ガチ乗り鉄が教える! − 観光に使いやすい最強フリーきっぷ6選

ようやくコロナ禍も収まってきたことで、国内旅行に出かける人も増えてきました。しかし、意外とお金がかかるのが交通費です。そこで今回は、少しでも交通費を節約するために、ガチ乗り鉄の筆者が、実際に利用して観光に使いやすいお得な「フリーきっぷ」を紹介します。フリーきっぷなら指定エリア内を指定期間内に何度でも乗り降り可能なので、交通費を節約しつつ広い範囲を観光できますよ!

フリーきっぷって何? いつでもどこでも使えるの?

最近は円安の影響もあり、海外よりもお手頃な国内旅行に出かける人が増えてきました。

日本は鉄道が発達しているので、手軽に日本全国どこにでも列車で行くことができますが、意外と交通費がかかりますよね。そこで注目してほしいのが、各鉄道会社が発売している「フリーきっぷ」です。

フリーきっぷは、その名のとおり限定された地域と期間内であれば、何度でも自由に乗り降りできるお得なきっぷのことで、地域の観光に最適なきっぷなのです。

そこで今回は、ガチ乗り鉄である筆者が自分で使ってみて本当によかったと思える最強のフリーきっぷを6つ紹介しましょう。

もちろん、その地域のオススメの観光地も併せて紹介しますので、興味が湧いたらぜひ一度利用してみてください。

ただし、フリーきっぷを利用するときは、有効路線、有効期間、乗車が可能な列車、価格といったポイントを押さえておかないと損する場合もあります。必ず事前に確認してきましょう。

■フリーきっぷを買うときのチェックポイント

【1】有効路線
【2】有効期間
【3】乗車が可能な列車
【4】価格

こちらが今回紹介する6種類のフリーきっぷです。もちろん、すべて筆者が実際に使用したきっぷです(筆者撮影)

【JR全線・青春18きっぷ】全国のJR普通列車が全部乗れる最強フリーきっぷ

最初に紹介する「青春18きっぷ」は、日本全国すべてのJR普通列車が乗り放題になる最強のフリーきっぷです。

1982年の国鉄時代から発売されている歴史あるきっぷで、年齢制限はなく18歳でなくても利用可能。現在の販売価格は5回1組で1万2,050円です。

青春18きっぷは、なんと言っても価格の安さが魅力! 1回2,410円でJRの普通列車が1人1日乗り放題になるため、まさに乗り鉄ならほぼ必須ともいえる超お得なきっぷなのです。

●JR東日本「青春18きっぷ」は→こちら

■青春18きっぷ

【利用範囲】JR全路線
【利用期間】春休み、夏休み、冬休み近辺(毎年変動)
【乗車可能列車】普通列車のみ
【価格】1万2,050円(税込)

こちらが2024年1月に筆者が利用した青春18きっぷ。残念ながら5回分すべて使い切ることはできませんでしたが、それでも1,500キロほど乗りました(筆者撮影)

青春18きっぷは複数人でシェアすることも可能となっています。たとえば、2回分消費して2人で1日分ずつ使うなんてことも可能。ただし、きっぷの分割はできないため、行動をともにする必要があります。

使える範囲も“日本全国のJR路線”となっているので、北は北海道のJR稚内駅から南は鹿児島のJR枕崎駅まで行くこともできます。

ただし、日本を縦断するには最短でも6日かかってしまうので、青春18きっぷが2枚必要となりますが……。

青春18きっぷには販売期間と利用期間が設定されており、基本的に学生の春休み、夏休み、冬休み期間に設定されていることがほとんど。1年中いつでも使えるわけではないのが、唯一残念なところです。

ちなみに、2024年の青春18きっぷ発売&利用期間は下記のようになっていますが、2024年の夏以降の青春18きっぷの予定はまだ発表されていないので、夏の旅行計画はもうしばらく待ってから考えるしかありませんね。

■2024年の青春18きっぷの発売&利用期間

【発売期間】2月20日(火)〜3月31日(日)
【利用期間】3月1日(金)〜4月10日(水)

青春18きっぷで元を取るコツは、宿泊する予定なら片道2,410円以上、日帰りなら片道1,200円以上の普通列車で移動することです。

個人的には、青春18きっぷで乗れる観光列車がオススメ。なかでも秋田−青森間を結んでいる「リゾートしらかみ」は、指定券料金840円を追加するだけで乗ることができるのです。

秋田−青森間を結ぶ「リゾートしらかみ」は、指定券料を追加することで、青春18きっぷでも乗車できる観光列車。全席指定なので座席が埋まる前に座席を確保しておきましょう(筆者撮影)

【JR北海道・北海道フリーパス】JR北海道に乗り放題の7日間、特急指定は6回可能!

