基本的にNHK放送を受信できるテレビなどを設置している場合、NHK受信料の支払義務が発生します。一方で、NHK受信料を「正式に払わなくてもいい世帯」があるのをご存じでしょうか?
この記事ではNHK受信料を払わなくてもいい世帯の基準と解約方法について詳しく解説します。
NHK受信料を払わなくてもいい「免除」の基準って知ってる?
下記の条件に当てはまる場合は、NHK受信料が「免除」されます。
そもそも「NHKが受信できる機器を保有していない」場合は、NHKとの契約や受信料の支払義務は発生しません。その他、条件に当てはまる親元から離れて暮らす学生も全額免除の対象です。
全額免除の主な基準
全額免除となる基準は「公的扶助受給者」に加え、「身体障害者」「知的障害者」「精神障害者」がいる世帯で、世帯主を含む全員が「市町村民税非課税」であること。世帯構成員の中に一人でも税金を納めている方が入れば対象にはなりません。
また「年間収入が一定額以下等の別住居の学生」の基準に当てはまる場合もNHK受信料の支払が全額免除となります。より詳細な基準や「学生の場合」の基準については後述します。
半額免除の主な基準
半額免除となる条件は、障害者手帳をお持ちの「視覚・聴覚障害者」「重度の知的障害者」「重度の戦傷病者」のいずれかに当てはまる方が世帯主かつ受信契約者の場合です。特定の施設、指定医に「重度の身体障害者」と認定された方が世帯主かつ受信契約者の場合も対象となります。
【詳細】NHK受信料を正式に払わなくてもいい「世帯」の基準(全額免除)
NHK受信料を正式に払わなくてもいい「世帯」には、以下の3パターンがあります。
NHKが受信できる機器を保有していない世帯
前述した通り、テレビやテレビが見られる携帯端末、チューナー付きカーナビなど「NHKが受信できる機器を保有していない」世帯は、そもそもNHKとの契約義務がないため受信料を支払う必要はありません。
受信機器があるものの「受信できる状態ではない」世帯
NHKが受信できる機器を保有していたとしても「放送を受信できる状態ではない」世帯なら、受信料の支払義務はありません。たとえば、テレビがあってもアンテナを撤去するなどして放送できない状態であれば、NHKとの契約義務は発生しません。アンテナやテレビが故障している場合も当てはまります。
公的扶助受給者や住民税非課税世帯かつ障害者を含む世帯など
冒頭で述べたように、「公的扶助受給者」や「住民税非課税世帯かつ障害者を含む世帯」は申請することによってNHK受信料の支払が全額免除になります。あくまで基準に当てはまる世帯のみが免除の対象であって、生活に困窮しているだけでは免除にならないため注意しましょう。
【詳細】NHK受信料を正式に払わなくてもいい「学生」の基準(全額免除)
これまでは「経済的理由から奨学金や授業料免除を受給している学生」が全額免除の対象でしたが、2023年10月1日からは経済的に自立していないと考えられる学生(年間収入が130万円以下)なども免除の対象として加わっています。
住民税非課税世帯ではない場合でも、親元を離れて生活する学生で「社会保険制度において(保護者の)被扶養者となっている」という場合は全額免除になります。なお、免除を受けるには申請が必要です。
(画像引用元:NHK受信料の窓口)
保険証に「家族(被扶養者)」の記載がある
健康保険などの被扶養者である場合、保険証に「家族(被扶養者)」と記載があれば全額免除となります。
国民健康保険の修学特例対象
住民登録している市町村以外の学校に修学した場合に交付される「国民健康保険遠隔地被保険者証(マル学)」を交付されている場合も、NHK受信料が全額免除となります。
奨学金を受給している
奨学金を受給している場合は、学生証と一緒に受給証明書などを提出すれば全額免除となります。
授業料を免除されている
授業料を免除されている学生の場合は、「学生証」と一緒に「授業料免除決定通知」などの提出をすることで全額免除になります。
年間収入が130万円以下
NHK受信料免除の対象となる学生の幅が広がりましたが、前提として「社会的に自立していない」ことが条件。親元を離れている場合、バイトなどをしていても年間収入が130万円以下であれば、免除の対象となります。
20歳以上で国民年金保険料の学生納付特例対象
申請することで国民年金保険料の納付が猶予される「国民年金保険料の学生納付特例対象」となっている20歳以上の学生も、NHK受信料支払の免除対象です。
親元が公的扶助受給者や住民税非課税世帯
親元が「公的扶助受給者」または「住民税非課税世帯」の場合は、「学生証」と一緒に親元などの「住民票」と「生活保護受給証明書」または「非課税証明書」を提出することでNHK受信料が全額免除になります。
【参考】NHK受信料が半額免除となる基準
全額免除は難しい場合でも、半額免除の対象となることもあります。基準は以下の通りです。
学生・単身赴任・別荘などを対象としたNHKとの2契約目
全額免除に当てはまらない親元を離れた学生や単身赴任者がいる場合、2件目の契約からNHK受信料が半額になる「家族免除」を受けられます。また「別荘・別宅」も家族免除の対象です。
視覚障害者・知的障害者などの要件に当てはまっている
前半で述べたように視覚障害者、知的障害者など障害者手帳をお持ちの方が世帯主かつ受信契約者の場合も半額免除になります。なお、半額免除の場合は非課税世帯といった生活状態に関する条件は含まれていません。
【意外とあっさり】NHKの解約方法
ここまで「全額免除」「半額免除」などの基準を紹介してきました。しかし、条件が限定的であるため住民税非課税世帯などでない限りは「受信できる機器を保有していない状態」が最も手っ取り早い「NHK受信料を払わない方法」と言えます。
具体的には元々のテレビを廃棄したうえで、テレビ放送を受信できないチューナーレステレビに買い替えるのが現実的です。チューナーレステレビに買い換えた後、NHKを解約すれば支払わなくても済みます。解約の手順は以下の通りです。
【1】放送を受信できるテレビを手放す
まずはテレビ放送を受信できるテレビを処分します。
(画像引用元:RKC 一般財団法人 家電製品協会 家電リサイクル券センター)
【2】NHKの解約の電話窓口に電話をする
NHKとの放送受信契約の解約は電話でしかできません。NHK受信料の窓口から「NHKふれあいセンター(営業)」に電話をかけ、「テレビがない」と伝えましょう。この際、「テレビを手放した」と伝えても、「証明できるものはありますか?」と食い下がってくることがあります。
そのときに「廃棄の証明」として、先述した家電リサイクル券を提示すると非常に解約手続きがスムーズです。
【3】送付されてきた書類に記入して返送する
電話で解約したいと伝えると、数日後に解約書類が届きます。解約理由など必要事項を記入し、早めに返送しましょう。この際、今後の受信設備の設置予定を「あり」にしてしまうとNHKから連絡が来る可能性が高くなるため「なし」にしておくとよいでしょう。
【4】解約完了
解約書類を返送すれば、手続き完了です。前払いで受信料を支払っていた場合、解約手続きを受理した翌月以降の支払分は返金されます。
まとめ
2023年10月1日からNHK受信料の全額免除の対象が広がり、親元を離れて暮らす学生の多くが対象になりました。一方で、そのほかの「公的扶助受給者」「身体障害者」といった免除の条件に当てはまらない場合は、テレビを手放し「受信できる機器を保有していない状態」にするのが最も手っ取り早くNHK受信料を支払わなくて済む方法です。
チューナーレステレビに買い替えれば、そもそもNHKとの契約義務がなくなるため支払う必要はなくなります。買い替えた場合は、早めに解約手続きをしておきましょう。