置き型の機器です。
ポケットWi‐Fi | 一人暮らしや外出先でのWi-Fiの利用に便利
ポケットWi‐Fiとは、小型で持ち運び可能なWi-Fi通信端末のことを言います。
光回線 | 通信速度が速いものの工事が必要
「光回線」とは、光ファイバーを利用した通信回線で、高速で大容量のデータ通信が可能です。また、電波を使わないため電波干渉による速度低下が起こりにくく、安定した通信が可能です。
光回線を利用するためには、光ファイバーケーブルを引き込む工事が必要です。光回線工事には立ち会いが必要で、壁への穴あけが必要な場合もあります。よって賃貸では気軽には利用できないデメリットがあります。
おすすめの光回線についてはこちらも参考にしてください。
工事不要で使えるWi-Fiのメリット・デメリット
解説してきたように、モバイルルーターやホームルーターといったモバイルWi-Fiを利用したインターネット接続機器は工事不要で使えるため、手軽で便利といったメリットがありますが、光回線と比べるとデメリットも。工事不要で使えるWi-Fiのメリット・デメリットについて詳しく解説します。
光回線と工事不要Wi-Fiの比較
光回線とホームルーターの主な項目の比較を表にまとめました。
なおホームルーター側の速度は5G対応かつ設置場所が基地局から近い場合、より高速化するケースはあります。つまり「置き場所」や実際に通信する端末の位置でかなり速度が変化しやすいため、あくまで目安値です。
光回線 | モバイルWi-Fi ホームルーター |
|
下り平均速度 (実測値) |
〇 100~300Mbpsほど |
△ 50~150Mbpsほど |
通信制限 | 〇 無制限 |
△ 実質無制限 (速度制限あり) |
月額料金 | △ 3,000~4,000円 |
△ 3,000~4,000円 |
使用可能な場所 | 自宅のみ | 自宅のみ |
手軽さ | × 工事が必要 |
〇 工事不要 コンセントに差すだけ |
おすすめの人 | ・高速で快適にネットを使いたい人 ・オンラインゲームをする人 |
・光回線工事ができない人 ・近日中に引っ越す予定がある人 |
通信速度 | 光回線が有利
通信速度はモバイルWi-Fiより光回線の方が安定しており、かつ高速です。
ウェブサイトや動画を見る程度ならモバイルWi-Fiでも十分ですが、たとえば「フォートナイト」などデータ量の多いオンラインゲームを楽しみたい人はモバイルWi-Fiの速度だとカクつきが多く、満足にプレイできないでしょう。
月額費用 | ホームルーターなど工事不要Wi-Fiが有利
月額料金についてはキャンペーンの有無や、光回線は戸建てかマンションかによっても料金が変わってくるため、一概には言えませんがおおむね「光回線」も「ホームルーター」も同じくらいの料金です。
ただしホームルーターは工事が不要なため、工事費用の分割料金などはかかりません。ただし、ルーター機器の分割代金やレンタル料金はかかる場合があります。月額費用にすると、特に戸建てだとホームルーターの方がやや安くなるでしょう。
通信容量 | ホームルーターは一部制限が発生する場合も
光回線は基本的にデータ容量無制限で、「法人が大容量の通信を長期に渡って行い続ける」など一定の容量を超えると通信制限が個別に行われる可能性はありますが、個人による通常利用で引っ掛かることはまずありません。
一方、ホームルーターも多くが月間のデータ容量自体は無制限。ただしあくまでモバイル回線であり、通信制限は存在します。光回線と同じ感覚で大容量通信を続けると、低速に切り替わるリスクはあります。また回線の混みあう時間帯は、自身の利用容量によらず通信制限が課されることもあります。
導入・撤去のしやすさ | 工事不要Wi-Fiが最適
光回線は光回線の開通工事が必ず必要です。状況によっては、電線から建物までケーブルを引き込んだり、壁に穴をあけたりなどの大規模な工事が必要になる場合があります。賃貸では導入自体ができないケースがあります。
一方、ホームルーターは工事が不要。機器が届いたらコンセントに差すだけでインターネットを利用できます。撤去も機器をコンセントから外すだけです。
WiMAX(au)・ドコモ・ソフトバンクのホームルーターを一覧比較
ホームルーターには様々な種類がありますが、選び方の判断基準となるのは特に「通信速度」「利用料金」です。
ホームルーターは回線工事を行いたくない人で、自宅にいるときにWi-Fiを使いたい人におすすめです。主要5社のホームルーターの特徴を紹介します。