次に紹介するのは、人気の観光地・北海道を堪能できるフリーきっぷ「北海道フリーパス」です。

この北海道フリーパスは、JR北海道を7日間乗り放題になるきっぷ。価格は2万7,430円と少々高めですが、普通列車はもちろん、なんと特急列車の自由席にも乗り放題なのです。

しかも、特急の指定を6回まで利用できるため、広大な北海道の長距離移動にも対応しているのがポイントですね。

たとえば、新千歳空港から札幌へ観光に向って1泊、旭川で1泊、網走で1泊、釧路・函館と各都市1泊ぐらいの長期旅行が、この北海道フリーきっぷだけで叶います。もし、長期休暇が取れるならこのような旅行も楽しそうですね。

●JR北海道「北海道フリーパス」は→こちら

■北海道フリーパス

【利用範囲】JR北海道全線
【利用期間】利用開始日から連続する7日間、繁忙期利用不可
【乗車可能列車】普通列車、特急列車自由席(特急指定席6回取得可能)
【価格】2万7,430円

こちらは筆者が2022年に利用した北海道フリーパス。JR北海道の駅は減り続けているので、もし、気になる駅があるなら、できるだけ早めに訪れたほうがいいでしょう(筆者撮影)

ただし、JR北海道は列車の本数が極端に少なく、事前に乗る列車を決めておいたほうが安全です。

また、北海道の特急列車は鹿と衝突したりして、結構遅れることが多いので、スケジュールには余裕を持たせることをオススメします。

ちなみに、北海道フリーパスは通年で販売されていますが、繁忙期に利用できない期間が設定されていますので、この点は十分注意してください。

JR函館北斗駅ではゆるキャラ「ずーしーほっきー」がお出迎え。この気持ち悪さが病みつきになるかも……(筆者撮影)

「札幌」といえばやはり“すすきの”の交差点。夜遅くでも人通りが多く、宿泊や食事には困りません(筆者撮影)

「網走」の観光地といえばなんと言っても網走監獄ですよね。JR網走駅はレンガ風の作りでなかなか趣があります(筆者撮影)

北海道の人気観光地のひとつが「JR富良野駅」。最近はインバウンドの観光客も多く、列車内からすでに多言語が飛び交っていました(筆者撮影)

【JR東日本・週末パス】1泊2日で利用できる広範囲のJR東日本のフリーきっぷ

「週末パス」は、JR東日本が毎週末発売している広範囲利用可能なフリーきっぷ。

この週末パスの利用期間は土・日のみですが、普通列車が乗り放題になるほか、特急と新幹線は特急券を別に購入すれば乗車可能になるのがポイントです。

●JR東日本「週末パス」は→こちら

■週末パス

【利用範囲】JR東日本の指定範囲、及び複数の私鉄
【利用期間】指定された土日、及び連続した祝日を含む2日間、繁忙期不可
【乗車可能列車】普通列車、特急と新幹線は特急券を別途購入すると乗車可能
【価格】8,880円

こちらが2023年に筆者が利用した週末パス。実はこのとき遅延が発生して、急遽、新白河駅から新幹線に乗りました。トラブルがあってもイザというときは新幹線に乗れるところが、週末パスのいいところ(筆者撮影)

週末パスの価格は8,880円ですが、たとえば、新幹線で東京−仙台を往復するときは、週末パスを使ったほうが安くつきます。

通常、東京−仙台を往復をeチケットで購入した場合は往復で2万2,020円かかりますが、週末パスと新幹線特急券を組み合わせると、往復1万9,200円で済むのです。

つまり、東京−仙台間を往復するだけで2,820円も安くなるうえに、週末パスなら仙台から日本三景の松島海岸まで観光することもできます。

ほかにも、野球好きなら楽天モバイルパーク宮城へ行ったり、女川や石巻で海産物を堪能することもできるので、仙台へ1泊旅行を考えているならオススメですよ。

■東京−仙台の往復をeチケットで購入した場合

片道1万1,010円×2=2万2,020円

■東京−仙台を週末パスと新幹線特急券を購入した場合

週末パス8,880円+新幹線特急券5,160円×2=1万9,200円

ちなみに、東京−新潟、東京−山形、東京−上越妙高の新幹線往復利用でも、週末パスを利用したほうが運賃は安くなります。

ただし、この週末パスは利用日の前日までの発売となっているので、旅行当日に購入できません。ご注意ください。

筆者は福島県の郡山市までアニメの聖地巡りに行ってきました。フリーきっぷは途中下車しやすいので、細かくスポットを廻る聖地巡礼などに最適ですね(筆者撮影)

