【マンション】タワマンに住むと不健康になるという噂は本当?

ネットではタワーマンション(以下タワマン)に関する怪しい噂が飛び交っている。「タワマンに住むと流産する」「タワマンで育った子どもは不健康になる」「タワマンは気圧が違うので頭が痛くなる」などなど……。これらの噂は果たして本当なのだろうか? ここではタワマンに関する怪しい噂を検証してみよう。

「流産する」の元ネタは6階以上のマンションの話でした

(Image:Shutterstock.com)

 タワマンについてネットで調べると、必ず「タワマンに住むと流産する」「タワマンで育った子どもは不健康になる」「タワマンの高層階は気圧が違うので頭が痛くなる」などの記事を見かけると思う。筆者は実際にタワマンの高層階に6年間住んでいるが、頭痛もなくいたって健康である。それでは、なぜこのような噂が広まったのだろうか?
 まず、「タワマンに住むと流産する」という話は“6階以上のマンションに住む妊婦の流産率が高かった”という統計データを元に書かれた本が元ネタだ。そもそもタワマンの高層階を調査した内容ではなく、科学的な因果関係も示されていない。日本には何十年も前から6階以上のマンションが大量にあるが、もし、これが本当なら大変な社会問題になっているだろう。次に「タワマンで育った子どもは不健康になる」という話もある。これは、タワマンは気密性が高く、窓を開けない高層階ではアレルギー性疾患が増えるというのが根拠だ。だが、そもそも気密性は低層階でも高層階でも同じだし、高層階だから換気をしないとか窓を開けないということはあり得ない。つまり、何の根拠もないデマなのである。

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「タワマンに住むと流産する」という話は“6階以上のマンションに住む妊婦の流産率が高かった”という統計データを元に書かれた本が元ネタ。しかも、科学的根拠は示されていない

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確かに高層マンションの角部屋のリビングは、窓がハメ殺しになっており、開けられないことも多い。だが、ほかの部屋の窓は開けられるし換気もできる

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100mで10hpaの気圧変化は、地上での気象変化に比べれば気にするほどのものではない。実際には台風などで起きる気圧変化のほうが何倍も大きいのだ

気圧の変化で不健康になるという話に根拠はない!

 世の中には気圧の変化に敏感な人がいるらしい。確かに、大雨や台風の日には頭痛やめまいがするという人はいる。だが、本当にタワマンの高層階で体調を崩すほど気圧変化の影響があるのだろうか?
 そもそも1気圧は1,000hpa(ヘクトパスカル)である。10m上がるごとに1hpa変化するので、地上100mに当たる25~30階なら地上とは10hpaほど気圧が違うことになる。しかし、これはたった1%の変化に過ぎず、地上に住んでいても、日常的な気象で起きる気圧変化の範囲よりも小さい値だ。それでも体調が悪くなる人はいるかもしれないが、通常は、たった10hpa程度の気圧変化で健康に影響が出ることは考えにくい。もし、本当に気圧の変化で健康を害するというのであれば、標高が300mを超えるような地域に住んでいる人は、みんな不健康だということになるが、いかがだろうか?
 なお、高層階のエレベーターは高速なものが多く耳がツーンとすることがあるが、これは徐々に慣れてきて、6年も住むとまったく気にならない。どうしても慣れないという人は、残念ながらタワマンの高層階には住まない方がよいだろう。ちなみに、現在の日本のエレベーターメーカーでは、エレベーター内の気圧調整技術を用いて耳詰まりを軽減している場合もある。

文=今井真人/フリーライター

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