なお各ホームルーターの通信速度は「みんなのネット回線速度」を参照し、各社のユーザーレビューをベースに目安となる数値を算出しています。特にルーターが5Gに対応している場合、理論上の通信速度はより高速化しますが、設置場所が「屋内」かつ基地局から離れていたり、スマホやPC側の性能、またLANケーブル接続か否かによって実際の速度は低速になるケースも多いためです。よって「最大の速度」ではなく、ユーザーレビューをベースにした値である点をご理解ください。
ちなみに各社が公表している最大速度とデータ容量は以下の通りです。システム上の最大速度であり、上記の通り、実際の速度とは乖離があることが多いためご注意ください
ホームルーター | 通信速度 (下り最大) |
ドコモhome5G | 4.2Gbps |
SoftBank Air | 2.1Gbps |
Rakuten Turbo | 2.1Gbps (ベストエフォート方式) |
au ホームルータープラン5G | 4.2Gbps(※機種による) |
WiMAX(Speed Wi-Fi HOME 5G L13) | 4.2Gbps |
参考元:ドコモhome5G
参考元:SoftBank Air
参考元:Rakuten Turbo
参考元:au ホームルータープラン5G
参考元:WiMAX Speed Wi-Fi HOME 5G L13
ドコモ| home 5G
ドコモの「home 5G」は、ドコモのホームルーターです。
運営会社 | 株式会社NTTドコモ |
データ容量 | 無制限 |
事務手数料 | 0円 |
月額料金 | 4,950円 |
初月料金 | 日割り計算 |
Ping | 49.53ms程度 |
ダウンロード速度 | 191.38Mbps程度 |
アップロード速度 | 20.1Mbps程度 |
スマホセット割引 | 最大1,100円/台 |
端末代金 | 実質0円(36カ月以上利用の場合) |
端末補償 | smartあんしん補償:月額330円 |
キャッシュバック | dポイント15,000ptプレゼント (ドコモオンラインショップ限定) |
違約金 | なし |
キャンセル | 8日以内キャンセル対象 |
参考元:みんなのネット回線速度
参考元:ドコモhome 5G
ソフトバンク | SoftBank Air
「SoftBank Air」はソフトバンクのホームルーターです。
運営会社 | ソフトバンク株式会社 |
データ容量 | 無制限 |
事務手数料 | 3,300円 |
月額料金 | 1年目:3,278円 2年目以降:5,368円 |
初月料金 | 日割り計算 |
Ping | 47.2ms程度 |
ダウンロード速度 | 77.9Mbps程度 |
アップロード速度 | 8.23Mbps程度 |
スマホセット割引 | ソフトバンク:1,100円/台 Y!mobile:1,188円 |
端末代金 | 実質0円(36カ月以上利用の場合) |
端末補償 | あんしん補償:月額968円 |
キャッシュバック | 2023年6月現在なし (不定期にキャッシュバックキャンペーン実施) |
違約金 | 10,450円 (契約解除料不要期間以外で解約をした場合) |
キャンセル | 8日以内なら月額定額料設定されている料金の日割り分、従量料金の全額支払で可能 |
参考元:みんなのネット回線速度
参考元:SoftBank Air
楽天 | Rakuten Turbo
「Rakuten Turbo」は楽天モバイルのホームルーターです。
運営会社 | 楽天モバイル株式会社 |
データ容量 | 無制限 |
事務手数料 | 3,300円 |
月額料金 | 1年目:1,980円 2年目以降:4,840円 |
初月料金 | 日割り計算 |
Ping | 48.7ms程度 |
ダウンロード速度 | 50.01Mbps程度 |
アップロード速度 | 31.51Mbps程度 |
スマホセット割引 | なし |
端末代金 | 41,580円 |
端末補償 | スマホ交換保証プラス:715円 |
キャッシュバック | 楽天モバイルの利用で20,000円相当のポイント還元 |
違約金 | なし |
キャンセル | 8日間以内なら可 |
参考元:みんなのネット回線速度
参考元:Rakuten turbo
WiMAX ギガ放題プラス ホームルータープラン | Speed Wi-Fi HOME 5G L13
WiMAX ギガ放題プラス ホームルータープランはUQコミュニケーションズ株式会社のホームルータープラン。2023年6月には「Speed Wi-Fi HOME 5G L13」が最新のホームルーターとして新たに登場しています。
