都心のタワーマンションは、電車や首都高速道路のすぐ横に立っていることも多い。こんな場所では音がうるさくて、とても住んでいられないのでは? と心配になるのは当然だろう。そこで今回は、タワーマンションの騒音について解説する。
確かに高層階では外の音がよく聞こえるが……
(Image:Shutterstock.com)
タワーマンション(以下タワマン)の高層階は遮るものがないので、窓を開けておけばかなり遠くの音も聞こえる。たとえば、筆者は20階以上の高層階に住んでいるが、穏やかな夜にベランダに出ると、1Fで喋っている人の声までよく聞こえたりする。まして、タワマンのすぐ横に電車や首都高速道路などがあれば、1日中うるさくて、とても住んでいられないのでは? と考えるのは当然のことであろう。だが、実際にはタワマンがうるさくて生活できないというのは、必ずしも正しくはない。
そもそもタワマンは交通の利便性のよい場所に建てられるので、電車や首都高速道路の横に建てられる物件も多い。したがって、デベロッパーはタワマンを設計するとき、事前に建設現場の騒音を計測して、そこから何デシベル(db)マイナスにすれば生活に支障がないかを計算する。これにより、騒音に見合った防音性能を持つサッシが採用されるので、サッシを閉めていれば騒音に悩まされることはないのである。
騒音はデシベル(db)で表される。40~50dbであれば十分静かな部屋であるといえる
防音性能の高いサッシなら部屋はかなり静かになる
そもそも騒音のレベルは、40デシベルが「静かな公園」、50デシベルが「静かなオフィス」、90デシベルでは「電車の中」に例えられる。しかし、サッシの性能にはJISによって規定されたT1~T4までの等級があるので、最上級のT4のサッシが使用されていれば、相当うるさい場所に面している部屋であっても、窓を閉めてしまえばかなり静かになるのだ。具体的に言えば、T1のサッシで-25デシベル、T2で-30デシベル、T3で-35デシベル、T4では-40デシベルの性能があるので、仮に90デシベルの騒音があるタワマンでも、T4のサッシを採用していれば実質50デシベルまで外の音を抑えることができるのである。
もちろん、窓を開ければダイレクトに音が聞こえるので、これは利便性を優先するか日常の静粛性を優先するかという話になる。もし、購入しようとしているタワマンの騒音が気になるなら、サッシの等級がいくつなのかモデルルームで確認しておきたい。
サッシには防音性能の違いがある。90デシベルの騒音があるタワマンでもT4の性能を持つサッシを使うことで-40デシベルとなり、実質50デシベルの静かな部屋になるのだ