週末パスがあれば、仙台駅から少し足を伸ばして松島海岸に行くこともできます。日本三景の絶景をしっかり堪能しましょう(筆者撮影)

帰りはJR仙台駅から乗車しました。週末パスなら新幹線や特急日立など、さまざまな列車を利用して東京に帰ることができます(筆者撮影)

【JR四国・バースデイきっぷ】徳島の渦潮、高知のカツオ、愛媛の道後温泉を満喫!

JR四国には誕生月だけ購入できる、お得なフリーきっぷ「バースデイきっぷ」が販売されています。

バースデイきっぷはJR四国の普通列車や特急列車が乗り放題になるきっぷで、自由席用(1万2,000円)とグリーン席用(1万5,000円)との2種類が販売されています。

●JR四国ツアー「バースデイきっぷ」は→こちら

■バースデイきっぷ

【利用範囲】JR四国全線、及び土佐くろしお鉄道
【利用期間】利用者の誕生月の連続した3日間
【乗車可能列車】自由席用は普通列車と特急列車自由席、グリーン席用はグリーン席まで乗り降り自由
【価格】自由席用が1万2,000円、グリーン席用が1万5,000円

2022年に筆者がJR四国で購入したバースデイきっぷ。この当時は値上げ前で価格は9,680円でした。8月が誕生日なので非常に暑かったのを覚えています(筆者撮影)

自由席用は特急の自由席が乗り放題ですが、グリーン席用は特急のグリーン席まで乗り放題となります。

指定券を窓口へ取りに行く手間はありますが、グリーン席でゆったり旅行できるのはかなりゴージャスですよね。

利用期間は3日間あるので、たとえば徳島、高知、愛媛にそれぞれ1泊し、最後に香川に寄りつつ帰宅するという、1県1泊ルートで四国全体を満喫できます。

なお、バースデイきっぷ購入の際に誕生日が証明できる身分証明証が必須です。きっぷには名前が記載されるので、本人以外が使うことはできません。

ただし、このバースデイきっぷには「ご本人様用」と「お連れ様用」の2種類が用意されています。誕生月の人が1人いれば、同じ金額で「お連れ様用」バースデイきっぷを3人分まで購入できるんです。

これなら、休暇が取りやすい3月、5月、8月、12月生まれの友だちを見つけて、一緒に四国をお得に巡る旅行に出かけるのもアリでしょう。

愛媛県松山市には数少ない江戸時代からの現存天守「松山城」があります。城の麓からはロープウェイやケーブルカーで登れ、城からは松山市内が見渡せます(筆者撮影)

こちらは日本最古と言われる松山市の「道後温泉」。現在、本館は改装中ですが温泉に入ることはできます。2024年12月ごろには完了する予定とのこと(筆者撮影)

徳島駅のビルは非常に立派で近代的ですが、実は電化されていないことで有名です(筆者撮影)

徳島県にある阿佐海岸鉄道(阿佐東線)では、世界初の列車とバスのハイブリッド車両「DMV」が運行されています。ただし、 バースデイきっぷでは乗ることはできません(筆者撮影)

高知駅前には幕末の志士の銅像がズラリ! 実物はかなり大きくて多くの観光客が撮影していました(筆者撮影)

【名鉄・まる乗り1DAYフリーきっぷ】愛知・岐阜のお城を堪能

JR以外のフリーきっぷでは、名古屋の最強私鉄“名鉄”の「まる乗り1DAYフリーきっぷ」がオススメ。

名鉄は名古屋市を中心とした鉄道会社で、愛知県と岐阜県に路線を伸ばしています。

まる乗り1DAYフリーきっぷはその名のとおり、1日だけ有効なフリーきっぷ。通年利用可能で名鉄全線を乗ることができますが、価格はなんと3,200円と格安です。

名鉄は普通きっぷで特急の自由席にも乗れるため、当然、このまる乗り1DAYフリーきっぷでも特急に乗ることができます。しかも、10時〜16時なら特別車にも自由に乗れるのです。