以下は料金などの各種詳細です。
なおPingやダウンロード速度については、最新機種「Speed Wi-Fi HOME 5G L13」が2023年6月1日にリリースされたばかりであり、十分なデータはまだユーザー間で出そろっていないのが2023年6月時点の現状です。よって参考値として前モデルのものを提示しています。この速度から1.4倍ほど高速になっていると推定されます。
運営会社 | UQコミュニケーションズ株式会社 |
契約期間 | なし |
データ容量 | スタンダードモード:制限なし プラスエリアモード:制限あり(30GB) |
事務手数料 | 3,300円 |
月額料金 | 13カ月間:4,268円 14カ月目以降:4,950円 |
初月料金 | 日割り計算 |
Ping(※旧機種) | 44.85ms |
ダウンロード速度(※旧機種) | 124.93Mbps |
アップロード速度(※旧機種) | 17.9Mbps |
端末代金 | 27,720円 |
端末補償 | 端末補償サービス:418円 |
参考元:みんなのネット回線速度
参考元:WiMAX
au | ホームルータープラン5G
au の「ホームルータープラン5G」は、KDDI株式会社が提供しているホームルーターのプランです。
なおau ホームルータープラン5Gはその名の通り「プラン」であるため、ルーターそのものは「Speed Wi-Fi HOME 5G L13」や旧モデルである「Speed Wi-Fi HOME 5G L11 ZTR01」を提供しています。これUQコミュニケーションズと共通。これにはUQモバイルがauのサブブランドとして展開されていることなど、両者が親子関係であることなどが理由として考えられます。
auの割引などを使いたい場合は、こちらのプランを使うといいでしょう。
以下は料金などの詳細です。Pingやダウンロード速度、アップロード速度はルーターがUQと共通のため「Speed Wi-Fi HOME 5G L13」をご参照ください。
運営会社 | KDDI株式会社 |
データ容量 | 上限なし |
事務手数料 | 3,850円 |
月額料金 | 13カ月間:3,278円(新規契約の場合) それ以降:5,170円 |
初月料金 | 日割り計算 |
スマホセット割引 | auスマートバリュー適用可能 1,100円割引 |
端末代金 | 48,600円(※Speed Wi-Fi HOME 5G L13 ZTR02の場合) |
キャッシュバック | 端末購入でau PAY残高へ還元キャンペーンあり (2023年6月現在) |
違約金 | なし |
自宅の外でも使う場合は「ポケットWi-Fi」もおすすめ
最近はカフェや観光スポットでもフリーWi-Fiを提供している場所が多いですが、「仕事の外回りの最中でも確実にネットを利用できるようにしたい」「自宅以外でもスマホやPCをWi-Fi接続したい」場合には、「ポケットWi-Fi(モバイルルーター)」もおすすめです。
主要3社のポケットWi-Fiサービスの特長について紹介します。
GMOとくとくBB WiMAX
GMOとくとくBB WiMAXは、GMOインターネットグループ株式会社が運営するWiMAXのプロバイダサービスです。ポケットWi-Fiの機器はWiMAXを利用しています。
楽天モバイル(Rakuten WiFi Pocket)
Rakuten WiFi Pocket は、楽天モバイルが提供するオリジナルのポケットWi-Fiです。
AiR WiFi
「AiR WiFi」は株式会社FREEDiVEが2021年からサービスを開始したポケットWi-Fiサービスです。
工事不要Wi-FIの契約から利用開始するまでの流れ
工事不要Wi-Fiは申し込み後、早ければ「最短即日」でホームルーターが発送されます。
ホームルーターが届いたらコンセントを差し接続設定をするだけで、モバイル回線を使ってインターネットの利用を開始できます。回線工事が不要であるため、賃貸でも気軽に導入しやすく、引っ越しする際にも便利です。
まとめ
ホームルーターを設置するにはコンセントが必要なので、利用する際は申し込む前にコンセント周りのどこに置くか考えておきましょう。また、筆者の経験によると、ポケットWi-Fiは数年単位で使用しているとバッテリーの膨張が高確率で発生します。バッテリー交換や買い替えの必要性なども踏まえて、ご自身に合ったWi-Fiサービスを見つけてください。