ただし、座席指定はできないので、指定券を持った乗客が来たらちょっと気まずい雰囲気で席を譲ることになりますのでご注意を……。

●名鉄「まる乗り1DAYフリーきっぷ」は→こちら

■まる乗り1DAYフリーきっぷ

【利用範囲】名鉄全線
【利用期間】1日間
【乗車可能列車】普通列車、特急自由席、10時〜16時は特別車
【価格】3,200円
※2024年3月16日以降は3,400円に値上げされます

こちらが、筆者が2024年の正月に利用した「まる乗り1DAYフリーきっぷ」。特別車にも乗れるのが最大の魅力です(筆者撮影)

このまる乗り1DAYフリーきっぷは2024年3月16日以降、3,400円へ値上げされることが決まっています。しかも、残念ながら特別車の利用もできなくなってしまうそうです。

愛知や岐阜の観光地としては名古屋城を始め、犬山城、岡崎城、岐阜城など名だたる戦国時代の名城を巡ることができます。

ただし、お城巡りをしていると意外と時間がかかるので、あらかじめスケジュールをしっかり決めておくといいでしょう。

こちらが名古屋駅名物の待ち合わせ時計台。早朝なので人はほとんどいませんでしたが……(筆者撮影)

名鉄車両は古いものが多く、レトロな感じなので鉄道好きなら、ついつい写真に撮ってしまいます(筆者撮影)

【近鉄・近鉄週末フリーパス】関西を回るならコレが最強!

私鉄最長の営業距離を誇る“近鉄”の「近鉄週末フリーパス」は、関西の最強フリーきっぷです。

この近鉄週末フリーパスは利用期間が土・日を含む3日間(金・土・日か土・日・月)となっており、近鉄の普通列車に乗り放題となっています。さらに、別途特急券を購入することで、特急にも乗車可能ですよ。

この近鉄週末フリーパスは通年販売されていますが、価格はなんと4,400円! 路線範囲は大阪、京都、奈良、三重、名古屋とかなり広いエリアをカバーしていますので、正直言って4,400円は激安だと思います。

●近鉄「近鉄週末フリーパス」は→こちら

■近鉄週末フリーパス

【利用範囲】近鉄全線
【利用期間】土日を含む連続した3日間
【乗車可能列車】普通列車、特急には別途特急券が必要
【価格】4,400円

筆者が2024年の最初の金・土・日に利用した近鉄週末フリーパスがこちら。利用開始日の前日22時40分に購入しています。時間はギリギリでした(筆者撮影)

関西地域の観光地は説明するまでもないでしょうが、大阪の繁華街・難波やミナミあたりを訪れて食い倒れるもよし。京都や奈良でお寺巡りをしたり、三重県の志摩・賢島でリゾート気分を味わうのもオススメです。

近鉄週末フリーパスの注意点としては、利用日の前日までに購入することが条件となっていること。急に思い立っても、当日購入はできません。

名鉄の観光列車「あをによし」の指定券が残っていたので、滑り込みで乗ってみました(筆者撮影)

こちらは夜のJR天王寺駅周辺。大阪の繁華街なら飲食で困ることはありません。むしろ食べ過ぎに要注意です(筆者撮影)

まとめ

いかがでしたか? 今回は、日本全国で用意されているお得なフリーきっぷを紹介しました。フリーきっぷを利用すれば、きっと観光地での交通費を節約することができますよ。

フリーきっぷは乗り降りが自由なので、細かい観光スポットを巡ったり、地元の名物を食べ歩くときなどに最適です。

もちろん、利用期間や利用範囲、利用条件には注意が必要なのですが、その地域をグルッとまとめて列車で観光したいと思ったときには、ぜひ利用してみてください。

※文中の価格はすべて税込です。
※価格は2024年2月時点のものです。

西澤浩一
アニメやゲーム、ニコニコ動画関連書籍の編集に携わり、今ではオーディオ、生活雑貨、マネーなどさまざまなジャンルに手を広げている。趣味は乗り鉄であり、休日はフリーきっぷ片手に日本全国を徘徊中。お気に入りは青春18きっぷで乗れるリゾートしらかみ。他にもゲーム、マンガはもちろん映画鑑賞も趣味のひとつ。

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